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第二章 闇に囚われし緑よ、いずれ
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太陽は気づいたらルースの胸に抱きついていた。
「ルースさん。俺、貴方が好きです」
周囲の音は静かで、聞こえてくるのは焚き火と遠くに聞こえるマノスの声だけだった。
自分の鼓動がやけに大きく聞こえる。
ルースがそっと、太陽を押し戻した。
「セーヤ。気持ちは嬉しいよ。でもその気持ちには応えられない」
「ルースさん…」
「それにセーヤは戻らないといけないんだろう?大切な人を待たせてるんじゃないの?」
「いません。大切な人はもう…いないんです」
両親の顔が浮かんで、声が震えた。
あの世界に太陽を待ってくれている人はいない。その事実を今さら思い出し泣きそうになる。
その様子を見てルースが躊躇いがちに、再び太陽を胸に引き寄せてくれた。優しい花の香りがした。
「恋人じゃなくてもいいんです。俺を抱いてくれませんか?」
「僕はね、誰とでも寝るけど、単にそういう事が好きでやってるんじゃないんだ」
「…どういう事ですか?」
「前に見た事があると思うけど…背中の傷は呪いなんだよ。寝ると家族が殺された時の夢を見るんだ」
ルースの言葉にゾッとした。
前に見たルースの背中の傷を思い出す。黒ずんで変色した部分があった。
「呪いを解く方法は…」
「旅をしながら探してるけど、今のところは見つかってない。瘴気の濃い場所ほど酷くてね。少しでも気をまぎらわせる為に、誰かと一緒に過ごしてる。だから相手は僕に好意を抱いていない方がいい」
それがルースなりの線引き。
ひどい人だ。
それなら始めから優しくなんかしなければいいのに。告白されてフッた相手なら、もっと冷たくしてくれたらいいのに。
離れがたくて太陽はキュッとルースの服を掴んで、甘える様にその胸に擦り寄った。
「ルースさんは俺と小屋にいた時や村に向かう時はどうしてたんですか?」
「小屋ではほとんど寝てないよ。ソラが瘴気を祓った後は空気が綺麗になったから、休めたけどね」
ずっと太陽より後に寝て、先に起きてるのだと思ってた。
昨日店主とシタ後はゆっくり休んだのだろうか。
前に太陽と一夜を明かした時の様に無防備な寝顔を晒して。
胸が苦しくなる。
「俺じゃダメですか?」
「セーヤ…でも君は…。ソラ何で止めないんだ?お前だってわかってるんだろ?」
「オレは何度か止めたぞ。でもお前の事が好きだって泣かれたらもう何も言えん」
ソラの言葉にルースが困ってる。困らせたい訳じゃないのに。
でも間に空を挟もうとするのは、自分に向き合って貰えてない様で嫌だった。
思わずルースに迫る様に縋ってしまう。
「どうして空に聞くんですか?空は大切な家族ですけど、俺が好きなのはルースさんです」
「違う、違うんだセーヤ、そうじゃなくて」
離れた所から一際大きなマノスの嬌声とラドのうめき声が聞こえてきた。
激しく木を揺らしたのか、バサバサと鳥の羽音が聞こえた。
俺もあんな風にこの人に愛されたい。自分でも何でここまでルースに惹かれるのかわからなかった。
例え恋人でなくてもいいから、自分に向き合って欲しかった。
「…この話の続きは明日目的地に着いてからにしよう」
そっと太陽の手を外してからルースは太陽を横抱きして荷馬車に運んだ。そのまま太陽を荷馬車に寝かせる。
「今日はもうおやすみ」
「ルースさん…」
「ソラ後は頼んだよ」
そう言ってルースは焚き火の元へ行ってしまった。
彼はまた今夜も寝れないまま過ごすのだろうか。
どうして自分ではダメなの?どうして。
寂しさに涙が出てくる。
そこにマノスを横抱きにしたラドが戻って来た。マノスは失神してるのか、ピクリとも動かない。
マノスを荷台に乗せながら、ラドがニヤニヤと太陽を眺める。
「何だルースに相手にされなかったのか?可愛い子ちゃん」
「……」
「俺でよければいつでも抱いてやるぜ」
舌舐めずりしてラドは出て行った。荷台は2人が限度なので、恐らく御者台で寝るのだろう。
子犬の空が太陽の頬を舐めてきた。ギュッと空を抱きしめる。今は空の温もりが嬉しかった。
「今日はもう寝ろ。明日また話せばいい」
「わかった。側にいてくれて、ありがとう」
空の温もりで寂しさを紛らわせながら、太陽は目を閉じた。
「ルースさん。俺、貴方が好きです」
周囲の音は静かで、聞こえてくるのは焚き火と遠くに聞こえるマノスの声だけだった。
自分の鼓動がやけに大きく聞こえる。
ルースがそっと、太陽を押し戻した。
「セーヤ。気持ちは嬉しいよ。でもその気持ちには応えられない」
「ルースさん…」
「それにセーヤは戻らないといけないんだろう?大切な人を待たせてるんじゃないの?」
「いません。大切な人はもう…いないんです」
両親の顔が浮かんで、声が震えた。
あの世界に太陽を待ってくれている人はいない。その事実を今さら思い出し泣きそうになる。
その様子を見てルースが躊躇いがちに、再び太陽を胸に引き寄せてくれた。優しい花の香りがした。
「恋人じゃなくてもいいんです。俺を抱いてくれませんか?」
「僕はね、誰とでも寝るけど、単にそういう事が好きでやってるんじゃないんだ」
「…どういう事ですか?」
「前に見た事があると思うけど…背中の傷は呪いなんだよ。寝ると家族が殺された時の夢を見るんだ」
ルースの言葉にゾッとした。
前に見たルースの背中の傷を思い出す。黒ずんで変色した部分があった。
「呪いを解く方法は…」
「旅をしながら探してるけど、今のところは見つかってない。瘴気の濃い場所ほど酷くてね。少しでも気をまぎらわせる為に、誰かと一緒に過ごしてる。だから相手は僕に好意を抱いていない方がいい」
それがルースなりの線引き。
ひどい人だ。
それなら始めから優しくなんかしなければいいのに。告白されてフッた相手なら、もっと冷たくしてくれたらいいのに。
離れがたくて太陽はキュッとルースの服を掴んで、甘える様にその胸に擦り寄った。
「ルースさんは俺と小屋にいた時や村に向かう時はどうしてたんですか?」
「小屋ではほとんど寝てないよ。ソラが瘴気を祓った後は空気が綺麗になったから、休めたけどね」
ずっと太陽より後に寝て、先に起きてるのだと思ってた。
昨日店主とシタ後はゆっくり休んだのだろうか。
前に太陽と一夜を明かした時の様に無防備な寝顔を晒して。
胸が苦しくなる。
「俺じゃダメですか?」
「セーヤ…でも君は…。ソラ何で止めないんだ?お前だってわかってるんだろ?」
「オレは何度か止めたぞ。でもお前の事が好きだって泣かれたらもう何も言えん」
ソラの言葉にルースが困ってる。困らせたい訳じゃないのに。
でも間に空を挟もうとするのは、自分に向き合って貰えてない様で嫌だった。
思わずルースに迫る様に縋ってしまう。
「どうして空に聞くんですか?空は大切な家族ですけど、俺が好きなのはルースさんです」
「違う、違うんだセーヤ、そうじゃなくて」
離れた所から一際大きなマノスの嬌声とラドのうめき声が聞こえてきた。
激しく木を揺らしたのか、バサバサと鳥の羽音が聞こえた。
俺もあんな風にこの人に愛されたい。自分でも何でここまでルースに惹かれるのかわからなかった。
例え恋人でなくてもいいから、自分に向き合って欲しかった。
「…この話の続きは明日目的地に着いてからにしよう」
そっと太陽の手を外してからルースは太陽を横抱きして荷馬車に運んだ。そのまま太陽を荷馬車に寝かせる。
「今日はもうおやすみ」
「ルースさん…」
「ソラ後は頼んだよ」
そう言ってルースは焚き火の元へ行ってしまった。
彼はまた今夜も寝れないまま過ごすのだろうか。
どうして自分ではダメなの?どうして。
寂しさに涙が出てくる。
そこにマノスを横抱きにしたラドが戻って来た。マノスは失神してるのか、ピクリとも動かない。
マノスを荷台に乗せながら、ラドがニヤニヤと太陽を眺める。
「何だルースに相手にされなかったのか?可愛い子ちゃん」
「……」
「俺でよければいつでも抱いてやるぜ」
舌舐めずりしてラドは出て行った。荷台は2人が限度なので、恐らく御者台で寝るのだろう。
子犬の空が太陽の頬を舐めてきた。ギュッと空を抱きしめる。今は空の温もりが嬉しかった。
「今日はもう寝ろ。明日また話せばいい」
「わかった。側にいてくれて、ありがとう」
空の温もりで寂しさを紛らわせながら、太陽は目を閉じた。
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