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第三部 乙女ゲーム?高等部編

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 貴族学校は、ちょうど今日と明日は休校。なので依頼は明後日からだ。

 日程的に余裕があるオレとラナは、久しぶりにこの街の依頼を受ける事にした。

「森の難易度が上がってるんだな」
「そうなんですよ!噂では、また悪しきエネルギーが発生したんじゃ無いかって話もあるんですけど」

 依頼を受けつつ、ギルドの受付嬢に最近の様子を聞いてみると。この半年で、森に住む獣の凶暴化が進んだらしい。

 数年前この森で魔獣が見つかった時は、騎士団が調査した結果、悪しきエネルギーの元が見つかった。オレがネフリティスを庇って大怪我した時だ。

 聖属性の使い手達が数人がかりで浄化して森は沈静化したが、今再び、悪しきエネルギーの発生が疑われているらしい。

「なら騎士団に調査依頼したら?」
「無理無理!今、国中で獣が凶暴化がして、魔獣も発生して、騎士団も聖職者も引っ張りだこなんです!」
「…思ったより深刻なんだな」

 どうする?と、ラナと顔を見合わせる。

 凶暴化した獣程度なら問題ないけど…魔獣なら念の為、装備や道具を補充したいとこだ。

「Bランクのお2人なら大丈夫だと思いますよ。なかなか依頼も片付かなくて困ってたんです!お願いしますよ~」

 馴染みのギルド嬢に頼まれて、オレらは森の奥深くに探索する依頼を受けた。

 だが。

 備えあれば憂い無し。昔の人はちゃんとそうやって、準備や計画の大切さを言い伝えてくれたのに。

 オレ達は自分達の甘さを実感する事になる…。



◇◇◇



「うわぁー!どこが凶暴な獣だよ!しっかり魔物化してんじゃん!」
「リア!一旦退くぞ!」
「分かった!」

 収集依頼が出ている花を探して、森の奥深い場所に来ていたオレ達は。しっかり強い魔物と遭遇していた。

 前に護衛騎士団達が戦った魔物ウルフよりは弱いけど、困った特徴を持つ魔物に。

「さけろよ!」
「あぁ!」

 ヤツが吐き出した粘着性のある体液を避ける為、オレは土の防御壁を作りながら、ジリジリ後退する。ラナは先に後退して退路を作ってくれている。

 オレらが遭遇したのはデッカい花の魔物。体液を飛ばして獲物の意識を奪い、触手で獲物を捉える。弱点は火。コイツが相手の場合は、火属性の中級程度の使い手の同伴を推奨されてる。

 そう。オレの場合、悲しい事に、倒し切るにはちょい火力が足りない…泣。

 先を進むラナから声が聞こえた。複数の獣に遭遇したらしい。オレは氷魔法を飛ばして、獣達の足元を凍らせる。

 そして、再び魔物に意識を向けると。触手が土壁を突き破っていた。慌てて火の玉で撃ち落とす。全部駆除出来たと思った瞬間。オレは宙を舞っていた。

「うわぁぁぁー!?」

 初めの土壁を突き破った細い触手達は囮で、足元から忍び寄った太い触手がオレの足に巻きついていた。それがオレを宙吊りにしていた。

「リア!」

 ラナが獣を倒してコッチに向かって来るのが見えた。魔物がラナに向けて体液を放つ。

 オレは相棒を守る為、土の防御壁を彼の前に作り出した。

「逃げろ!火魔法の得意な奴を連れて来い!あと、騎士団に…うわぁっ」

 ビシャッと、派手な音と共に。オレの身体に粘着液のある液体が当たった。やばい。とりあえず、ラナを逃がさないと…。

 少しずつ熱くなる身体に焦りながら、ポケットから6個のガラス玉を取り出して、オレはラナに向かって放り投げた。

 これがあれば、ラナも魔法が使える。

 ビシャッ 2発目の体液がかかった。最悪な事に今度は顔に当たった。

 口から入り込んだ液体が舌に触れた瞬間。身体がカッと熱くなる。

 最悪だ。コイツの体液はいわゆる媚薬。特に体内に摂取すると、即効性も持続性も強いと言われてる…のに…。

 意識が朦朧としてきた。

 正気を手放す寸前に、自分を呼ぶ声が聞こえた気がしたー。



ーーー

 お待たせしました(?)
 次話、R18入ります。プロローグ後半部分に当たります。

 相手は当然、あの人です。
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