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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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何とか精神のバランスを保った太陽を連れて、一向は西の館に戻った。
ルースの事も勿論心配だが、実は魔王に会ってから太陽自身にも大きな変化があったのだ。それを本人に伝える必要があった。
テーブルと椅子のある広めの部屋へ移動してから、改めて空が太陽に話しかけた。
「セーヤよ。今はルースの事で辛いと思うが、お前自身の変化も伝えないといけない。だから話を聞いてくれるか?」
こくん、と太陽は無言で頷いて見せた。
太陽自身の事なら自分から聞かなければいけない筈だが、いまだ太陽は心が傷つき麻痺していた。
大人しく話を聞くだけで精一杯な精神状態なのは見てとれた。
とりあえず太陽が肯定した事を確認して、空は話を続けた。
「改めて各地を収める種族について説明する。土地を治める種族は他の種族には無い特殊な能力がある」
東の銀狼が風と獣を従える能力。
南のエルフが地と緑を操る能力。
西の鳥族は雷と鳥を従える能力。
北の妖精は水と妖精を従える能力。
そして中央は火と光と全種族を制圧する能力。
火と光…と呟いた太陽に空が頷いた。
「覚えてるか?魔王を退けたのはお前が弓で放った金の炎だ」
「…覚えてない」
「お前の放った巨大な金の炎はその後爆発して、そのままお前の聖気が各地に分散した。それによって人間達の土地の瘴気が祓われた」
「…空が東の森の結界を張った時みたいに?」
「そうだ」
じゃあ、東の村の場所の瘴気も祓われたかもしれない。太陽は漠然とそう思った。
「それは良いことだよね?」
「あぁ。だが代わりに、中央の瘴気が祓われ結界が張られた事で、500年ぶりに光の聖女が現れた事が世界に知られた」
その時、鳥族の男達が部屋に飛び込んで来た。
「長、大変っす!人間どもが谷に押しかけてきてます!」
「金坊主に会わせろって騒いでますぜ!」
「あーもう!アンタらうるさい!」
それまで静かにしていた西の長がブチギレた。
「セーヤはまだ本調子じゃないんだよ!そいつらはほっときな!」
「金坊主?俺のこと?」
ベイティが指輪から鏡の様な物を取り出した。それを渡され覗き込む。鏡に映っていたのは、確かに太陽だった。
だが、黒い筈の髪と目は金色に変化していた。
「何だよ、これ、何でこんな頭に?」
見慣れた姿と違い過ぎて太陽は唖然とした。
「光の聖女と勇者が現れる時、選ばれた人間は髪や目が金色に変化する」
「そんな…」
「奴らは中央の王城にお前を迎え入れて、新たな王族誕生の旗印にしたいんだろう」
空の言葉に、太陽はゾッとした。
迎え入れると言ってるが、実質軟禁。下手したら監禁かもしれない。何故か直観でそう思った。
衝撃で、少しずつ麻痺していた思考が動き出してきた。
その時、また別の鳥族達が飛び込んで来た。
「長ー!人間らが攻撃して来ました!」
「アイツらやべーですぜ」
「もう、なんなんだい!さっきから」
どうやら人間達は、魔王の配下である西の鳥族が太陽を攫ったと思い、西の土地を攻撃してきてるそうだ。
「俺が行きます」
「やめておきな。せっかく危ない所を助かったのに今は休んだ方がいい」
鳥族の長が太陽を止めた。それにガソルが正反対の意見を述べた。
「だが鎮静させるなら早い方がいいのでは?東西南の長が集ってるのだから、元より会合の為に集まっていたと言えばどうだ?」
ガソルの最もな意見にベイティも同意した。
「確かに。では人間側の代表だけ呼んではどうだい?」
「…王族かい?」
「王族…」
「ムー」
ベイティの意見に鳥の長と悪男とショーキは嫌そうだ。あまり良いイメージが無いのかもしれない。
「ふぅ。でも仕方ないね。じゃあ向こうの代表だけ呼んで意見を交わす。それでどうだい?」
「みんなが居てくれるから、俺もその方がいいです」
太陽の同意を確認した後、鳥の長は人間の代表数人だけ受け入れるとし、鳥族に指示を出した。
ルースの事も勿論心配だが、実は魔王に会ってから太陽自身にも大きな変化があったのだ。それを本人に伝える必要があった。
テーブルと椅子のある広めの部屋へ移動してから、改めて空が太陽に話しかけた。
「セーヤよ。今はルースの事で辛いと思うが、お前自身の変化も伝えないといけない。だから話を聞いてくれるか?」
こくん、と太陽は無言で頷いて見せた。
太陽自身の事なら自分から聞かなければいけない筈だが、いまだ太陽は心が傷つき麻痺していた。
大人しく話を聞くだけで精一杯な精神状態なのは見てとれた。
とりあえず太陽が肯定した事を確認して、空は話を続けた。
「改めて各地を収める種族について説明する。土地を治める種族は他の種族には無い特殊な能力がある」
東の銀狼が風と獣を従える能力。
南のエルフが地と緑を操る能力。
西の鳥族は雷と鳥を従える能力。
北の妖精は水と妖精を従える能力。
そして中央は火と光と全種族を制圧する能力。
火と光…と呟いた太陽に空が頷いた。
「覚えてるか?魔王を退けたのはお前が弓で放った金の炎だ」
「…覚えてない」
「お前の放った巨大な金の炎はその後爆発して、そのままお前の聖気が各地に分散した。それによって人間達の土地の瘴気が祓われた」
「…空が東の森の結界を張った時みたいに?」
「そうだ」
じゃあ、東の村の場所の瘴気も祓われたかもしれない。太陽は漠然とそう思った。
「それは良いことだよね?」
「あぁ。だが代わりに、中央の瘴気が祓われ結界が張られた事で、500年ぶりに光の聖女が現れた事が世界に知られた」
その時、鳥族の男達が部屋に飛び込んで来た。
「長、大変っす!人間どもが谷に押しかけてきてます!」
「金坊主に会わせろって騒いでますぜ!」
「あーもう!アンタらうるさい!」
それまで静かにしていた西の長がブチギレた。
「セーヤはまだ本調子じゃないんだよ!そいつらはほっときな!」
「金坊主?俺のこと?」
ベイティが指輪から鏡の様な物を取り出した。それを渡され覗き込む。鏡に映っていたのは、確かに太陽だった。
だが、黒い筈の髪と目は金色に変化していた。
「何だよ、これ、何でこんな頭に?」
見慣れた姿と違い過ぎて太陽は唖然とした。
「光の聖女と勇者が現れる時、選ばれた人間は髪や目が金色に変化する」
「そんな…」
「奴らは中央の王城にお前を迎え入れて、新たな王族誕生の旗印にしたいんだろう」
空の言葉に、太陽はゾッとした。
迎え入れると言ってるが、実質軟禁。下手したら監禁かもしれない。何故か直観でそう思った。
衝撃で、少しずつ麻痺していた思考が動き出してきた。
その時、また別の鳥族達が飛び込んで来た。
「長ー!人間らが攻撃して来ました!」
「アイツらやべーですぜ」
「もう、なんなんだい!さっきから」
どうやら人間達は、魔王の配下である西の鳥族が太陽を攫ったと思い、西の土地を攻撃してきてるそうだ。
「俺が行きます」
「やめておきな。せっかく危ない所を助かったのに今は休んだ方がいい」
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「だが鎮静させるなら早い方がいいのでは?東西南の長が集ってるのだから、元より会合の為に集まっていたと言えばどうだ?」
ガソルの最もな意見にベイティも同意した。
「確かに。では人間側の代表だけ呼んではどうだい?」
「…王族かい?」
「王族…」
「ムー」
ベイティの意見に鳥の長と悪男とショーキは嫌そうだ。あまり良いイメージが無いのかもしれない。
「ふぅ。でも仕方ないね。じゃあ向こうの代表だけ呼んで意見を交わす。それでどうだい?」
「みんなが居てくれるから、俺もその方がいいです」
太陽の同意を確認した後、鳥の長は人間の代表数人だけ受け入れるとし、鳥族に指示を出した。
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