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第2部 呪いの館 救出編

27話

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 すぐ村長宅へ向かおうとする青年に、華が待ったをかけた。

 前回の様に相手を殺せない今、手持ちの道具は多い方がいい。それに戦闘になる可能性があるなら、この可愛らしいワンピースも着替えたかった。闇夜に目立ちすぎる。

 離れから食堂へ向かう途中、青年から怜に選手交代した。こういう作戦準備なら怜が1番の適役だろう。

「華は部屋で着替えて来て。その間に僕が道具を用意しとく」
「うん!よろしくね!」

 絶対的な信頼をこめて、怜に頼んだ。

 そのまま少年の部屋へ行き、タンスを開けた。怜とお揃いの黒ジャージ。乗り込む先で戦闘になる可能性がる。暗めのジャージならうってつけだ。

 華の中の少女は大人しくしている。先程の男達の恐怖は落ち着いているが、争いごとになれば、彼女は役に立たない。だからせめて、大人しくしていようと思っているようだ。

「大丈夫だよ。きっと私と怜ちゃんで、貴女達を自由にしてあげるから」

 彼女の魂が、少し泣きそうになった。そして、ありがとう…と感謝の念が伝わって来たのだった。



◇◇◇



 食堂へ入ると怜が色々な道具を出していた。

 腰ベルト、催眠スプレー、スタンガン、小型の懐中電灯とランプ。全て2人分だ。それに…。

「え?これ鉄砲?」

 小ぶりの拳銃のような物があった。

「違う水鉄砲」
「え?水…え?」
「中見は原液の酢」

 ニヤ、と怜が悪い顔で笑った。
 それは、効果的面だろう…。

「時間が無い。これ飲んで」

 怜から渡されたのは、簡単にエネルギーチャージできる飲むゼリーだった。

 今日は全く休憩していない。さすがに華も腹ペコだし、身体もクタクタだった。ありがたくゼリーを吸い込む。美味しい。美味しいけど…。

「なんか物足りない」
「何?」

 自分の準備が終わった怜が、華の準備に取り掛かる。

 触るよ、と一言断りを入れて、華に腰ベルトをセットしてくれた。つける道具も全て小型だ。どこに何があるか見ておいて、とアドバイスまでくれた。

「何か足りなかった?」
「あ、違うの、その、いつも怜ちゃんの美味しいご飯食べてたから、物足りないなって」

 こんな非常事態に手作り御飯が恋しいなんて…言ってて恥ずかしくなってきた。
 そんな華を見て、怜がくすりと笑った。

「いいよ。落ち着いたらまた作る。だから…」
「…だから?」
「必ず無事に帰ろう、2人で」

 真っ直ぐに華を見つめて怜が微笑んだ。無事に。今度こそ一緒に。

「うん必ず」

 疲れが、吹き飛んだ気がした。
 玲が一緒なら大丈夫。そんな気がした。

 気持ちが引き締まる。
 準備は出来た。

 さあ、出発だ。
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