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6話

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 続いてやって来たのは剣や槍等を扱う組だった。

 クラスでも運動神経が良い体育会系のメンバーが、大体ここに振り分けられたらしい。

 指導役の本職さん達と木刀を使って打ち合いや、素振り、打ち込みとかをしていた。
 数人だけど女子もいた。カッコいい!

 その中でも群を抜いて目立っていたのは、やっぱり勇者の大河だった!何ていうか、動きが他の人と違う。

 若ちん曰く、元々の能力値というのが他のメンバーより格段に高いらしい。

「おう、あかり。魔法系の練習はもういいのか?」

 大河がわたしに気づいて声をかけながら近寄って来た。

 その後ろに、見たことないゴージャスで派手で綺麗な女の人達が数人くっついて来た。

 綺麗だけど、なんか気が強そうなオーラが凄まじい!

「勇者様、誰ですの?その方は」
「あー。こいつも一緒にこっちに来たクラスメイトです」

 若干、大河は迷惑そうだ。

「まあ。この方も勇者様御一行ですの?」

 真ん中の1番綺麗な人が値踏みする様にジロジロ私を見てきた。

 ドキドキドキドキ。

 なんか緊張する。
 この状況は何だか嫌な場面を思い出させる。

「あかり。もう今日の特訓は終わりなんだろ?」
「う、うん」
「じゃあ、これやるよ。持ってた鞄に入ってたから」

 そう言って大河はノートと筆箱を渡してきた。

「もしかしたら何かヒントになるかもしれないだろ?スケッチとかしてみれば?」
「あ、ありがとう」

 大河の気遣いが嬉しい。紙と鉛筆はわたしの精神安定剤だ!

 軽く震える手でそれを受け取ろうとした時。
 
 先ほどの綺麗な女の人が、あぁ、なるほど!と声を上げた。

「貴女ですの。妄想なんたらという変わり種は。他の方達はすぐ能力開花したのに、未だに方向性がわからないって噂ですわね」

 女性から明確に伝わってくる悪意が怖くて、手の震えが止まらなくなった。ノートと筆箱が地に落ちた。

 怖い。怖い。怖い。
 恐怖で眩暈がしてきた。

「あかり!おい!大丈夫か!?」

 大河が焦ってわたしの肩に手を置いて顔を覗き込んできた。

「な、何よ急に。具合が悪いフリして」
「勇者様の気をひこうとしてるんですわ!」

 女性達が騒ぎ出す。
 そこに若ちんの声が加わった。

「おい!そこの着飾るしか能が無いクソ女ども!俺の大事な生徒に何しやがる!」
「まあ!私はこの国の王女よ!無礼だわ」
「俺らはこの国の人間じゃねぇからよ。そんなもんクソほどの価値もねえよ!」
「そうだ!そうだ!俺達の仲間をいじめるな!」
「気が散るから帰れー!」

 若ちんやクラスメイトの声が、遠くから聞こえてくるみたいだ。

「伊藤。こっちはいいから、田中を非戦闘の方へ連れて行ってくれ」
「はい」

 何だかフラフラする。もう目も開けてられなくて、思わず目を閉じた。身体がふわりと浮いて、どこかに運ばれていくのがわかった。
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