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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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「水が巡れば、いずれ我も生命尽き世界を巡る。そしたら瘴気を取込み浄化が出来る者がいなくなる。だからだ」
「そんな…」
なんて残酷であまりに身勝手な采配。太陽は言葉を失った。
これには、それまで静かに話を聞いていて援軍チームからも酷すぎる、と声がきこえた。
「戻しましょう…全て…こんな世界は…間違ってる」
胸が苦しくて鼻がツンとした。懸命に涙を堪える。辛いのは自分じゃない。目の前のこの人なのに。
「そうか。それがそなたの答えか」
魔王は静かな瞳で太陽を見つめた。
「では我を封印せよ。そして世の理を正せ」
「封印しろって…何故ですか!?」
「すでに瘴気となった物は戻せない。浄化せねばならん。だから今ある瘴気は我が引き受ける。この次の瘴気からそなたらがどうにかせよ。どのみちもう今後、光の王女は産まれん…そうすれば、おのずと我の役割も終える」
魔王が何の期待をしない理由がわかった気がした。始めから瘴気を溜めない世界に、彼は自分自身を入れてないのだ。
「そんなの嫌です!何か、何か方法は無いですか!少しずつでも、これまでの瘴気を薄くしていく方法とか!」
「媒体が必要なのだ。これまでの多くの瘴気を受け止められる器と、それを浄化するだけの力が」
「器…」
瘴気を受け止めれる器。全然検討がつかない。
それまで黙って聞いていた空が口を開いた。
「東の森にある湖はどうだ?」
「空?」
「魔王よ。湖に瘴気を移し、東の青の聖気で浄化し続けるのはどうか」
「…足りぬ。移せても半分にも満たぬ」
魔王の頭の小鳥がピィーと鳴いて羽ばたき、太陽の肩へ移動した。そのまま悪男が話し出す。
「なら一部を西の砂漠に移すのはどうだ!?」
「何?」
「今の砂漠は元々生き物が少ない!しかも広大だ。でも姉ちゃんの聖気はちゃんと届く!」
ショーキがワケっこ!ワケっこ!と鳴いて、今度は羽ばたいて部屋を旋回した。
鳥族達も、そーだ!そーだ!俺らの長ならやってくれる!と騒ぎ出した。
その時、太陽の耳に懐かしい声が聞こえた。
「なら…南でも一部を引き受けるよ」
そんなまさか。そんな筈ない。
信じられない気持ちで声のした方向を見る。
氷の部屋へ続く扉が開いていて、ドアに緑の髪をした男が寄りかかっていた。
「ルースさん!?」
氷の中に閉じ込められていた筈のルースだった。エルフ達からもルース様だ!と喜びの声が上がった。
太陽はルースに駆け寄った。
近寄り手にとったルースの左手は冷たかった。身体が濡れている事は無いが、顔も血の気が無く青白い。
「自分から氷を出たんですか?どうやって…」
「私が溶かしました。時が来たのでね」
ルースに続いて出て来たのは、金の巻き毛の男ラリエスだった。
垂れ目の甘いマスクで一見軽薄そうだが、豪華で派手な騎士服に豊かな金髪がとても似合っていて、ある意味男を高貴に見せていた。
援軍メンバーから、勇者様だ!と声が上がった。中には、さっき王族捕らえた奴じゃないの?と不思議がってる者もいる。それ位、アキエスとラリエスはよく似ていた。
続いて出て来たのは、ラリエスと一緒に氷の中で横たわっていた女騎士キャスだった。
ラリエスと対照的に彼女は華やかさより機能性を重視したシンプルな鎧をつけていた。とても美人だが、どちらかといえば実直そうな真面目そうな雰囲気が前面に出ている印象だった。
「時が来るにはまだ早い」
「来ましたよ」
魔王の言葉を一蹴すると金髪の男ラリエスはツカツカと魔王や空の方へ近づくと、空いていた1人掛けのソファにドカッと座った。
「光の聖女が解決策を探してこの世界に戻り、今ここに各地の代表者になれる者がいるんです。これで今でなくて、いつだと言うんです?」
そして偉そうに足を組んで、不敵に笑った。
「じゃあ、とっとと、あのイカれクソ女をやっつける作戦会議といきましょう」
「そんな…」
なんて残酷であまりに身勝手な采配。太陽は言葉を失った。
これには、それまで静かに話を聞いていて援軍チームからも酷すぎる、と声がきこえた。
「戻しましょう…全て…こんな世界は…間違ってる」
胸が苦しくて鼻がツンとした。懸命に涙を堪える。辛いのは自分じゃない。目の前のこの人なのに。
「そうか。それがそなたの答えか」
魔王は静かな瞳で太陽を見つめた。
「では我を封印せよ。そして世の理を正せ」
「封印しろって…何故ですか!?」
「すでに瘴気となった物は戻せない。浄化せねばならん。だから今ある瘴気は我が引き受ける。この次の瘴気からそなたらがどうにかせよ。どのみちもう今後、光の王女は産まれん…そうすれば、おのずと我の役割も終える」
魔王が何の期待をしない理由がわかった気がした。始めから瘴気を溜めない世界に、彼は自分自身を入れてないのだ。
「そんなの嫌です!何か、何か方法は無いですか!少しずつでも、これまでの瘴気を薄くしていく方法とか!」
「媒体が必要なのだ。これまでの多くの瘴気を受け止められる器と、それを浄化するだけの力が」
「器…」
瘴気を受け止めれる器。全然検討がつかない。
それまで黙って聞いていた空が口を開いた。
「東の森にある湖はどうだ?」
「空?」
「魔王よ。湖に瘴気を移し、東の青の聖気で浄化し続けるのはどうか」
「…足りぬ。移せても半分にも満たぬ」
魔王の頭の小鳥がピィーと鳴いて羽ばたき、太陽の肩へ移動した。そのまま悪男が話し出す。
「なら一部を西の砂漠に移すのはどうだ!?」
「何?」
「今の砂漠は元々生き物が少ない!しかも広大だ。でも姉ちゃんの聖気はちゃんと届く!」
ショーキがワケっこ!ワケっこ!と鳴いて、今度は羽ばたいて部屋を旋回した。
鳥族達も、そーだ!そーだ!俺らの長ならやってくれる!と騒ぎ出した。
その時、太陽の耳に懐かしい声が聞こえた。
「なら…南でも一部を引き受けるよ」
そんなまさか。そんな筈ない。
信じられない気持ちで声のした方向を見る。
氷の部屋へ続く扉が開いていて、ドアに緑の髪をした男が寄りかかっていた。
「ルースさん!?」
氷の中に閉じ込められていた筈のルースだった。エルフ達からもルース様だ!と喜びの声が上がった。
太陽はルースに駆け寄った。
近寄り手にとったルースの左手は冷たかった。身体が濡れている事は無いが、顔も血の気が無く青白い。
「自分から氷を出たんですか?どうやって…」
「私が溶かしました。時が来たのでね」
ルースに続いて出て来たのは、金の巻き毛の男ラリエスだった。
垂れ目の甘いマスクで一見軽薄そうだが、豪華で派手な騎士服に豊かな金髪がとても似合っていて、ある意味男を高貴に見せていた。
援軍メンバーから、勇者様だ!と声が上がった。中には、さっき王族捕らえた奴じゃないの?と不思議がってる者もいる。それ位、アキエスとラリエスはよく似ていた。
続いて出て来たのは、ラリエスと一緒に氷の中で横たわっていた女騎士キャスだった。
ラリエスと対照的に彼女は華やかさより機能性を重視したシンプルな鎧をつけていた。とても美人だが、どちらかといえば実直そうな真面目そうな雰囲気が前面に出ている印象だった。
「時が来るにはまだ早い」
「来ましたよ」
魔王の言葉を一蹴すると金髪の男ラリエスはツカツカと魔王や空の方へ近づくと、空いていた1人掛けのソファにドカッと座った。
「光の聖女が解決策を探してこの世界に戻り、今ここに各地の代表者になれる者がいるんです。これで今でなくて、いつだと言うんです?」
そして偉そうに足を組んで、不敵に笑った。
「じゃあ、とっとと、あのイカれクソ女をやっつける作戦会議といきましょう」
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