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第3部 呪いの館 それぞれの未来へ
桃の話 4
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早速、桃の祖父母の家に挨拶と荷物を置いて、4人は出かけた。
あの洋館は取り壊しになった。
桃達4人が肝試しに行った事が原因で、昏睡状態になる怪現象が起きたのだ。すでにこの館の持ち主も過去に亡くなっているという事で取り壊され更地になっていた。
更地の場所から、村長宅があった場所を探す。病院と図書館の近くだった。そこの裏手には山へのハイキングコースがあった。
行き方を知っているのは華と怜だけだった。
怜が華の手をとって先に歩きだす。
勇輝も桃の手をとって続いた。
少し登ったところで、横道にそれる。少し歩くと開けた場所に出た。少し小高い場所で、図書館や病院など、周りの建物が見える。
「ここだ」
怜が3人を振り向く。足元に小さな岩のような石のような物が四つ並んでいた。
墓というには、あまりにも粗末な造りだった。でも、桃も勇輝も華達に聞かされて知っていた。
彼らの友人が、当時の村人に隠れてひっそりと作った墓。そこには友人の想いが詰まっているのだと。
ここに来るまでに詰んだ野花を添えた。そして4人は手を合わせる。
今回の旅の目的はこれで終わりだ。後は数日、この村でゆっくりして帰る予定だ。4人は立ち上がって下に降りる準備をする。
「そういえば」
ふと、華が桃を見た。
「桃ちゃん、お願い事はどうしたの?」
「あ、忘れてた!」
入院したり、退院した後も華の事でハラハラしたり、次々と恋愛したりで、すっかり忘れていた。
「じゃあ今お願いすれば?」
側にいた勇輝が言った。今さら?と聞いた桃に、勇輝がハハッと笑う。
「いいじゃん、そう難しく考えなくても。叶えばラッキーってくらいで!」
勇輝の軽さに、桃もつられて笑う。難しく考えなくていい。この明るさに何度助けられたか。
親と意見が対立して気持ちが負けそうになった時も、彼には何度も励まされ支えられた。
桃の願い。
確か桃自身の救いに繋がること。
桃は1人、もう一度墓前にしゃがみ手を合わせた。
「わたしは今幸せです。わたしが救われた様に、亡くなった彼らにも救いがあります様に」
「桃…」
勇輝が桃の横顔を見つめた。
その時、桃の中から光る小鳥が飛び出て来た。
「あれは…」
館から最後に異人さんから華へと託された光の小鳥だった。
ピィーと鳴きながら桃の上空で旋回する。すると、墓土から光の粒が立ち上がってきた。2つの墓石から、1つずつの光。それが、旋回する小鳥に吸い込まれていく。
光が小鳥に吸い込まれた後、最後にピィーと鳴いて、鳥は空に向かって飛びながら消えた。
残った4人は久しぶりに見た怪現象にポカーンとしている。
「今のは」
「何だったんだ?」
「さあ…」
3人の疑問に怜が答えた。
「どうやら桃の願いを受けて、彼らを救いに行ったみたいだ」
「え?」
「は?」
「救いって…どうやって?」
3人の疑問に怜もわからないと言った。ただ、彼の中のレイがそう言ってるそうだ。
「どちらにしても、桃の願いで、きっと彼らも救われるって事だろ」
フッと怜が微笑んだ。
戻ってからの怜はだいぶ人柄が柔らかくなった。更に美形なので、笑顔の破壊力が凄まじい。
「はぁーカッコいい」
思わず華と桃の声が揃った。
2人の反応に、怜が赤くなってそっぽを向いた。そんなところもたまらない。
「華行こう」
怜が華の手を掴んで歩き出す。華はついて行きながら「怜ちゃんが可愛すぎて苦しい!」と意味がわからない事を言っていた。2人の仲は相変わらず順調そうだ。
2人をニヤニヤ見ていた桃の手を、勇輝が握った。むくれている。
「勇くん…どうしたの?」
「桃まで、怜の事を好きになったら俺どうしたらいいんだよ」
むー、と膨れた表情を見て桃が笑う。行こう、と勇輝の手を引っ張った。
「嫉妬してるの?」
「したら悪いかよ」
「ううん、嬉しい!」
歩き出しても、まだムスッとしてる勇輝に桃が耳貸してと言った。勇輝が少し屈んでくる。
「勇くんはわたしにとって世界一かっこいいヒーローだよ」
「~~~っ」
勇輝が言われて1番喜ぶであろう言葉を囁く。案の定、勇輝は嬉しさと恥ずかしさで真っ赤になった。
くいくい、と勇輝の袖を引っ張る。
真っ赤な顔のまま勇輝は桃に口づけた。そのまま見つめ合う。
「わたしを救ってくれたのは勇くんだよ」
「俺を救ってくれたのも桃だ」
「じゃあわたし達、離れられないね」
「離れるつもりはないから、ちょうどいいな」
見つめ合って思わず笑いがこぼれる。
遠くから、華が2人を呼ぶ声が聞こえた。そのまま手を繋ぎ合って2人は歩き出した。
良い所も弱い所も見せ合って、憧れたり、憎んだり、許したり。そして時には励まし合い、支え合える。
やっと見つけた運命の相手だと思える相手。
きっと互いに手を離す事は無い。そう思いながら。
ーーー
4人の物語は以上です。
次話で本物語は最終話です。
桃の願いのその先です。
あの洋館は取り壊しになった。
桃達4人が肝試しに行った事が原因で、昏睡状態になる怪現象が起きたのだ。すでにこの館の持ち主も過去に亡くなっているという事で取り壊され更地になっていた。
更地の場所から、村長宅があった場所を探す。病院と図書館の近くだった。そこの裏手には山へのハイキングコースがあった。
行き方を知っているのは華と怜だけだった。
怜が華の手をとって先に歩きだす。
勇輝も桃の手をとって続いた。
少し登ったところで、横道にそれる。少し歩くと開けた場所に出た。少し小高い場所で、図書館や病院など、周りの建物が見える。
「ここだ」
怜が3人を振り向く。足元に小さな岩のような石のような物が四つ並んでいた。
墓というには、あまりにも粗末な造りだった。でも、桃も勇輝も華達に聞かされて知っていた。
彼らの友人が、当時の村人に隠れてひっそりと作った墓。そこには友人の想いが詰まっているのだと。
ここに来るまでに詰んだ野花を添えた。そして4人は手を合わせる。
今回の旅の目的はこれで終わりだ。後は数日、この村でゆっくりして帰る予定だ。4人は立ち上がって下に降りる準備をする。
「そういえば」
ふと、華が桃を見た。
「桃ちゃん、お願い事はどうしたの?」
「あ、忘れてた!」
入院したり、退院した後も華の事でハラハラしたり、次々と恋愛したりで、すっかり忘れていた。
「じゃあ今お願いすれば?」
側にいた勇輝が言った。今さら?と聞いた桃に、勇輝がハハッと笑う。
「いいじゃん、そう難しく考えなくても。叶えばラッキーってくらいで!」
勇輝の軽さに、桃もつられて笑う。難しく考えなくていい。この明るさに何度助けられたか。
親と意見が対立して気持ちが負けそうになった時も、彼には何度も励まされ支えられた。
桃の願い。
確か桃自身の救いに繋がること。
桃は1人、もう一度墓前にしゃがみ手を合わせた。
「わたしは今幸せです。わたしが救われた様に、亡くなった彼らにも救いがあります様に」
「桃…」
勇輝が桃の横顔を見つめた。
その時、桃の中から光る小鳥が飛び出て来た。
「あれは…」
館から最後に異人さんから華へと託された光の小鳥だった。
ピィーと鳴きながら桃の上空で旋回する。すると、墓土から光の粒が立ち上がってきた。2つの墓石から、1つずつの光。それが、旋回する小鳥に吸い込まれていく。
光が小鳥に吸い込まれた後、最後にピィーと鳴いて、鳥は空に向かって飛びながら消えた。
残った4人は久しぶりに見た怪現象にポカーンとしている。
「今のは」
「何だったんだ?」
「さあ…」
3人の疑問に怜が答えた。
「どうやら桃の願いを受けて、彼らを救いに行ったみたいだ」
「え?」
「は?」
「救いって…どうやって?」
3人の疑問に怜もわからないと言った。ただ、彼の中のレイがそう言ってるそうだ。
「どちらにしても、桃の願いで、きっと彼らも救われるって事だろ」
フッと怜が微笑んだ。
戻ってからの怜はだいぶ人柄が柔らかくなった。更に美形なので、笑顔の破壊力が凄まじい。
「はぁーカッコいい」
思わず華と桃の声が揃った。
2人の反応に、怜が赤くなってそっぽを向いた。そんなところもたまらない。
「華行こう」
怜が華の手を掴んで歩き出す。華はついて行きながら「怜ちゃんが可愛すぎて苦しい!」と意味がわからない事を言っていた。2人の仲は相変わらず順調そうだ。
2人をニヤニヤ見ていた桃の手を、勇輝が握った。むくれている。
「勇くん…どうしたの?」
「桃まで、怜の事を好きになったら俺どうしたらいいんだよ」
むー、と膨れた表情を見て桃が笑う。行こう、と勇輝の手を引っ張った。
「嫉妬してるの?」
「したら悪いかよ」
「ううん、嬉しい!」
歩き出しても、まだムスッとしてる勇輝に桃が耳貸してと言った。勇輝が少し屈んでくる。
「勇くんはわたしにとって世界一かっこいいヒーローだよ」
「~~~っ」
勇輝が言われて1番喜ぶであろう言葉を囁く。案の定、勇輝は嬉しさと恥ずかしさで真っ赤になった。
くいくい、と勇輝の袖を引っ張る。
真っ赤な顔のまま勇輝は桃に口づけた。そのまま見つめ合う。
「わたしを救ってくれたのは勇くんだよ」
「俺を救ってくれたのも桃だ」
「じゃあわたし達、離れられないね」
「離れるつもりはないから、ちょうどいいな」
見つめ合って思わず笑いがこぼれる。
遠くから、華が2人を呼ぶ声が聞こえた。そのまま手を繋ぎ合って2人は歩き出した。
良い所も弱い所も見せ合って、憧れたり、憎んだり、許したり。そして時には励まし合い、支え合える。
やっと見つけた運命の相手だと思える相手。
きっと互いに手を離す事は無い。そう思いながら。
ーーー
4人の物語は以上です。
次話で本物語は最終話です。
桃の願いのその先です。
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