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第1部 呪いの館 復讐編
17話
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「勇ちゃん、あの、さすがにこの状態は…」
勇輝にベッドに押し倒されている。
さすがに慌てて、華は勇輝の胸を押し返すがビクともしない。
華が押したせいか、勇輝の胸元がはだけて筋肉質の胸元が見えた。
「俺のこと…キライ?」
「嫌いじゃないよ、嫌いじゃないけど、恥ずかしいから…」
「じゃあ好き?」
「…それは…」
勇輝の事は好きだ。これからも一緒にいたい。ただそれが異性としてなのか、友人や幼馴染としてなのか、今の華にはわからなかった。
「キス…していい?」
パッと勇輝を見上げると、熱を帯びた焦げ茶色の瞳が華を見つめいた。
華の唇をゆっくり指で撫でてくる。
「俺の事好きになってよ。大事にするから。俺を選んで。俺を嫌いにならないで」
縋るような、泣きそうな表情がそこにあった。切ない表情に胸が痛くなる。
「そんな顔…ずるい」
「ずるくていい。それで華が手に入るならー」
勇輝の顔が静かに下りてくる。
思わず目を閉じると同時に、唇に柔らかい物が触れた。
優しく一度、続けてもう一度。2回目はチュッとリップ音がした。
思わず目を開けると、すぐそこに勇輝の顔があった。
「好きだよ。ずっとこうしたかった」
とても幸せそうに微笑んで、華の頬に口づける。その反対も。おでこ、こめかみ、顔中にリップ音付きでキスの雨を降らす。
「~~~っ」
元々恋愛にも疎い上に、恋愛経験0の華はもう羞恥心で死にそうだった。真っ赤になりながら思わず涙目で睨む。
その表情に勇輝はハッと息を飲んだ。瞳に強い熱がともる。
「それ…逆効果だからな」
「…え、待って…ん!」
「華、華、好きだ、ん」
「ん~ん~」
勇輝の胸を叩くがやめてくれない。
口の中の体積がいっぱいで息ができない、と思った瞬間。勇輝が視界から消えた。
正確に言えば、蹴り飛ばされて吹っ飛んでいた。いつの間にか現れた怜によって。
「何してる、この獣が」
思わず身震いしそうな程、冷たい視線と冷たい声で怜が怒りのオーラを放っていた。
「いって~、怜何しやがる!」
「それはこっちのセリフだ。このエロ猿。応援はすると言ったが無理矢理しろとは言ってない。華を窒息させる気か」
「それは…ごめん、悪かった」
しゅんと勇輝は項垂れた。こういう素直なとこが彼の長所だ。
「とりあえず、着替えてこい。話はそれからだ」
ベッドから蹴り倒されて、勇輝のバスローブはずり落ちるわ、はだけるわで、扇状的だった。
タンスに着たい服が入ってるからと言われて勇輝は探しに行った。あれ?さっきは無かったのに!とかなんとか騒ぎながら、風呂場に入って行った。
「怜ちゃん、体調はもういいの?」
怜の目は今は黒い。服も昼間に来ていた物に着替えていた。普段の、華の知っている彼だった。
「寝たらだいぶ良くなった。あの幽霊の方はまだ寝てる」
「そう」
「起きたら華がいないから、心配した。またあの幽霊達に危険な目に合わされてないかって…」
乱れていた華の髪を直しながら、怜が呟いた。
「ご、ごめん!心配かけて」
「まさかこんな危険に合ってるとは思わなかったけどね」
「!」
華は真っ赤になった。そうだ、先程のキスシーンを見られたのだ。
「それで…勇輝の事好きになった?」
怜が感情の乗らない目で華を見つめる。
「アイツなら華を大事にしてくれるよ。ちょっと単純でアホだけど」
「怜ちゃんは…私と勇ちゃんが付き合えばいいと思ってるの?」
「思ってるし勇を応援してるよ。ほら僕、卒業したら海外に行くから。両親も向こうに住んでるし、行ったらいつ日本に帰って来れるかもわからないから、なかなか会えないだろう?だから…勇と華が一緒いてくれたら安心なんだ。勇ならきっと華の……」
途中、言葉が言い淀むが、怜の表情は相変わらず無表情だった。華には、それが感情を抑えている様にも見えた。
「…勇なら安心して華を任せられるから。だから、さっきのアイツが言った事、忘れて」
◇◇◇
お待たせ~と勇輝がやって来た事で、2人の会話は中断した。
怜がこれまでの情報を共有したいと言い出したので、ソファとテーブルのある方に移動する。
「明日に備えて、念のため今わかってる事をまとめよう」
本当であれば祭壇での儀式の前にするべきだった。怜が悔しそうに呟いた。
勇輝にベッドに押し倒されている。
さすがに慌てて、華は勇輝の胸を押し返すがビクともしない。
華が押したせいか、勇輝の胸元がはだけて筋肉質の胸元が見えた。
「俺のこと…キライ?」
「嫌いじゃないよ、嫌いじゃないけど、恥ずかしいから…」
「じゃあ好き?」
「…それは…」
勇輝の事は好きだ。これからも一緒にいたい。ただそれが異性としてなのか、友人や幼馴染としてなのか、今の華にはわからなかった。
「キス…していい?」
パッと勇輝を見上げると、熱を帯びた焦げ茶色の瞳が華を見つめいた。
華の唇をゆっくり指で撫でてくる。
「俺の事好きになってよ。大事にするから。俺を選んで。俺を嫌いにならないで」
縋るような、泣きそうな表情がそこにあった。切ない表情に胸が痛くなる。
「そんな顔…ずるい」
「ずるくていい。それで華が手に入るならー」
勇輝の顔が静かに下りてくる。
思わず目を閉じると同時に、唇に柔らかい物が触れた。
優しく一度、続けてもう一度。2回目はチュッとリップ音がした。
思わず目を開けると、すぐそこに勇輝の顔があった。
「好きだよ。ずっとこうしたかった」
とても幸せそうに微笑んで、華の頬に口づける。その反対も。おでこ、こめかみ、顔中にリップ音付きでキスの雨を降らす。
「~~~っ」
元々恋愛にも疎い上に、恋愛経験0の華はもう羞恥心で死にそうだった。真っ赤になりながら思わず涙目で睨む。
その表情に勇輝はハッと息を飲んだ。瞳に強い熱がともる。
「それ…逆効果だからな」
「…え、待って…ん!」
「華、華、好きだ、ん」
「ん~ん~」
勇輝の胸を叩くがやめてくれない。
口の中の体積がいっぱいで息ができない、と思った瞬間。勇輝が視界から消えた。
正確に言えば、蹴り飛ばされて吹っ飛んでいた。いつの間にか現れた怜によって。
「何してる、この獣が」
思わず身震いしそうな程、冷たい視線と冷たい声で怜が怒りのオーラを放っていた。
「いって~、怜何しやがる!」
「それはこっちのセリフだ。このエロ猿。応援はすると言ったが無理矢理しろとは言ってない。華を窒息させる気か」
「それは…ごめん、悪かった」
しゅんと勇輝は項垂れた。こういう素直なとこが彼の長所だ。
「とりあえず、着替えてこい。話はそれからだ」
ベッドから蹴り倒されて、勇輝のバスローブはずり落ちるわ、はだけるわで、扇状的だった。
タンスに着たい服が入ってるからと言われて勇輝は探しに行った。あれ?さっきは無かったのに!とかなんとか騒ぎながら、風呂場に入って行った。
「怜ちゃん、体調はもういいの?」
怜の目は今は黒い。服も昼間に来ていた物に着替えていた。普段の、華の知っている彼だった。
「寝たらだいぶ良くなった。あの幽霊の方はまだ寝てる」
「そう」
「起きたら華がいないから、心配した。またあの幽霊達に危険な目に合わされてないかって…」
乱れていた華の髪を直しながら、怜が呟いた。
「ご、ごめん!心配かけて」
「まさかこんな危険に合ってるとは思わなかったけどね」
「!」
華は真っ赤になった。そうだ、先程のキスシーンを見られたのだ。
「それで…勇輝の事好きになった?」
怜が感情の乗らない目で華を見つめる。
「アイツなら華を大事にしてくれるよ。ちょっと単純でアホだけど」
「怜ちゃんは…私と勇ちゃんが付き合えばいいと思ってるの?」
「思ってるし勇を応援してるよ。ほら僕、卒業したら海外に行くから。両親も向こうに住んでるし、行ったらいつ日本に帰って来れるかもわからないから、なかなか会えないだろう?だから…勇と華が一緒いてくれたら安心なんだ。勇ならきっと華の……」
途中、言葉が言い淀むが、怜の表情は相変わらず無表情だった。華には、それが感情を抑えている様にも見えた。
「…勇なら安心して華を任せられるから。だから、さっきのアイツが言った事、忘れて」
◇◇◇
お待たせ~と勇輝がやって来た事で、2人の会話は中断した。
怜がこれまでの情報を共有したいと言い出したので、ソファとテーブルのある方に移動する。
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