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第六章 運命を壊す者

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 王女と皆の再会が落ち着くと、早速瘴気を封印する話し合いになった。

 扉付近にいたルース達も呼ばれた。呼び寄せたのはラリエスだ。王女はルース達をずっと無視していた。

 既に瘴気を封印する規模も場所も決まっているので、どちらかといえば魔王達への報告に近い。その上で、早速明日から西の砂漠へ向かう事になった。

「今日はもう遅い。皆、ここで休んで行くが良い」

 魔王の声を合図に話し合いは解散した。



「キャス!いくら何でも、それは許せません!」

 話し合い終了後、早速ラリエスとキャスが揉め出した。理由は、キャスが今夜は王女と一緒の部屋で寝ると言い出したからだ。

 ラリエスに抵抗して、キャスは王女の腕にしがみついている。

「せっかく再び会えたのに、何故とめる」
「中身は王女でも、今は彼の身体は男です!何かあったらどうするんですか!」
「団長じゃあるまいし。姫様はそんな事しない」

 2人のやり取りに、周囲には「ラリエスは手が早い」という認識が広がった。

 強情なキャスに、ラリエスが抗議する対象をルースに変えた。

「ちょっと!緑の!貴方はいいんですか?セーヤは貴方の恋人でしょ?キャスは魅力的だから、コロッと惚れてしまうかもしれないですよ!」

 無言で見守っていたルースは、チラッと太陽の姿である王女に視線を向ける。

「僕は別にいいと思うよ」

 その言葉に王女は無言で眉を顰めて、ラリエスはルースの胸ぐらを掴んだ。

「はあ!?何言ってるんですかクソ緑。中身が別人なら、もうどうでもいいんですか?」
「違うよ」

 ラリエスの手を服から外しながら、ルースはジッとラリエスを見つめた。

「王女は彼女と友人として仲が良かったんだろう?なら間違いは起きないと思うよ。500年会えなかったんだ。久しぶりに語る時間位、多めに見てあげたら?器が小さな男だと思われるよ?」

 太陽の中にいる王女は世界を救う為に、自分の危険も顧みずに行動する意思の強さがある。なら、ここでキャスに手を出してラリエスの怒りを買うことはしないだろう。

 ルースの言葉にラリエスはムスッとしながらも「わかりました」と渋々承諾した。



◇◇◇



「それで…何故其方らはココにいるのだ?」
「キャス達が仲良くで過ごすんですから、たまには私達が男同士でつるんでもいいでしょう?」

 本当に嫌そうに、渋々キャスと王女が一緒に過ごす事を承諾したラリエスは、ルース、空、悪男を引き連れて魔王の部屋へ突撃した。

 ちなみにルース達3人は、ルースの言う通りにしたのだから、自分の言う事も1つ聞けと言われて無理やり連れてこられている。

 魔王は休む所だったらしく、珍しく黒いローブを脱いで軽装だった。

「…わざわざ瘴気の元へ来る必要は無かろう」
「ふん。聞きたい事もあるんです」

 スタスタと魔王のベッドに行くと、ラリエスはドカッと座った。気のせいかキャスがいる時より、態度も言葉遣いも荒々しい。

 呆れながらもルース達も、適当に部屋のソファに座った。

「聞きたい事とは?」
「王女ですよ。何故いきなり意識が変わったんです?」

 ラリエスの質問にルース達も、真剣な表情に切り替えて2人を見つめた。
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