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37話
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ドラゴンが苦しみ出した。
いつの間にか若ちんが最終兵器をドラゴンに飲ませたみたいだ!
ドラゴンがバタンバタンと尻尾を振り上げ、蹲ってる。その頭上からあの煌びやかな剣を抜いた大河が、ドラゴンめがけてペガサスから飛び降りた!
スッ
まるで柔らかい肉をナイフで切る様に。
音も無くドラゴンの首を切断した。
若ちんを乗せたままのペガサスが、地上すれすれで大河を迎え乗せた。
頭を落とされたドラゴンは、頭が地面に落ちる前に光の粒になって消えていく。
「やったー!」
「さっすが大河!」
みんな大興奮だ!
耳元の飾りも大河が魔王を倒した事をアナウンスした。城壁の向こうから大歓声が聞こえる。
「終わったんだ…」
「終わったんだね」
知らずうちに、忍くんと手を繋いで呟いた。
異世界に連れて来られて14日目。
やっと帰れるんだ。
知らずうちに涙が出て来た。
それはみんなも同じだったみたいで。気づけば、みんなが泣いていた。
静かに泣く人。号泣する人。堪える人。
でもみんながこの勝利を喜んでいた。
若ちんが前で、後ろに大河を乗せたペガサスがこっちに向かって来る。
「若ちーん!」
「大河!やったな!」
みんなが、若ちんに大河に手を振る。
2人も片手を上げて、それに応えた。
その時ー。
グアアァァァー!
地を這うような低い低い咆哮だった。
みんなで一斉に目を向けると、ドラゴンに投げ捨てる様に大地に叩きつけられていた魔物ボスだった。
全身をボロボロにしながらも、必死に体を起こして叫び声を上げた。
「おのれ異世界人め!道連れにしてくれる!今回の…全ての…異世界人を…道連れに…ゴフッ」
最後に大きな黒い液体を吐いて、魔物ボスは倒れた。その体から真っ黒な靄が立ち上がり、ブワッと空に広がった。
魔物ボスの体は光の粒になり消えていく。
でも黒い靄は消えずに、広がり、わたし達と城の方へ向かって来た!
「あれ…呪いよ!」
聖女の江川さんが叫んだ。
「か、解呪の魔法を…」
「即死の呪いだわ、解呪では間に合わない!」
僧侶系や賢者の子達が話すけど、その間にも呪いの靄は近づいて来ていた。
「フェニックスを…」
「全員即死したら…誰が召喚するの?」
召喚士の山田さんの言葉は絶望的だった。
みんな、言葉を失う。
そんな中、わたしはみんなを落ち着かせる為、あえて笑顔でみんなに言った。
「…大丈夫。きっと、みんな無事に帰れるから」
「あかりちゃん?」
忍くんが不思議そうにわたしを見た。
欠けてひび割れた瓶底メガネ。新しいの買ってあげたかったな。
「このロボットとか、ペガサスやユニコーンも消えちゃうと思うから。みんな、気をつけてね!楽しかったよ、ありがとう!」
そして、わたしは最期の妄想召喚をした。
「わたしの描いたクラスメイト達と若ちん、召喚!」
いつの間にか若ちんが最終兵器をドラゴンに飲ませたみたいだ!
ドラゴンがバタンバタンと尻尾を振り上げ、蹲ってる。その頭上からあの煌びやかな剣を抜いた大河が、ドラゴンめがけてペガサスから飛び降りた!
スッ
まるで柔らかい肉をナイフで切る様に。
音も無くドラゴンの首を切断した。
若ちんを乗せたままのペガサスが、地上すれすれで大河を迎え乗せた。
頭を落とされたドラゴンは、頭が地面に落ちる前に光の粒になって消えていく。
「やったー!」
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みんな大興奮だ!
耳元の飾りも大河が魔王を倒した事をアナウンスした。城壁の向こうから大歓声が聞こえる。
「終わったんだ…」
「終わったんだね」
知らずうちに、忍くんと手を繋いで呟いた。
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やっと帰れるんだ。
知らずうちに涙が出て来た。
それはみんなも同じだったみたいで。気づけば、みんなが泣いていた。
静かに泣く人。号泣する人。堪える人。
でもみんながこの勝利を喜んでいた。
若ちんが前で、後ろに大河を乗せたペガサスがこっちに向かって来る。
「若ちーん!」
「大河!やったな!」
みんなが、若ちんに大河に手を振る。
2人も片手を上げて、それに応えた。
その時ー。
グアアァァァー!
地を這うような低い低い咆哮だった。
みんなで一斉に目を向けると、ドラゴンに投げ捨てる様に大地に叩きつけられていた魔物ボスだった。
全身をボロボロにしながらも、必死に体を起こして叫び声を上げた。
「おのれ異世界人め!道連れにしてくれる!今回の…全ての…異世界人を…道連れに…ゴフッ」
最後に大きな黒い液体を吐いて、魔物ボスは倒れた。その体から真っ黒な靄が立ち上がり、ブワッと空に広がった。
魔物ボスの体は光の粒になり消えていく。
でも黒い靄は消えずに、広がり、わたし達と城の方へ向かって来た!
「あれ…呪いよ!」
聖女の江川さんが叫んだ。
「か、解呪の魔法を…」
「即死の呪いだわ、解呪では間に合わない!」
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「フェニックスを…」
「全員即死したら…誰が召喚するの?」
召喚士の山田さんの言葉は絶望的だった。
みんな、言葉を失う。
そんな中、わたしはみんなを落ち着かせる為、あえて笑顔でみんなに言った。
「…大丈夫。きっと、みんな無事に帰れるから」
「あかりちゃん?」
忍くんが不思議そうにわたしを見た。
欠けてひび割れた瓶底メガネ。新しいの買ってあげたかったな。
「このロボットとか、ペガサスやユニコーンも消えちゃうと思うから。みんな、気をつけてね!楽しかったよ、ありがとう!」
そして、わたしは最期の妄想召喚をした。
「わたしの描いたクラスメイト達と若ちん、召喚!」
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