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第二部 乙女ゲーム?中等部編

11最終話

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「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」

 ジェードがオレを指差して叫んだ。

 シレネが驚いた表情で、ジェードとオレを交互に見てる。きっと何が起きたのか分かってないんだろう。

「おい!ジェード、何をしてる!」

 離れた所にいたネフリティスが、メガネ君やスペッサ、トンガリ君を引き連れてやって来た。

 スペッサやトンガリ君が、ネフリティスの元を離れジェードの側にやって来た。2人とも心配そうな表情でオレを見ている。

 はたから見れば、不安そうなシレネに寄り添ってる様に見えるだろう。

「どういう事ですの?」

 オレも休んでいた椅子から立ち上がって、ジェードとシレネの正面に対峙する。

 手に持っていた扇子を広げ、口元を隠した。周囲から苦しそうな顔が見えない様に、目だけはキッと睨む様に吊り上げる。

「しらばっくれるな!これまで君がシレネ嬢にした事を振り返ってみろ!」

 それからジェードはオレが彼女に対して行った嫌がらせの数々を並べたてた。

 周囲にいたジェードの友人達もそれを肯定するように声をあげる。シレネのファン達だ。

 その内、オレらを取り囲む周囲の人々も、ザワザワと騒ぎ出してきた。まだネフリティスが何か騒いでるけど、周囲の声にかき消されている。

「こんな冷たい女だと思ってなかった!」
「……本気ですの?」
「もちろん本気だ!」
「では、婚約破棄、謹んでお受け致しますの」

 オレは反論する事なく、すかさず、その提案を受け入れた。ジェードが作ってくれた最後のチャンスだから。

「…お二人の幸せを遠くから祈っておりますの」

 そう言ってオレは身を翻し、顔を覆いながらその場を駆け出した。恐らく周囲からは泣いてる様に見える事だろう。

 背後から焦ってオレを呼ぶ声が聞こえたけど、無論、無視して広間を飛び出した。



「令嬢、どちらに!?」

 広間から飛び出して来たオレに、警護にあたっていた騎士が声をかけてきた。

「少し具合が悪くて、休ませて欲しいですの」

 先ほどの騒ぎを知ってか知らずか、騎士はオレをリードして女性向けの休憩室まで連れて行ってくれた。

 先ほどからヤバい位に腹の傷がズキズキして、きっと顔色もひどい事だろう。そのせいか、騎士はとても同情的だった。

「少し休みたいので、返事がなくても気にしないで欲しいですの」
「分かりました」

 騎士にお礼を述べて、オレは部屋のドアを閉めた。慌ててドレスを脱ぐと、腹回りに巻いた布が赤く滲んでいた。予想通り、傷が開いたんだ。

 ドレスのポケットから聖属性の魔法玉を取り出して、回復と治癒を願った。金の光が一瞬光って傷の痛みが治まった。

「早くココを出ないと」

 脱いだドレスを捨てる訳にもいかない。オレは隠し持っていた薄手のマントを取り出して羽織った。そして黒い石のついたペンダントを身につける。

 瞬時にオレの髪と目は黒に変わった。貯めたお金で買った半永久的に使える中級までの闇魔法を発現させる石だ。

 お陰で気を抜いてもずっと姿を偽っていれる。

 後はココから抜け出すだけだ。

 オレはヴィラトリアとして来ていたドレスだけを手に、窓から外へ飛び出た。



◆◆◆



 卒業パーティーが終わった後、学校内は大騒ぎだった。

 この国の財務大臣の令嬢が行方不明になったからだ。

 ヴィラトリア・トルマリン。

 彼女は卒業パーティーの最中に婚約者から婚約破棄を告げられて、パーティーの途中で退席した。

 その後、王室から大事な発表予定があった為、パーティーは続行された。その間に居なくなったのだ。

 彼女が休んでいた筈の休憩室の窓は開いたままだった。

「どういう事だ!話が違うだろ!何故、婚約破棄なんか!」

 高等部から駆けつけて来た兄のライバンがジェードにくってかかった。

 自分がネフリティスの側近になる。それで妹の婚約は円満に解消される筈だったのに!

「…彼女が望んだんだ」
「何?」

 項垂れるジェードの言葉にライバンは眉を顰めた。

「ライバン。本当だ、俺やスペッサも直接聞いた」
「何だと?何故ヴィラはそんな事を」

 その後、侯爵令嬢の失踪に国も全力をあげて行方を探したが、とうとう彼女を見つけられ無かった。

 そして最悪な事に、国境の境にある崖下で血のついた彼女のドレスが見つかった。これにより、彼女は事件に巻き込まれたと判断された。

 この事件は、彼女を慕っていた者たちに深い傷跡を残し、後の禍根を生んでいくー。




第二部 乙女ゲーム?中等部編 完


ーーー


 第三部からやっと恋愛&R18が入ります。

 焦れた分、デロデロのあまあまのエロエロに仕上げますので、引き続きお付き合い頂けたら嬉しいです。

 来月、公開予定です。
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