55 / 87
第2部 呪いの館 救出編
25話
しおりを挟む
門扉にさしかかる寸前。
横の木々の陰から、複数の人間が飛び出して来た。
◇◇◇
「姉さん!ボクの後ろに!」
少年は、瞬時に腕輪を盾を変化させ構えた。その背に少女を庇う。
5~6人の村の男達だった。手に鎌や鍬を持っている。まるで、あの夜の時の様に。
「悪いなぁ。村長の命令なんだ」
「恨むなら、はな様を恨むんだなぁ」
下品な笑い声がする。
それは、少女のトラウマを刺激するのに充分だった。身体と心が恐怖で震え出す。
そんな怯える少女を、優しく抱擁して励ます声が聞こえてきた。
大丈夫、貴女は1人じゃない。ここは私に任せて。
動けなくなった少女を下がらせ、華が表面に現れる。目が碧から黒へ変化した。
その様子に、男達が激しく動揺した。男達の目には、金髪碧眼の女がいきなり黒髪黒目の日本人に変わったのだ。
男達が動揺している間に、華は素早く少年の腰に下げていた催涙スプレーと、スタンガンを取った。
幸い、こちらは風上。一気に催涙スプレーを男達へ吹きかけた。
武器を取り落とし、男達は顔押さえながら、悲鳴をあげてうずくまった。
すかさず、華がスタンガンでとどめをさしていく。
今回は殴った訳ではないから、気絶はしてないが、戦意を削ぐには充分だった。
得体のしれない道具や痛みに、男達は悲鳴をあげながら、悶えている。
少年は華のあまりに鮮やかな動きに、加勢する事も忘れてポカンとしていた。
「怜ちゃん!縛ろう!」
「あ、ああ」
正確には怜でなく、碧目の少年だが、今はそんな事はどうでもいい。
少年は背負っていたショルダーバッグから紐を取り出した。男達の両手を後ろ手にし、手首を縛り拘束していく。
その間、逃げようとする輩には容赦なく華がスタンガンを当て、痛みと恐怖感を与えていった。
最後の1人を縛り終えた後、少年の代わりに青年が表面に出た。そして黒剣を構え、男達に突きつける。
「これに覚えはあるか」
「…その剣!…お…おまえ、あの時、死んだ筈じゃ…」
男達が一斉に青ざめた。
剣を見て何かを思い出したようだ。それに、この反応。恐らく襲撃に参加した者だろう。
その首を刎ねてしまいたくて、思わず青年は剣を握り締める。
その手を、ソッと華が押さえた。
青年の目をジッと見つめて、首を横にふる。
ここまで来てまた殺してしまっては振り出しに戻ってしまう。
「あの牢屋へ入れよう」
「……そうだな」
怒りをため息で散らして、青年は男達を睨んだ。
華も負けじと、怖い形相を作り、へたり込む男達を睨みながら高圧的に言葉を発した。
「私の力を見たでしょう。大人しくしないとまた痛い目にあうわよ」
そう言って、スタンガンを空に掲げ、バチッバチッと鳴らした。
夕焼けをバッグにシルエットとなった状態で、バチッバチッと奇妙な音を鳴らす姿は恐怖でしかない。
スタンガンの痛みを思い出して、男達が悲鳴をあげる。妖怪だ!化け物だ!殺さないで!
「うふふ、大丈夫よ。もう…あなた達2回死んでるから」
ニッコリと美しく笑って、もう一度バチッとスタンガンを鳴らした。恐怖のあまり何人かの男が失禁した。
横の木々の陰から、複数の人間が飛び出して来た。
◇◇◇
「姉さん!ボクの後ろに!」
少年は、瞬時に腕輪を盾を変化させ構えた。その背に少女を庇う。
5~6人の村の男達だった。手に鎌や鍬を持っている。まるで、あの夜の時の様に。
「悪いなぁ。村長の命令なんだ」
「恨むなら、はな様を恨むんだなぁ」
下品な笑い声がする。
それは、少女のトラウマを刺激するのに充分だった。身体と心が恐怖で震え出す。
そんな怯える少女を、優しく抱擁して励ます声が聞こえてきた。
大丈夫、貴女は1人じゃない。ここは私に任せて。
動けなくなった少女を下がらせ、華が表面に現れる。目が碧から黒へ変化した。
その様子に、男達が激しく動揺した。男達の目には、金髪碧眼の女がいきなり黒髪黒目の日本人に変わったのだ。
男達が動揺している間に、華は素早く少年の腰に下げていた催涙スプレーと、スタンガンを取った。
幸い、こちらは風上。一気に催涙スプレーを男達へ吹きかけた。
武器を取り落とし、男達は顔押さえながら、悲鳴をあげてうずくまった。
すかさず、華がスタンガンでとどめをさしていく。
今回は殴った訳ではないから、気絶はしてないが、戦意を削ぐには充分だった。
得体のしれない道具や痛みに、男達は悲鳴をあげながら、悶えている。
少年は華のあまりに鮮やかな動きに、加勢する事も忘れてポカンとしていた。
「怜ちゃん!縛ろう!」
「あ、ああ」
正確には怜でなく、碧目の少年だが、今はそんな事はどうでもいい。
少年は背負っていたショルダーバッグから紐を取り出した。男達の両手を後ろ手にし、手首を縛り拘束していく。
その間、逃げようとする輩には容赦なく華がスタンガンを当て、痛みと恐怖感を与えていった。
最後の1人を縛り終えた後、少年の代わりに青年が表面に出た。そして黒剣を構え、男達に突きつける。
「これに覚えはあるか」
「…その剣!…お…おまえ、あの時、死んだ筈じゃ…」
男達が一斉に青ざめた。
剣を見て何かを思い出したようだ。それに、この反応。恐らく襲撃に参加した者だろう。
その首を刎ねてしまいたくて、思わず青年は剣を握り締める。
その手を、ソッと華が押さえた。
青年の目をジッと見つめて、首を横にふる。
ここまで来てまた殺してしまっては振り出しに戻ってしまう。
「あの牢屋へ入れよう」
「……そうだな」
怒りをため息で散らして、青年は男達を睨んだ。
華も負けじと、怖い形相を作り、へたり込む男達を睨みながら高圧的に言葉を発した。
「私の力を見たでしょう。大人しくしないとまた痛い目にあうわよ」
そう言って、スタンガンを空に掲げ、バチッバチッと鳴らした。
夕焼けをバッグにシルエットとなった状態で、バチッバチッと奇妙な音を鳴らす姿は恐怖でしかない。
スタンガンの痛みを思い出して、男達が悲鳴をあげる。妖怪だ!化け物だ!殺さないで!
「うふふ、大丈夫よ。もう…あなた達2回死んでるから」
ニッコリと美しく笑って、もう一度バチッとスタンガンを鳴らした。恐怖のあまり何人かの男が失禁した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サハツキ ―死への案内人―
まっど↑きみはる
ホラー
人生を諦めた男『松雪総多(マツユキ ソウタ)』はある日夢を見る。 死への案内人を名乗る女『サハツキ』は松雪と同じく死を望む者5人を殺す事を条件に、痛みも苦しみもなく松雪を死なせると約束をする。 苦悩と葛藤の末に松雪が出した答えは……。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
牛の首チャンネル
猫じゃらし
ホラー
どうもー。『牛の首チャンネル』のモーと、相棒のワンさんです。ご覧いただきありがとうございます。
このチャンネルは僕と犬のぬいぐるみに取り憑かせた幽霊、ワンさんが心霊スポットに突撃していく動画を投稿しています。
怖い現象、たくさん起きてますので、ぜひ見てみてくださいね。
心霊写真特集もやりたいと思っていますので、心霊写真をお持ちの方はコメント欄かDMにメッセージをお願いします。
よろしくお願いしまーす。
それでは本編へ、どうぞー。
※小説家になろうには「牛の首」というタイトル、エブリスタには「牛の首チャンネル」というタイトルで投稿しています。
世界で一番、可愛いおばけ
ことは
ホラー
25歳で結婚した村瀬亜紀は、5年後に待望の赤ちゃんを授かった。
しかし、妊娠19週目の妊婦検診で、胎児が「無頭蓋症(むとうがいしょう)」だと宣告される。
脳はあるが頭蓋骨が形成されておらず、お腹の中では育つが外に出たら生きられない。
亜紀は悩んだ末、20週で人工死産を選択する。
亜紀は夫の孝之とともにその子に「そら」と名付け、火葬後遺骨を持ち帰った。
四十九日を過ぎた頃、そらが亜紀の目の前に現れた。
だが、孝之にはそらが見えない。孝之は亜紀に精神科の受診を勧めた。
しかし亜紀は、精神疾患によってそらの幻覚が見えるのならそれでも構わない、病気を治療してそらと会えなくなるのなら、精神病を治したくないと考えた。
はたしてそらは、本当に亜紀の幻覚なのか、それとも……。
【表紙イラスト】ノーコピーライトガール様からお借りしました。
https://fromtheasia.com/illustration/nocopyrightgirl
性奴隷を拒否したらバーの社畜になった話
タタミ
ホラー
須原幸太は借金まみれ。
金貸しの元で無償労働をしていたが、ある日高額報酬の愛人契約を持ちかけられる。
『死ぬまで性奴隷をやる代わりに借金は即刻チャラになる』
飲み込むしかない契約だったが、須原は気づけば拒否していた。
「はい」と言わせるための拷問が始まり、ここで死ぬのかと思った矢先、須原に別の労働条件が提示される。
それは『バーで24時間働け』というもので……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる