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第三部 乙女ゲーム?高等部編
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朝、ラナと学食で食事をしているとスペッサがやって来た。
「おはよ~。今日、学校にトルマリン家のライバン兄様が来るから、シレネとの面会聞いてみるよ」
「ブホッ!」
スペッサの言葉にオレは勢いよく水を吹き出した。向かいのラナにかかって、怒られた。
慌てて、ごめんと謝って、清浄魔法でキレイにする。気持ちを落ち着かせる為、残った水を飲んだ時、更にスペッサが追い討ちをかけてきた。
「…リア、水と土だけじゃなくて、無属性も使えるの?3属性もあるのに、君って本当に平民?」
「…ブッ、ゴホ、ゴホッ!」
既にスペッサには水と土魔法を見られたのを忘れていた。魔術の申し子に、言い逃れが出来るとは思えないが、オレは慌てて言い訳を考える。
「冒険者は、常に色んなガラス玉を常備してるんです。ほら、こんな感じで」
ポケットからゴッソリとガラス玉を取り出して見せた。
「……それ」
「スペッサ。リアを虐めるなら、もう彼に構わないで」
スペッサの後ろからジェードがやって来た。離れた所でオレ達の様子を見てたけど、オレが虐められてると思ったのか声をかけてくれたみたいだ。
「ジェードは関係ないでしょ~?」
「関係あるよ。僕は昔から彼らとパーティを組んでる仲間だ」
「……」
機嫌悪そうに、スペッサがキッとオレを睨んできた。どうにかしろ、って事だろう。
「オレ、向こうで食べるよ」
ラナに断りを入れて席を立った。
「ジェード様、庇ってくれてありがとうございます。オレは大丈夫ですから」
「リア…」
「スペッサ様、向こうに行きましょう」
「…しょうがないから、一緒に食べてあげるよ~」
オレがスペッサを優先したのが気に入ったのか、彼はすぐに機嫌を直した。ラナ達と離れた席に座ると、オレは早速スペッサに尋ねる。
「ところで、何で急にトルマリン家の方が来られるんですか?」
「あぁ、この前の氷玉のせいだよ~。調査を専門にしてる騎士団や魔術師団が検分に来るんだよ~。僕はその手伝い」
「騎士団?ライバン様は騎士団所属なんですか?」
オレには内勤になると言ってた筈なのに…。
「ライバン兄様を知ってるの?まぁライバン兄様は有名だからね~!絶対に妹や犯人を見つけるって、調査専門の騎士団に入ったんだよ~。今や検挙率トップだよ。怖い?」
「いえ…」
お父様の跡を継ぐために王子の側近になって城勤めをすると言ってたのに。あまりにも予想外のライバンの現状にオレは衝撃を受ける。
だから、どんな顔でスペッサがオレを見てるかなんて、知る余裕も無かった。
「ちなみに僕は調査専門の魔術師団に入る予定。絶対にヴィラを拐った奴を見つけるんだ~」
「それは…頼もしいですね」
この時にスペッサの様子を見てれば、この後の事件を防ぐ事が出来たかもしれないのにー。
この時のオレにはそんな余裕は全くなかった。
「おはよ~。今日、学校にトルマリン家のライバン兄様が来るから、シレネとの面会聞いてみるよ」
「ブホッ!」
スペッサの言葉にオレは勢いよく水を吹き出した。向かいのラナにかかって、怒られた。
慌てて、ごめんと謝って、清浄魔法でキレイにする。気持ちを落ち着かせる為、残った水を飲んだ時、更にスペッサが追い討ちをかけてきた。
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「…ブッ、ゴホ、ゴホッ!」
既にスペッサには水と土魔法を見られたのを忘れていた。魔術の申し子に、言い逃れが出来るとは思えないが、オレは慌てて言い訳を考える。
「冒険者は、常に色んなガラス玉を常備してるんです。ほら、こんな感じで」
ポケットからゴッソリとガラス玉を取り出して見せた。
「……それ」
「スペッサ。リアを虐めるなら、もう彼に構わないで」
スペッサの後ろからジェードがやって来た。離れた所でオレ達の様子を見てたけど、オレが虐められてると思ったのか声をかけてくれたみたいだ。
「ジェードは関係ないでしょ~?」
「関係あるよ。僕は昔から彼らとパーティを組んでる仲間だ」
「……」
機嫌悪そうに、スペッサがキッとオレを睨んできた。どうにかしろ、って事だろう。
「オレ、向こうで食べるよ」
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「ジェード様、庇ってくれてありがとうございます。オレは大丈夫ですから」
「リア…」
「スペッサ様、向こうに行きましょう」
「…しょうがないから、一緒に食べてあげるよ~」
オレがスペッサを優先したのが気に入ったのか、彼はすぐに機嫌を直した。ラナ達と離れた席に座ると、オレは早速スペッサに尋ねる。
「ところで、何で急にトルマリン家の方が来られるんですか?」
「あぁ、この前の氷玉のせいだよ~。調査を専門にしてる騎士団や魔術師団が検分に来るんだよ~。僕はその手伝い」
「騎士団?ライバン様は騎士団所属なんですか?」
オレには内勤になると言ってた筈なのに…。
「ライバン兄様を知ってるの?まぁライバン兄様は有名だからね~!絶対に妹や犯人を見つけるって、調査専門の騎士団に入ったんだよ~。今や検挙率トップだよ。怖い?」
「いえ…」
お父様の跡を継ぐために王子の側近になって城勤めをすると言ってたのに。あまりにも予想外のライバンの現状にオレは衝撃を受ける。
だから、どんな顔でスペッサがオレを見てるかなんて、知る余裕も無かった。
「ちなみに僕は調査専門の魔術師団に入る予定。絶対にヴィラを拐った奴を見つけるんだ~」
「それは…頼もしいですね」
この時にスペッサの様子を見てれば、この後の事件を防ぐ事が出来たかもしれないのにー。
この時のオレにはそんな余裕は全くなかった。
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