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27話

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 大河達、主力メンバーのお陰で、突如中庭に現れた魔物は討伐された。

 魔物達は王女の取り巻きの貴族令嬢と、王女の護衛騎士に扮して、王女やその周辺を唆して勇者一行を妨害しようとしていたらしい。

 ところがなかなか上手くいかないので、勇者一行の内側(非戦闘組)から切り崩してやろうと今回の行動に出たみたいだ。

 もともと非戦闘組は狙われたら、ひとたまりも無い。だからわたし達のいる建物や中庭はクラスメイト以外が勝手にウロつけない様に色々工夫していた。

 これまでは王族一行やこの世界の人達がちょっかいを出す事ばかりだったので、対人間を想定していた。まさか、魔物が既に城内に侵入してるとは思わずに。

 今回はその抜け穴を狙われた形だったらしい。

 この件は速やかに王様に報告されて、今城内に他に化けた魔物が入り込んで無いか調査されてるそうだ。

「そうですか…」

 わたしはその話を、忍くんの側に付き添いながら聞いていた。

「今から食堂でみんなにも話すから、鈴木の事は頼むな」
「……はい」

 忍くんの手を握って返事したわたしの頭を、一度クシャッと撫でてから若ちんは部屋を出て行った。

 ココは忍くんの相部屋で、忍くんは意識の無い状態で寝ている。

 大河達が駆けつけた時。

 忍くんは既に致命傷を負わされてボロボロだったそうだ。

 持っていたアイテムで対抗して、相手にも相当の傷を負わせていたらしい。

 聖女の江川さんが一度すぐ忍くんを癒したけど。何故か魔物達は忍くんを執拗に狙っていたそうだ。

 そして大河達が魔物にトドメを刺した瞬間、まるで道連れの様に忍くんをー。

 召喚士の山田さんがすぐに不死鳥を召喚して、江川さんがすぐに癒しをかけていなければ今頃はー。

 ぞわり、と怖い想像に鳥肌が立った。

 幸い今はもう生命に別状は無い。

 ただ精神と肉体的疲労は大きい筈だから、今は十分休ませる様にと若ちんは言っていた。



◇◇◇



「あかりちゃん」

 名前を呼ばれて、目を覚ました。

 側に菜穂ちゃんとくるみちゃんがいた。

 いつの間にか忍くんを看病しながら寝ちゃったみたい。

 窓の外はとうに暗くなっていた。

「代わるから夕食とって来て」
「でも…」
「ふえーん。あかりちゃんまで倒れたら鈴木くんが心配しちゃうです」
「…そうだね、わかった。ありがとう」

 手を繋いだまでままの忍くんを見る。

 相変わらず眠ったままだ。

 瓶底メガネは、少し欠けて、あちこちヒビ割れていた。

 帰ったら…メガネ、プレゼントしたいな。

 忍くんのメガネに触れながら、少し席を外すね、と声をかけて、わたしは部屋を出た。
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