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第2部 呪いの館 救出編
38話
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7日目。
華はいつもより早く目覚めた。
隣には、怜が寝ていた。
昨日、庭園でお互いの気持ちを伝えあった後、さすがに体力も精神力も限界だったので、少年の部屋に戻ってきて2人とも倒れる様にそのまま寝てしまった。
身体の疲れは取れたようだ。
心は満ちている。
怜の顔色もだいぶいい様だ。
その顔を見ていると、嬉しい様な気恥ずかしい様な落ち着かない気がする。気持ちのままに、チュッと玲の頬にキスをした。
あ、なんか恋人ぽい。
顔が照れて赤くなる。
そそくさ、風呂場で支度をして、華は食堂へ向かった。
どんぐりをBOXから取り出す。7個のどんぐり。今日でこれも見納めだ。
マジックペンを準備して、新しい3つのどんぐりに、異国の青年、少女、少年の顔を描いた。
朝ご飯の準備の為、卓上BOXから食材を取り出し準備する。
キッチンで作業していると、欠伸しながら、勇輝がやって来た。Tシャツとショートパンツのラフな格好だった。
「おっはよー」
「おはよう。朝ご飯作るね」
「マジ!?やったー!」
卓上BOXからオレンジジュースを取り出して勇輝は席に着く。
華が思い切って切り出した。
「勇ちゃん!あのね」
「んー?」
昨日、怜と話した事。
自分は怜の側にいたいと思った事。
だから、勇輝の気持ちには答えられない事を伝えた。
「わかった、でも俺あきらめ悪いから」
「へ?」
「あいつ暫く帰って来れないからな。その間に俺の事好きになるかもしれないだろう」
ニカッと勇輝が笑った。
予想外の勇輝のタフさに、呆気にとられた。華の尊敬するメンタルのタフさが予想外な方向に働いた。
「だろ?」
食堂の入り口を見ると、怜が立っていた。
「華が決める事だから」
「ふーん余裕だな」
「そんなんじゃない」
少しふらつきながら、食卓へ歩いて来る。慌てて華が駆け寄り手助けした。顔色はだいぶ良くなったが、本調子ではない様だ。
「身体、大丈夫?」
「ん、おはよ」
「おはよう」
何だか、こんなやり取りに互いに照れる。視界の端で勇輝が不貞腐れてるのがわかった。
「俺の前でイチャイチャすんな。まだ俺だってあきらめた訳じゃないからな」
「イチャイチャしてない」
「そこじゃねーだろ!あきらめねえとこ、つっ込め!」
「…勇なら別にいい」
席に座って怜が俯いた。表情は変わらないのに、何だか寂しそうだ。
それに華が抗議した。
「もう!2人して勝手に私の事決めないでよ!」
勇輝が目をまるくする。華がこんなに大声で自己主張するのは珍しい。
「怜ちゃん、アイスカフェラテでいい?」
怜が頷いたのを見てBOXから取り出して、怜の前に置いた。
静かに飲む怜を見て、気になっていた事を聞いた。
「怜ちゃん、もしかしてカフェラテ好きじゃないの?」
「…別に普通」
「もしかして…牛乳とれるから?」
怜が頷いた。
「ん?どういう事?いつもカフェラテ飲んでんじゃん」
会話に勇輝が入ってきた。
「……」
怜が嫌そうにそっぽを向いた。ちょっと頬が赤い。
「もしかして、まだ牛乳苦手なのか?身長気にして頑張って飲んでたけど…え?もしかして、身長伸ばす為に毎回カフェラテ飲んでんの?」
怜がみるみる真っ赤になった。
「何だよ!その可愛い反応!ちょっとドキッとしちゃっただろ!華はこれにやられたのか」
「怜ちゃん可愛い」
勇輝と華が怜の反応にキュンとする。
怜があれ?とキッチンの方を見た。
「…何か焦げくさい?」
「あっ火!」
華は慌ててキッチンへ向かった。
◇◇◇
「焦がしました」
シュンとして、ベーコンエッグとパンを2人の前に置く。見た目は残念な感じに所々焦げている。
「華が作ってくれたの?」
「うん、失敗しちゃったけど」
感動したような怜に、華が申し訳無さそうに頷いた。
いただきます、と3人で手を合わせて、食事を取った。
勇輝が、苦いとこもあるけどうまいよ!と笑ってバクバク食べている。
華も味見してみた。苦い。不味くはないけど、正直微妙だった。
勇輝の優しさがありがたい。
怜はどうだろうか?彼の方を見ると。
食べながら静かに泣いてた。
「そんな不味かった!?」
慌ててBOXからハンカチを取って、怜の目元を拭う。イチャイチャするな~と勇輝の声が聞こえたが無視だ。
「苦いけど美味しい」
「じゃあ何で」
「幸せ過ぎて。華の気持ちが伝わって来て嬉しい」
あ、と気づいた。
そういえば少年が言ってた。
怜の料理が美味しいのは華への気持ちが入ってるからだと。
今日作ったのは怜に元気になってほしいからだ。それがちゃんと伝わったんだとわかった。
「いつもと逆じゃん。華は世話を焼きたいタイプか」
ぶつぶつ2人を分析してる勇輝の声が聞こえた。
華はいつもより早く目覚めた。
隣には、怜が寝ていた。
昨日、庭園でお互いの気持ちを伝えあった後、さすがに体力も精神力も限界だったので、少年の部屋に戻ってきて2人とも倒れる様にそのまま寝てしまった。
身体の疲れは取れたようだ。
心は満ちている。
怜の顔色もだいぶいい様だ。
その顔を見ていると、嬉しい様な気恥ずかしい様な落ち着かない気がする。気持ちのままに、チュッと玲の頬にキスをした。
あ、なんか恋人ぽい。
顔が照れて赤くなる。
そそくさ、風呂場で支度をして、華は食堂へ向かった。
どんぐりをBOXから取り出す。7個のどんぐり。今日でこれも見納めだ。
マジックペンを準備して、新しい3つのどんぐりに、異国の青年、少女、少年の顔を描いた。
朝ご飯の準備の為、卓上BOXから食材を取り出し準備する。
キッチンで作業していると、欠伸しながら、勇輝がやって来た。Tシャツとショートパンツのラフな格好だった。
「おっはよー」
「おはよう。朝ご飯作るね」
「マジ!?やったー!」
卓上BOXからオレンジジュースを取り出して勇輝は席に着く。
華が思い切って切り出した。
「勇ちゃん!あのね」
「んー?」
昨日、怜と話した事。
自分は怜の側にいたいと思った事。
だから、勇輝の気持ちには答えられない事を伝えた。
「わかった、でも俺あきらめ悪いから」
「へ?」
「あいつ暫く帰って来れないからな。その間に俺の事好きになるかもしれないだろう」
ニカッと勇輝が笑った。
予想外の勇輝のタフさに、呆気にとられた。華の尊敬するメンタルのタフさが予想外な方向に働いた。
「だろ?」
食堂の入り口を見ると、怜が立っていた。
「華が決める事だから」
「ふーん余裕だな」
「そんなんじゃない」
少しふらつきながら、食卓へ歩いて来る。慌てて華が駆け寄り手助けした。顔色はだいぶ良くなったが、本調子ではない様だ。
「身体、大丈夫?」
「ん、おはよ」
「おはよう」
何だか、こんなやり取りに互いに照れる。視界の端で勇輝が不貞腐れてるのがわかった。
「俺の前でイチャイチャすんな。まだ俺だってあきらめた訳じゃないからな」
「イチャイチャしてない」
「そこじゃねーだろ!あきらめねえとこ、つっ込め!」
「…勇なら別にいい」
席に座って怜が俯いた。表情は変わらないのに、何だか寂しそうだ。
それに華が抗議した。
「もう!2人して勝手に私の事決めないでよ!」
勇輝が目をまるくする。華がこんなに大声で自己主張するのは珍しい。
「怜ちゃん、アイスカフェラテでいい?」
怜が頷いたのを見てBOXから取り出して、怜の前に置いた。
静かに飲む怜を見て、気になっていた事を聞いた。
「怜ちゃん、もしかしてカフェラテ好きじゃないの?」
「…別に普通」
「もしかして…牛乳とれるから?」
怜が頷いた。
「ん?どういう事?いつもカフェラテ飲んでんじゃん」
会話に勇輝が入ってきた。
「……」
怜が嫌そうにそっぽを向いた。ちょっと頬が赤い。
「もしかして、まだ牛乳苦手なのか?身長気にして頑張って飲んでたけど…え?もしかして、身長伸ばす為に毎回カフェラテ飲んでんの?」
怜がみるみる真っ赤になった。
「何だよ!その可愛い反応!ちょっとドキッとしちゃっただろ!華はこれにやられたのか」
「怜ちゃん可愛い」
勇輝と華が怜の反応にキュンとする。
怜があれ?とキッチンの方を見た。
「…何か焦げくさい?」
「あっ火!」
華は慌ててキッチンへ向かった。
◇◇◇
「焦がしました」
シュンとして、ベーコンエッグとパンを2人の前に置く。見た目は残念な感じに所々焦げている。
「華が作ってくれたの?」
「うん、失敗しちゃったけど」
感動したような怜に、華が申し訳無さそうに頷いた。
いただきます、と3人で手を合わせて、食事を取った。
勇輝が、苦いとこもあるけどうまいよ!と笑ってバクバク食べている。
華も味見してみた。苦い。不味くはないけど、正直微妙だった。
勇輝の優しさがありがたい。
怜はどうだろうか?彼の方を見ると。
食べながら静かに泣いてた。
「そんな不味かった!?」
慌ててBOXからハンカチを取って、怜の目元を拭う。イチャイチャするな~と勇輝の声が聞こえたが無視だ。
「苦いけど美味しい」
「じゃあ何で」
「幸せ過ぎて。華の気持ちが伝わって来て嬉しい」
あ、と気づいた。
そういえば少年が言ってた。
怜の料理が美味しいのは華への気持ちが入ってるからだと。
今日作ったのは怜に元気になってほしいからだ。それがちゃんと伝わったんだとわかった。
「いつもと逆じゃん。華は世話を焼きたいタイプか」
ぶつぶつ2人を分析してる勇輝の声が聞こえた。
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