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第二部 乙女ゲーム?中等部編
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結局オレの容体が良くなって起きれる様になったのは卒業パーティーの前日だった。
ライバンや皆が見舞いに来てくれたのは、夢か現実か分からなかった。お母様に聞けば分かると思うけど、あえて聞かなかった。
だってさ、期待してそれが夢だったら、辛いじゃん。
「ヴィラちゃん、本宅でベルデラ様が待ってるわ。行ける?」
「はいですの」
卒業パーティーの当日。オレは15年過ごした自分の部屋をもう一度見回してから、部屋の扉を閉めた。
もうココに帰って来る事は無い。
オレの体調が良くなったのを確認して、お母様は自分は一緒に行けない、と告げて来た。
自分が一緒だと足手纏いになる。だけどお母様がココに残れば、少なくとも逃亡じゃなくて、事件に巻き込まれたと思わせられるからと言われた。
だからお母様と一緒に過ごせるのも今日が最後。
オレはギューとお母様を抱きしめた。
いつの間にかオレの身長はお母様を抜かしていた。今では160cmはある。体つきや顔つきも、少しずつ少年らしさが出て来た。メイクやドレスで誤魔化せるのも、そろそろ限界だろう。
だから、オレがココを出て行くのはきっと必然なんだ。無理やり、そう思うことにした。
「お母様…ワタクシ、いや、オレは貴女の息子で幸せでした」
「ふふ…それが、普段の本当のヴィラちゃんなのね。最後に本当のヴィラちゃんを見れて嬉しいわ」
ポロリと、お母様の頬を涙が溢れた。その頬にそっと口づけをして。オレは離れを出た。
「また、いつものメイクで行くの?最後なんだから、美しくしたら?」
「いいえ、どうせなら最後まで派手にかましたいですの!」
「もう、本当に変わった子ね」
ベルデラは笑って、今日もまたオレの奇行を許してくれた。なんやかんや言っても、今ではベルデラはオレの第二の母みたいな存在だ。
ベルデラの悪役ぶりに惹かれて、この9年頑張ってきたけど。ちょっとでも近づけたかな?
今日は学校での授業はなく、夕方から学校内で卒業パーティーが開催される。
だから今日は制服じゃなくてドレスだ。
メイド達も手慣れたもので、数日ぶりにオレを奇抜で派手な令嬢に仕上げてくれた。
ベルデラがオレを玄関まで見送ってくれる。
「今夜は戻ったら大事な話があるから。帰りに本宅に寄りなさい」
「わかりましたの」
「気をつけていってらっしゃいな」
玄関を出る寸前でオレは足を止めた。ベルデラが、どうしたの?と声をかけて来た。今振り向いたら泣いてしまいそうで、だからオレは背を向けたまま、言葉を口にした。
「ベルデラ様。これまで教育してくださって、ありがとうございましたの」
「ヴィラ…?」
ベルデラがどんな表情を浮かべていたかは分からない。それを見る事なく、本宅を後にした。
馬車には既にライバンが待機していた。ライバンも今日で高等部2年生の最後だ。わざわざ、病み上がりのオレを気遣って、一度戻って来たらしい。
相変わらずの過保護ぶりで…なんか、色々泣いてしまいそうだ。
ライバンは数日ぶりのオレを見て、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ヴィラ。良くなってよかった。可哀想にこんなに細くなって」
ライバンがオレの頬を撫でた。熱で数日寝込んだせいで、オレはすっかり脂肪が削げ落ちシャープな顔つきになっていた。
メイクのせいで痩せた様にみえるが、実際は子供っぽさが抜けて、男らしさが増した感じだ。もうライバンに素顔を見られるのも、正直怖い。
「今夜帰ったら大事な話があるんだ。オレはちょっと用事があって遅くなるから、先に帰ってくれるかい?」
「はい、わかりましたの」
もう家に戻るつもりは無いけど、ここは大人しく頷いた。
ライバンは何か嬉しい事があった様で、オレの横でニコニコしながら話しかけてきた。
懐かしい。まるで中等部に入りたての頃を思い出す。
「お兄様はワタクシにとって自慢のお兄様です」
「ヴィラ?急にどうしたんだ?」
「何だか急にお兄様を褒めたくなりましたの」
久しぶりに、オレはライバンの頭を撫でた。いい子、いい子と唱えながら。
「オレは…いい子じゃない」
何故かライバンはちょっと泣きそうだ。もう17歳で、身長も180cmはあって、見た目は騎士を目指してる若者みたいにしか見えない。そんな兄なのに、不思議とオレには可愛く見えた。
「お兄様は可愛いですの」
「なっー」
ライバンが真っ赤になる。前世の記憶が戻って初めて会った日みたいだ。
「ふふ。初めてお兄様にいい子いい子した日を思い出しますの」
「…懐かしいな」
それからオレ達は昔話に花を咲かせながら、学校に向かった。
パーティー会場は貴族学校に造られているダンスホールだ。一学年が余裕で入れる位に広い。普段はダンス練習をするのに使われているけど、今日は綺麗に飾り付けされていた。
飾り付けを指揮したのは生徒会のメンバーだ。王子が会長で、そこにジェードやスペッサ、トンガリ君、それにシレネなど、お馴染みのメンバーがいる。
本来はもう2年生がメインの筈だけど、今回の卒業パーティーは王子自ら希望して、3年生が担当したらしい。
まあ、オレには関係ないけどね。
会場に入ってほどなくして、音楽が流れて来た。
「ヴィラトリア嬢」
オレに話しかけて来たのはジェードだった。
本来は婚約者同士なので、2人一緒に参加しても良かったけど。不仲を演じてるので、あえて別々で参加したんだ。
それでも、ジェードは律儀にファーストダンスをオレに申込んで来た。
断る理由もなく、2人でダンスフロアに移動して踊り始める。
「久しぶりだね、もう体調は大丈夫?」
ここ数日休んでたオレの体調を気遣ってくれる。それが嬉しくて、思わずオレは笑顔で頷いた。それを見てジェードが安堵した表情を浮かべて。
そして、恐ろしい事を言って来た。
「今夜の婚約破棄、やっぱりやめないかい?」
「はっ!?何で!?」
オレは淑女を装ってる事も忘れて、素で突っ込んだ!ジェードが驚いてちょっと身を引く。
「実はネフが、僕らの婚約解消の手筈をとってくれたらしいんだ」
「はぁ!?」
何それ!何それー!?
「だから、婚約破棄をしなくても明日には穏便に解消できる。君も傷つく事なく、スペッサやトンガリとも再婚約できるからー」
いや、いや、いや!そんな事、望んでないし!
「困りますの!」
「ヴィラトリア嬢?」
「やっと解消できるのに、またすぐ次の婚約なんて、急すぎますの!」
次、婚約したら、もう今度は逃げられない。昔からオレと婚約したいって言い続けてたスペッサやトンガリ君なら、尚更だ!
やっと、やっと、男に戻れると思ったのに。
これまでの苦労が水の泡になる。あまりのショックと、腹に痛みを感じてオレはよろけた。
それをジェードが抱き止めてくれた。
ダンスのせいで傷が開いたかもしれない。腹がズキズキと痛くなって来た。
「わかった。しよう、婚約破棄」
「ジェード…様?」
「君がそこまで言うなら、きっと理由があるんでしょう?ダンスタイムの後に、仕掛けるよ」
「…はい」
顔色が悪いから、とジェードがオレを壁際に置かれた椅子まで連れて行ってくれた。
離れた所にいたスペッサとトンガリ君が、オレがよろめいたのを見てたのか、声をかけてきた。
「ヴィラ、大丈夫~?まだ本調子じゃない?」
「俺とも踊って欲しかったが、仕方ない。次の機会の楽しみにしておこう」
スペッサやトンガリ君の好意が、今は重かった。2人の顔を見れない。代わりにジェードが相手をしてくれた。
「2人とも、予定通り婚約破棄するから」
「え?何で~?」
「ネフリティス様が婚約解消の手筈を整えてくれてるのにか?」
その言葉で、今回の話はオレだけ蚊帳の外だったんだと悟った。
もしかするとベルデラとライバンの言っていた大事な話は、この事だったのかもしれない。
なら余計に、どうにか今日中に逃げ出さないといけない。
「ワタクシから頼みましたの」
「どうして~?穏便に済ませた方が良くない~?」
スペッサは困惑顔だ。
「ワタクシはシレネに冷たく当たりましたの。彼女は遣わされし聖なる乙女候補ですの。きっとワタクシが糾弾されれば、もう周囲は二度と彼女を虐めようとはしない筈ですの」
「だがヴィラ嬢が率先して彼女に冷たくあたったのは、マナーを教える為だったろう?あとは他の者に手を出させない為に」
「それでも、それでも…ですの」
トンガリ君の言葉に、オレは声が小さくなる。
「わかったよ。とりあえず様子を見てる~。でもヴィラ忘れないで。ボク達はヴィラの味方だから~」
「ありがとうございますの…」
オレの顔色が悪いのをどう受け止めたのか、渋々とスペッサとトンガリ君は納得してくれた。
そして、3人は一旦オレから離れて行った。
スペッサとトンガリ君はネフリティスの元へ。
ジェードはシレネの側へ。2人仲良く手を取り合ってダンスを始めた。
元は義務で一緒にいた様に見えたジェードも、今では満更でもなさそうだ。それ程に、2人はお似合いだった。
そして数曲の音楽の後、音が止まった。と共にジェードの声が響き渡った。
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ーーー
次話、第ニ部の最終話です。
プロローグ前半部分にあたります。
ライバンや皆が見舞いに来てくれたのは、夢か現実か分からなかった。お母様に聞けば分かると思うけど、あえて聞かなかった。
だってさ、期待してそれが夢だったら、辛いじゃん。
「ヴィラちゃん、本宅でベルデラ様が待ってるわ。行ける?」
「はいですの」
卒業パーティーの当日。オレは15年過ごした自分の部屋をもう一度見回してから、部屋の扉を閉めた。
もうココに帰って来る事は無い。
オレの体調が良くなったのを確認して、お母様は自分は一緒に行けない、と告げて来た。
自分が一緒だと足手纏いになる。だけどお母様がココに残れば、少なくとも逃亡じゃなくて、事件に巻き込まれたと思わせられるからと言われた。
だからお母様と一緒に過ごせるのも今日が最後。
オレはギューとお母様を抱きしめた。
いつの間にかオレの身長はお母様を抜かしていた。今では160cmはある。体つきや顔つきも、少しずつ少年らしさが出て来た。メイクやドレスで誤魔化せるのも、そろそろ限界だろう。
だから、オレがココを出て行くのはきっと必然なんだ。無理やり、そう思うことにした。
「お母様…ワタクシ、いや、オレは貴女の息子で幸せでした」
「ふふ…それが、普段の本当のヴィラちゃんなのね。最後に本当のヴィラちゃんを見れて嬉しいわ」
ポロリと、お母様の頬を涙が溢れた。その頬にそっと口づけをして。オレは離れを出た。
「また、いつものメイクで行くの?最後なんだから、美しくしたら?」
「いいえ、どうせなら最後まで派手にかましたいですの!」
「もう、本当に変わった子ね」
ベルデラは笑って、今日もまたオレの奇行を許してくれた。なんやかんや言っても、今ではベルデラはオレの第二の母みたいな存在だ。
ベルデラの悪役ぶりに惹かれて、この9年頑張ってきたけど。ちょっとでも近づけたかな?
今日は学校での授業はなく、夕方から学校内で卒業パーティーが開催される。
だから今日は制服じゃなくてドレスだ。
メイド達も手慣れたもので、数日ぶりにオレを奇抜で派手な令嬢に仕上げてくれた。
ベルデラがオレを玄関まで見送ってくれる。
「今夜は戻ったら大事な話があるから。帰りに本宅に寄りなさい」
「わかりましたの」
「気をつけていってらっしゃいな」
玄関を出る寸前でオレは足を止めた。ベルデラが、どうしたの?と声をかけて来た。今振り向いたら泣いてしまいそうで、だからオレは背を向けたまま、言葉を口にした。
「ベルデラ様。これまで教育してくださって、ありがとうございましたの」
「ヴィラ…?」
ベルデラがどんな表情を浮かべていたかは分からない。それを見る事なく、本宅を後にした。
馬車には既にライバンが待機していた。ライバンも今日で高等部2年生の最後だ。わざわざ、病み上がりのオレを気遣って、一度戻って来たらしい。
相変わらずの過保護ぶりで…なんか、色々泣いてしまいそうだ。
ライバンは数日ぶりのオレを見て、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ヴィラ。良くなってよかった。可哀想にこんなに細くなって」
ライバンがオレの頬を撫でた。熱で数日寝込んだせいで、オレはすっかり脂肪が削げ落ちシャープな顔つきになっていた。
メイクのせいで痩せた様にみえるが、実際は子供っぽさが抜けて、男らしさが増した感じだ。もうライバンに素顔を見られるのも、正直怖い。
「今夜帰ったら大事な話があるんだ。オレはちょっと用事があって遅くなるから、先に帰ってくれるかい?」
「はい、わかりましたの」
もう家に戻るつもりは無いけど、ここは大人しく頷いた。
ライバンは何か嬉しい事があった様で、オレの横でニコニコしながら話しかけてきた。
懐かしい。まるで中等部に入りたての頃を思い出す。
「お兄様はワタクシにとって自慢のお兄様です」
「ヴィラ?急にどうしたんだ?」
「何だか急にお兄様を褒めたくなりましたの」
久しぶりに、オレはライバンの頭を撫でた。いい子、いい子と唱えながら。
「オレは…いい子じゃない」
何故かライバンはちょっと泣きそうだ。もう17歳で、身長も180cmはあって、見た目は騎士を目指してる若者みたいにしか見えない。そんな兄なのに、不思議とオレには可愛く見えた。
「お兄様は可愛いですの」
「なっー」
ライバンが真っ赤になる。前世の記憶が戻って初めて会った日みたいだ。
「ふふ。初めてお兄様にいい子いい子した日を思い出しますの」
「…懐かしいな」
それからオレ達は昔話に花を咲かせながら、学校に向かった。
パーティー会場は貴族学校に造られているダンスホールだ。一学年が余裕で入れる位に広い。普段はダンス練習をするのに使われているけど、今日は綺麗に飾り付けされていた。
飾り付けを指揮したのは生徒会のメンバーだ。王子が会長で、そこにジェードやスペッサ、トンガリ君、それにシレネなど、お馴染みのメンバーがいる。
本来はもう2年生がメインの筈だけど、今回の卒業パーティーは王子自ら希望して、3年生が担当したらしい。
まあ、オレには関係ないけどね。
会場に入ってほどなくして、音楽が流れて来た。
「ヴィラトリア嬢」
オレに話しかけて来たのはジェードだった。
本来は婚約者同士なので、2人一緒に参加しても良かったけど。不仲を演じてるので、あえて別々で参加したんだ。
それでも、ジェードは律儀にファーストダンスをオレに申込んで来た。
断る理由もなく、2人でダンスフロアに移動して踊り始める。
「久しぶりだね、もう体調は大丈夫?」
ここ数日休んでたオレの体調を気遣ってくれる。それが嬉しくて、思わずオレは笑顔で頷いた。それを見てジェードが安堵した表情を浮かべて。
そして、恐ろしい事を言って来た。
「今夜の婚約破棄、やっぱりやめないかい?」
「はっ!?何で!?」
オレは淑女を装ってる事も忘れて、素で突っ込んだ!ジェードが驚いてちょっと身を引く。
「実はネフが、僕らの婚約解消の手筈をとってくれたらしいんだ」
「はぁ!?」
何それ!何それー!?
「だから、婚約破棄をしなくても明日には穏便に解消できる。君も傷つく事なく、スペッサやトンガリとも再婚約できるからー」
いや、いや、いや!そんな事、望んでないし!
「困りますの!」
「ヴィラトリア嬢?」
「やっと解消できるのに、またすぐ次の婚約なんて、急すぎますの!」
次、婚約したら、もう今度は逃げられない。昔からオレと婚約したいって言い続けてたスペッサやトンガリ君なら、尚更だ!
やっと、やっと、男に戻れると思ったのに。
これまでの苦労が水の泡になる。あまりのショックと、腹に痛みを感じてオレはよろけた。
それをジェードが抱き止めてくれた。
ダンスのせいで傷が開いたかもしれない。腹がズキズキと痛くなって来た。
「わかった。しよう、婚約破棄」
「ジェード…様?」
「君がそこまで言うなら、きっと理由があるんでしょう?ダンスタイムの後に、仕掛けるよ」
「…はい」
顔色が悪いから、とジェードがオレを壁際に置かれた椅子まで連れて行ってくれた。
離れた所にいたスペッサとトンガリ君が、オレがよろめいたのを見てたのか、声をかけてきた。
「ヴィラ、大丈夫~?まだ本調子じゃない?」
「俺とも踊って欲しかったが、仕方ない。次の機会の楽しみにしておこう」
スペッサやトンガリ君の好意が、今は重かった。2人の顔を見れない。代わりにジェードが相手をしてくれた。
「2人とも、予定通り婚約破棄するから」
「え?何で~?」
「ネフリティス様が婚約解消の手筈を整えてくれてるのにか?」
その言葉で、今回の話はオレだけ蚊帳の外だったんだと悟った。
もしかするとベルデラとライバンの言っていた大事な話は、この事だったのかもしれない。
なら余計に、どうにか今日中に逃げ出さないといけない。
「ワタクシから頼みましたの」
「どうして~?穏便に済ませた方が良くない~?」
スペッサは困惑顔だ。
「ワタクシはシレネに冷たく当たりましたの。彼女は遣わされし聖なる乙女候補ですの。きっとワタクシが糾弾されれば、もう周囲は二度と彼女を虐めようとはしない筈ですの」
「だがヴィラ嬢が率先して彼女に冷たくあたったのは、マナーを教える為だったろう?あとは他の者に手を出させない為に」
「それでも、それでも…ですの」
トンガリ君の言葉に、オレは声が小さくなる。
「わかったよ。とりあえず様子を見てる~。でもヴィラ忘れないで。ボク達はヴィラの味方だから~」
「ありがとうございますの…」
オレの顔色が悪いのをどう受け止めたのか、渋々とスペッサとトンガリ君は納得してくれた。
そして、3人は一旦オレから離れて行った。
スペッサとトンガリ君はネフリティスの元へ。
ジェードはシレネの側へ。2人仲良く手を取り合ってダンスを始めた。
元は義務で一緒にいた様に見えたジェードも、今では満更でもなさそうだ。それ程に、2人はお似合いだった。
そして数曲の音楽の後、音が止まった。と共にジェードの声が響き渡った。
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ーーー
次話、第ニ部の最終話です。
プロローグ前半部分にあたります。
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