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第六章 運命を壊す者

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 触れ方が違う、と思った。

 これまでだって彼は優しく、そして時にはわざと手荒に触れてきた。そして互いに触れ合って、何度も身体を繋げてきた筈なのに。

 まるで壊れ物を扱う様な今のルースの触れ方は、今までと全然違っていて。まるで全然別の相手に抱かれている様だった。

「どうして…」
「なに?」

 太陽の上に被さりながら、ルースが太陽を見下ろす。その端正な額や頬からは珠のような汗が流れ落ちてる。

 その様子を下から見上げながら、何て綺麗なんだろうと思った。

 薄暗い緑の部屋の中で、ぼんやり浮かび上がったルースの身体はとても引き締まっていて美しかった。

 思わずその胸の筋肉をなぞる。くすぐったいよとルースが笑った。それを見てまた胸がキュンとした。

「ルースさん、綺麗」
「セーヤこそ」

 太陽の頬に手を添えてルースが口付けてきた。触れる指、口付ける唇、見つめる瞳。その全てが、惜しみなく太陽に愛を伝えてくる。

「セーヤ愛してるよ」

 自分に組み敷かれ、潤んだ瞳で見上げてくる太陽はとても煽情的だった。黒い瞳に柔かい光が映り込んで、まるで宝石の様だった。

 少しの間休憩で休めていた動きを再開すると、再び組み敷かれた太陽が哭いた。その姿が、その声がルースを刺激する。

 白い肌がなめまかしくて、紅潮した頬も、さらす喉も、全部を自分の物にしたくて、口付けていく。

 誰にも渡さない。この子は自分の物。
 絶対にもう離さない。

 太陽に快感を送り続けながら。ルースは彼の身体中に所有の証をつけ続けた。



◇◇◇



「ルースさん、これ、どうするんですか?」

 2人の甘い時間が落ち着き、冷静になった頃。太陽は自分の身体の様子にやっと気づいた。

 裸のまま寄り添っていた身体を起こして、慌てて胸元や手や足を確認する。身体中の至る所に、ルースからのキスマークがついていた。

 多分見えないけど、背中やうなじにも。

 北にいる間は極寒でモコモコ服だからいいけど、この地を一歩出ればもっと薄着になるのに!

 太陽の視線を受けて、ルースは素知らぬフリで目線を逸らした。それを見て太陽は察する。これは確信犯だ!

「ルースさん!俺、明後日には人前に出るんですよ!」
「……君が僕の物だって証をつけたかったんだ」
「~~~っ」

 まただ。前のルースとは違う一面。

 前より独占欲が強い。でもそれがまた嬉しくて、怒るに怒れず、口がムニムニとしてしまう。

「怒った?」

 最初の頃、自分ばかりがルースを追いかけてたのだから、こんなに沢山好きだって伝えてもらって嫌な訳がない。

「怒ってないけど…恥ずかしいです」

 思わずルースに抱きついて顔を埋めた。

「せめて…見えない所にして下さい」
「わかった。そうするよ」

 ルースは太陽を寝かせたまま起き上がると、太陽の足を取り太ももに唇を這わせて吸い付た。

「な、な、何してるんですか!?」

 チュッとリップ音鳴らして、ルースが太陽の太ももから口を離した。

「見えない所ならいいんでしょ?」
「~~~っ」

 その言い方が、その目線が何だかセクシーで。ずるい、と思ったら身体が反応してしまってー。

「感じたの?」

 ルースの顔が太ももから下に降りてくる。
 立ち上がりかけた物を口に含まれー。

「ん、ふぁ」
「愛してるよ、セーヤ」

 再びルースに翻弄されたのだった。
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