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第二章 闇に囚われし緑よ、いずれ

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 シーン

 誰も言葉を発しない。

 数秒のち、長、ユナ、ダルダリがこちらを見る。無言で!

 空の馬鹿ぁ!何言ってくれてんの!

 もう太陽は羞恥で真っ赤だし、何なら少しぷるぷる震えている。

 またもや太陽の心の声が聞こえたのか、空がハハッと笑いながら太陽の元へやって来た。

 そして恥ずかしさの余り涙目になった太陽の目元にソッと指を近づける。

 太陽の涙を掬うと、今度は長の元へ行って、ほら、と無理やり長の口に指を入れた。

「むぐっ!おいこら!…ん?」

 最初、空に怒った長だったが、途中で驚いた表情になった。

「何だこれは?少量だが力が湧いてくるな。金の力か?」
「そうだ。セーヤの力は我等に力を与えて、巣喰った瘴気を祓う。オレが東の森に新たな結界を張り、同胞を闇堕ちから救えたのはセーヤの金の力を取り入れたからだ」
「そうかこれは凄いな」

 長も驚いている。

 みんなの気が逸れた事で注目から外れた太陽は、恐る恐る下からルースを見上げた。

 軽く微笑んだままフリーズしてる様だった。

 確か前に、東の村の宿でベッドにいる太陽と空を見た時もこんな表情をしていた。

 もしかしたら何か混乱した時はこういう表情になるのかもしれない。

 そんな風に太陽が油断した時。

「体液って涙の事だったのね!何だ驚いちゃった!」
「いや、やはり効果的なのは精液だな」

 再び場が凍りついた。
 シーン、と音がしそうだ。

 ユナが気まずそうに紅茶を飲んだ。

 ダルタリも紅茶に手をつける。

 その横で長が恐る恐る尋ねた。

「青よ。お前達はそういう関係なのか」
「いや、オレが力を取り戻す為に一方的に迫っただけだ。ルースじゃないと嫌だって泣くから最後まではしてないな」

 ブホッとダルタリが紅茶を吹いた。咳き込むダルタリへユナが慌ててハンカチらしき物を渡してる。

 赤裸々に全てを晒されて、もう太陽は真っ赤になって顔を隠して震える事しか出来なかった。

 長、ユナ、ダルタリから同情する様な視線がビシバシ伝わってきて辛い。

「だからよ。もういい加減、覚悟を決めろルース」

 半泣きになっていたら、気づけばすぐ側に空が立っていた。テーブルに手を置いて、ルースに迫る様に顔を近づけている。

「オレがどうにかする前に、毎回先にセーヤを助けやがって。お前だって好きなんだろ?」
「っ、僕は…」
「金の相手は金だと決めつけるな。500年前はそれが原因で聖女は追い詰められた。なのにお前は同じ理由でセーヤを追い詰めるのか?」
「!」
「オレの主をもう泣かすな」

 ふん、と空が鼻を鳴らして獣化する。役目は終わったとばかりに、そのままルースの足元に丸くなった。

 ルースの足元の空を見る為、身を乗り出していた太陽は、そのまま視線を上げた。
 
 同じ様に足元を見ていたルースと視線が合った。

 もうルースは微笑んでなかった。真面目な顔で太陽を見つめていた。


ーーー


 次話からR18要素入ります。閲覧ご注意ください。
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