【完結】ワンナイラブ派ですが何か

秋空花林

文字の大きさ
上 下
3 / 6

第三夜

しおりを挟む
 今夜はどいつにしよう。

 いつものBARで。
 いつもの酒を楽しむ為。
 ボクは秋夜の繁華街を足早に移動する。

 そんなボクを呼び止める声があった。

「おーい、小瀬~」

 振り返ると、同僚の里中が追いかけて来るところだった。

「里中?どうした?」
「小瀬すぐ帰っちゃうんだもんな~」

 ちょっと息を切らしながら、里中が汗を拭く。

 今夜は会社の飲み会があって。

 一次会が終わったからサッサっと切り上げた。

 二次会から別部署の奴が合流するって聞いたからな。

 それがあの大和だったら面倒だ。

「たまには同期で交流しようぜ~」
「……」

 里中が親しげに肩を組んで来た。

 こいつ酔ってるな…。

 近々、里中は部署異動で他に移る。今夜はその送別会も兼ねていた筈なのに。

 主役を飲み会場所に戻すのと。
 このままバックれるのと。

 ちょっと考えて。

 楽な方に流れることにした。

「この辺で飲み直すか」
「本当か?やったー」

 そうして適当に入った店は。

 店内が薄暗くて個室が準備されてる店だった。

 ボク達2人も、もれなく個室に通された。

「なんかここ…変じゃないか?」
「そうか~?とりあえず酒飲もうぜ~」

 ご機嫌な里中は、気にした様子もなく、メニューから適当に酒とツマミを注文した。



◇◇◇



「ふ、きもちいい、なんだよこれ」
「静かに…」

 ボクからの注意に、里中は顔を赤くしながら両手で自分の口を押さえた。

 ネチョネチョといやらしい音が個室の部屋に響く。

 先端をグリグリして出た汁で。握り。擦り。また先端をグリグリする度に。

 里中の身体が少し震えた。

 何でボクがこんな事をしてるかと言うと。

 案の定、ココがそういう事がOKな店で。

 里中がべろべろに酔った頃合で、周囲からそういう雰囲気の声が聞こえてきて。

 里中がアソコを勃起させたからだ。

「ボクがイかせてやるから、力抜けよ」
「ふ、ふ、おぜ、なんで、おれ」
「しー。静かに」
「ん、ふ、」

 ボクに攻められ、里中がしがみついてくる。

 シュッ シュッ シュッ

 少しずつ、強く、スピードを早める。

「あ、あ、おぜ~」
「るさい」

 仕方なく、ボクは自分の口で里中の口を塞いだ。

 驚きに目を見開いたのは一瞬で。

 里中からせがむ様に、ボクの口内に侵入してきた。

 それに応えながら、ボクは里中のモノを刺激し続けた。



◇◇◇



 図体のデカい里中に肩を貸しながら、店を出た。

 結局、里中はあのまま絶頂して寝てしまった。

 たぶん今夜の事を覚えてないだろうな。

 問題は、この後コイツをどうするかだな…。

 ボクのマンションにでも…。

「小瀬くん?…と里中くんかい?」

 今夜はよく呼び止められる日だ。

 振り返ると…。

「大和…課長」

 ここ最近ずっと避けてた、別部署の新しい課長だった。

 相変わらずのパリッとしたシャツに、きちんとした髪型が神経質そうだ。

「どうしたんだい?…この店って…」

 ボク達が出て来た店に大和が眉をひそめる。どんな店かわかってるみたいだ。

「…たまたま入った店で、里中が酔い潰れたんです」
「そう。たまたまね。重いだろう。手を貸すよ」
「ありがとうございます」

 大和は里中と変わらない体格だからか、ボクより遥かに楽そうに、里中に肩を貸す。

 里中は、あーとか、うーとか言って夢の中だ。

「それで、どこに向かえば…」
「ボクも里中の家知らないんです」
「え?それなら…」
「だから課長の家にでも連れ帰ってください。では」
「え?小瀬くん??」

 里中を大和に押し付け、ボクはスタスタと歩き出した。

 背後から呼び止める大和の声が聞こえてきたけど。これ以上、関わりたくないからな。

 そしてボクはやっとお目当てのBARのドアをくぐった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

自分の気持ちを素直に伝えたかったのに相手の心の声を聞いてしまう事になった話

よしゆき
BL
素直になれない受けが自分の気持ちを素直に伝えようとして「心を曝け出す薬」を飲んだら攻めの心の声が聞こえるようになった話。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

処理中です...