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第六章 運命を壊す者
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早朝。暑い雲に覆われた世界でも、ほんのりと朝の気配が感じられる頃合い。
昨夜の酒の影響を微塵も感じさせず、鳥族達は大きな翼をはためかせ、空に舞った。その背には王女達一行が乗っている。
その様子を、二日酔いでゲッソリしたエルフ達が地上から見送った。この後エルフ達は移動の魔法陣で里に戻る予定だ。
「ルース!落ち着いたら里にも顔を出すんだぞ!」
「はい。行ってきます、長」
ほんのり目元を腫らしたルースが、悪男の背に乗りながらベイティに手を振った。
次の目的地は中央の北寄りの土地だった。
昨日のうちに東の銀狼達に頼んでアキエス達に通達を依頼していたので、王女達が着く頃には合流出来る予定だ。
赤い鳥の集団は遮る物がない大空をぐんぐん飛んで行く。
下に広がる南の土地は、見渡す限り、どこまでも続く豊かな緑が広がっていた。
封印に使った土地はもう遥か後方。振り返れば、遠くに真っ黒に広がる地と金色に光る魔法陣が見えた。
「ルースどうした?」
「何でも無い」
空に声をかけられてルースは顔を振った。
かつてエルフは世界の緑を守る為、世界を巡った。そして今、世界を救う為、緑を犠牲にしている。それがルースを感傷的にさせる。
でも、今、ルースには何を犠牲にしても譲れない者が出来た。
今日できっとカタがつく。ルースは先を行く王女の背中を見つめた。
◇◇◇
「協力に感謝する」
中央の目的地についた魔王は先に着いていたアキエスと対峙した。
「いえ、お会い出来て光栄です。妖精王様」
アキエスとその護衛の数名の人間達が跪き頭を垂れた。
アキエスは人間代表としてココにはいるが、本来は王族が担うべき役割。あくまで代行として弁えている為、各地の代表である長達はアキエスにとって格上だ。
「良い、楽にしろ」
「はい」
顔を上げ立ち上がったアキエスは、魔王の後ろにいた人物を見て、え?と声を上げた。
他の人間達も同様に驚きで目を見開いた。
何故ならアキエスにソックリな金髪に金色の目の男がいたからだ。
「ラリエスにソックリ」
「私の方が良い男でしょ」
「やはりラリエスの様に強いのか?」
「ふん、捻り潰してやります」
キャスの興味を引いたアキエスをラリエスが殺意を込めて睨んだ。
アキエス達は震え上がっている。
「自分の子孫を敵視してどうするの」
「ラリエス、今すべき事に集中しろ」
様子を見ていたルースと空が、見兼ねて仲裁に入った。
空がアキエス達を庇う様にラリエスとの間に入り、その隙にルースはアキエス達にあれが500年前の勇者だと説明した。
ちなみに悪男は長時間飛び続けて、グッタリと地べたに座って休んでいる。
「勇者様!」
彼が500年前に姿を消した勇者だと知ったアキエス達一行は尊敬の目で、ラリエスを見つめた。光の勇者は人間達の中から最強の男が選ばれる。小さい頃から聞かされたおとぎ話の主人公が今目の前にいるのだ。
肝心のラリエスは全く興味が無いようで迷惑そうだ。
「ラリエスよ、アキエスにはこれから世話になるのだ。大事にした方がいいと思うぞ」
「何故ですか?」
ラリエスの様子に空が呆れた様に彼を諌める。
「500年経ってるんだぞ。封印後どうやって生活するんだ」
「そんなの決まってます。キャスと結婚します」
「ラリエス…」
頬を染めるキャスをラリエスが優しく抱擁した。
もう…この阿保は知らん。空は説得をあきらめた。
代わりにルースが封印後のラリエス達のフォローをアキエス達に頼んだのだった。
昨夜の酒の影響を微塵も感じさせず、鳥族達は大きな翼をはためかせ、空に舞った。その背には王女達一行が乗っている。
その様子を、二日酔いでゲッソリしたエルフ達が地上から見送った。この後エルフ達は移動の魔法陣で里に戻る予定だ。
「ルース!落ち着いたら里にも顔を出すんだぞ!」
「はい。行ってきます、長」
ほんのり目元を腫らしたルースが、悪男の背に乗りながらベイティに手を振った。
次の目的地は中央の北寄りの土地だった。
昨日のうちに東の銀狼達に頼んでアキエス達に通達を依頼していたので、王女達が着く頃には合流出来る予定だ。
赤い鳥の集団は遮る物がない大空をぐんぐん飛んで行く。
下に広がる南の土地は、見渡す限り、どこまでも続く豊かな緑が広がっていた。
封印に使った土地はもう遥か後方。振り返れば、遠くに真っ黒に広がる地と金色に光る魔法陣が見えた。
「ルースどうした?」
「何でも無い」
空に声をかけられてルースは顔を振った。
かつてエルフは世界の緑を守る為、世界を巡った。そして今、世界を救う為、緑を犠牲にしている。それがルースを感傷的にさせる。
でも、今、ルースには何を犠牲にしても譲れない者が出来た。
今日できっとカタがつく。ルースは先を行く王女の背中を見つめた。
◇◇◇
「協力に感謝する」
中央の目的地についた魔王は先に着いていたアキエスと対峙した。
「いえ、お会い出来て光栄です。妖精王様」
アキエスとその護衛の数名の人間達が跪き頭を垂れた。
アキエスは人間代表としてココにはいるが、本来は王族が担うべき役割。あくまで代行として弁えている為、各地の代表である長達はアキエスにとって格上だ。
「良い、楽にしろ」
「はい」
顔を上げ立ち上がったアキエスは、魔王の後ろにいた人物を見て、え?と声を上げた。
他の人間達も同様に驚きで目を見開いた。
何故ならアキエスにソックリな金髪に金色の目の男がいたからだ。
「ラリエスにソックリ」
「私の方が良い男でしょ」
「やはりラリエスの様に強いのか?」
「ふん、捻り潰してやります」
キャスの興味を引いたアキエスをラリエスが殺意を込めて睨んだ。
アキエス達は震え上がっている。
「自分の子孫を敵視してどうするの」
「ラリエス、今すべき事に集中しろ」
様子を見ていたルースと空が、見兼ねて仲裁に入った。
空がアキエス達を庇う様にラリエスとの間に入り、その隙にルースはアキエス達にあれが500年前の勇者だと説明した。
ちなみに悪男は長時間飛び続けて、グッタリと地べたに座って休んでいる。
「勇者様!」
彼が500年前に姿を消した勇者だと知ったアキエス達一行は尊敬の目で、ラリエスを見つめた。光の勇者は人間達の中から最強の男が選ばれる。小さい頃から聞かされたおとぎ話の主人公が今目の前にいるのだ。
肝心のラリエスは全く興味が無いようで迷惑そうだ。
「ラリエスよ、アキエスにはこれから世話になるのだ。大事にした方がいいと思うぞ」
「何故ですか?」
ラリエスの様子に空が呆れた様に彼を諌める。
「500年経ってるんだぞ。封印後どうやって生活するんだ」
「そんなの決まってます。キャスと結婚します」
「ラリエス…」
頬を染めるキャスをラリエスが優しく抱擁した。
もう…この阿保は知らん。空は説得をあきらめた。
代わりにルースが封印後のラリエス達のフォローをアキエス達に頼んだのだった。
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