31 / 45
27話
しおりを挟む
大河達、主力メンバーのお陰で、突如中庭に現れた魔物は討伐された。
魔物達は王女の取り巻きの貴族令嬢と、王女の護衛騎士に扮して、王女やその周辺を唆して勇者一行を妨害しようとしていたらしい。
ところがなかなか上手くいかないので、勇者一行の内側(非戦闘組)から切り崩してやろうと今回の行動に出たみたいだ。
もともと非戦闘組は狙われたら、ひとたまりも無い。だからわたし達のいる建物や中庭はクラスメイト以外が勝手にウロつけない様に色々工夫していた。
これまでは王族一行やこの世界の人達がちょっかいを出す事ばかりだったので、対人間を想定していた。まさか、魔物が既に城内に侵入してるとは思わずに。
今回はその抜け穴を狙われた形だったらしい。
この件は速やかに王様に報告されて、今城内に他に化けた魔物が入り込んで無いか調査されてるそうだ。
「そうですか…」
わたしはその話を、忍くんの側に付き添いながら聞いていた。
「今から食堂でみんなにも話すから、鈴木の事は頼むな」
「……はい」
忍くんの手を握って返事したわたしの頭を、一度クシャッと撫でてから若ちんは部屋を出て行った。
ココは忍くんの相部屋で、忍くんは意識の無い状態で寝ている。
大河達が駆けつけた時。
忍くんは既に致命傷を負わされてボロボロだったそうだ。
持っていたアイテムで対抗して、相手にも相当の傷を負わせていたらしい。
聖女の江川さんが一度すぐ忍くんを癒したけど。何故か魔物達は忍くんを執拗に狙っていたそうだ。
そして大河達が魔物にトドメを刺した瞬間、まるで道連れの様に忍くんをー。
召喚士の山田さんがすぐに不死鳥を召喚して、江川さんがすぐに癒しをかけていなければ今頃はー。
ぞわり、と怖い想像に鳥肌が立った。
幸い今はもう生命に別状は無い。
ただ精神と肉体的疲労は大きい筈だから、今は十分休ませる様にと若ちんは言っていた。
◇◇◇
「あかりちゃん」
名前を呼ばれて、目を覚ました。
側に菜穂ちゃんとくるみちゃんがいた。
いつの間にか忍くんを看病しながら寝ちゃったみたい。
窓の外はとうに暗くなっていた。
「代わるから夕食とって来て」
「でも…」
「ふえーん。あかりちゃんまで倒れたら鈴木くんが心配しちゃうです」
「…そうだね、わかった。ありがとう」
手を繋いだまでままの忍くんを見る。
相変わらず眠ったままだ。
瓶底メガネは、少し欠けて、あちこちヒビ割れていた。
帰ったら…メガネ、プレゼントしたいな。
忍くんのメガネに触れながら、少し席を外すね、と声をかけて、わたしは部屋を出た。
魔物達は王女の取り巻きの貴族令嬢と、王女の護衛騎士に扮して、王女やその周辺を唆して勇者一行を妨害しようとしていたらしい。
ところがなかなか上手くいかないので、勇者一行の内側(非戦闘組)から切り崩してやろうと今回の行動に出たみたいだ。
もともと非戦闘組は狙われたら、ひとたまりも無い。だからわたし達のいる建物や中庭はクラスメイト以外が勝手にウロつけない様に色々工夫していた。
これまでは王族一行やこの世界の人達がちょっかいを出す事ばかりだったので、対人間を想定していた。まさか、魔物が既に城内に侵入してるとは思わずに。
今回はその抜け穴を狙われた形だったらしい。
この件は速やかに王様に報告されて、今城内に他に化けた魔物が入り込んで無いか調査されてるそうだ。
「そうですか…」
わたしはその話を、忍くんの側に付き添いながら聞いていた。
「今から食堂でみんなにも話すから、鈴木の事は頼むな」
「……はい」
忍くんの手を握って返事したわたしの頭を、一度クシャッと撫でてから若ちんは部屋を出て行った。
ココは忍くんの相部屋で、忍くんは意識の無い状態で寝ている。
大河達が駆けつけた時。
忍くんは既に致命傷を負わされてボロボロだったそうだ。
持っていたアイテムで対抗して、相手にも相当の傷を負わせていたらしい。
聖女の江川さんが一度すぐ忍くんを癒したけど。何故か魔物達は忍くんを執拗に狙っていたそうだ。
そして大河達が魔物にトドメを刺した瞬間、まるで道連れの様に忍くんをー。
召喚士の山田さんがすぐに不死鳥を召喚して、江川さんがすぐに癒しをかけていなければ今頃はー。
ぞわり、と怖い想像に鳥肌が立った。
幸い今はもう生命に別状は無い。
ただ精神と肉体的疲労は大きい筈だから、今は十分休ませる様にと若ちんは言っていた。
◇◇◇
「あかりちゃん」
名前を呼ばれて、目を覚ました。
側に菜穂ちゃんとくるみちゃんがいた。
いつの間にか忍くんを看病しながら寝ちゃったみたい。
窓の外はとうに暗くなっていた。
「代わるから夕食とって来て」
「でも…」
「ふえーん。あかりちゃんまで倒れたら鈴木くんが心配しちゃうです」
「…そうだね、わかった。ありがとう」
手を繋いだまでままの忍くんを見る。
相変わらず眠ったままだ。
瓶底メガネは、少し欠けて、あちこちヒビ割れていた。
帰ったら…メガネ、プレゼントしたいな。
忍くんのメガネに触れながら、少し席を外すね、と声をかけて、わたしは部屋を出た。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。
sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。
気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。
※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。
!直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。
※小説家になろうさんでも投稿しています。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
男女比が偏っている異世界に転移して逆ハーレムを築いた、その後の話
やなぎ怜
恋愛
花嫁探しのために異世界から集団で拉致されてきた少女たちのひとりであるユーリ。それがハルの妻である。色々あって学生結婚し、ハルより年上のユーリはすでに学園を卒業している。この世界は著しく男女比が偏っているから、ユーリには他にも夫がいる。ならば負けないようにストレートに好意を示すべきだが、スラム育ちで口が悪いハルは素直な感情表現を苦手としており、そのことをもどかしく思っていた。そんな中でも、妊娠適正年齢の始まりとして定められている二〇歳の誕生日――有り体に言ってしまえば「子作り解禁日」をユーリが迎える日は近づく。それとは別に、ユーリたち拉致被害者が元の世界に帰れるかもしれないという噂も立ち……。
順風満帆に見えた一家に、ささやかな波風が立つ二日間のお話。
※作品の性質上、露骨に性的な話題が出てきます。
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
波間柏
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる