もふもふすんすん

まめ

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真名の契約

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「チィ、寝る前に少し話しても良い?」
「うん、良いよ」
改まった様子のラルフに対してチィはベッドの上で正座した
「チィ、おいで。抱っこしてあげる」
「しっぽ付き?」
「良いよ」
獣化は段階的に行う事ができる
完全獣化と半獣化
チィのご要望に応えてラルフは半獣化した
尻尾を抱えながら横抱きしてもらい、もふもふな尻尾に顔を埋めた
「トトさんのしっぽ、良い匂い」
「尻尾もハチミツ?」
「ハチミツパン!」
「ふふ、それは良かった。ところで…チィはこの家から引っ越して別な場所で暮らすことになったらどうする?」
「トトさんと一緒ならどこでも良いよ」
「…そっか。俺が居なかったら?」
「やだ!トトさんと一緒!」
「そうだね一緒が良い」
「うん、トトさん、ずっと一緒?」
「………、チィ、明日、森に行こうか?」
「森?」
「そう、チィと俺が出会った場所」
「行く!わんちゃんになって乗せてってくれる?」
「ふふ、良いよ。そうと決まれば明日の朝は早起きしなくちゃね。さあ、寝よう」
「今日はこのまま、もふもふしながら寝ても良い?」
「ああ、良いよ。おやすみ、チィ」
「おやすみなさい」
チュッと額にキスをされ、尻尾を抱えたまま顔をすりすりさせ、満面の笑みを浮かべながら眠りについた


まだ日が昇り切る前に完全獣化したラルフはベルトを装着し荷物とチィを乗せた
「トトさ~ん、もふもふで早くて最高ー!」
「口を閉じてないと舌を噛むよ」
背中にしがみつきながらきゃっきゃと喜ぶチィ
ラルフの瞳は前を向きつつ、にこりと微笑んでいた
振り落とさないように気をつけながら走ること半日、目的の森に到着した


大きな大木の前まで到着し、獣化を解いた
「到着~!いっちばん!」
「ふふ、チィ誰かと競争してたの?」
「小鳥さん!」
「どっちが早かった?」
「トトさんとチィ!」
「可愛いなぁ、俺のお姫様は」
ラルフはチィを片腕で抱き上げた

「チィ、覚えてる?この木」
「うん!チィ寝てた!」
「そうだね。チィはこの木に守られながら眠ってたね。チィ、…聞いて、ここでチィと契約する時がきたんだ」
「契約って何?」
「約束のことだよ。チィとトトがずっと一緒っていう約束をする時がきたんだ。チィはトトとずっと一緒に居ても良い?」
「うん!ずっと一緒!約束する!」
「ありがとう、チィ」
ラルフはその言葉を聞いて、大木に両手を当てて目を閉じた
「チィ、同じようにして」
「うん!」
チィも同じように大木に両手を当てた
「我が真名はフェンに住まう者、ライル・リーン・トワレス。真名をこの小さき娘、リリィ・グリーンレイに与える」

ラルフが唱え終わると大木から温かい光りが二人に応えた
〈我の前で真名を与えし、古の獣よ。我が精霊の血を持つ娘リリィと共に永遠に在らんことを、この地に根を張る者達と共に見守ろう〉

その声は二人を優しく包んだ

「トト…さ、ん、」
それまで幼な子のようだったチィは成人間際の女性の姿になり、ラルフは大きな狼のような姿になった

ふらりと倒れそうになったチィを支え、ラルフは言った
「チィ、チィはリリィって言う名前なんだ」
「…リリィ?」
「そう、リリィ。さっき言ったのは、チィの名前。本当の名前はトトしか知らない大切な物なんだ。だから誰にも言ってはならないよ」
「トトさん…、私、何か変…。トトさんも大きな犬…」
そこまで言ってチィはそのまま気を失ってしまった


ペロペロと頬を舐められている感覚でチィは目を覚ました
「ふふ、トトさん、くすぐったい」
「チィ、目が覚めた?」
「うん!…トトさん、何か大きくなってる!」
「チィと契約を交わしたから、本来の姿になったんだ」
もぎゅっとラルフに抱きつき、すんすんと匂いを嗅いだ
「うん、大きくなっても、トトさんはハチミツパンの匂いだね!」
「ふふ、それなら良かった。チィ、今日からチィとトトさんは番いになった。分かるかい?」
「番い?お隣のベンさん達みたいなの?」
「そうだよ、チィ。お隣のベンさん達も番い。チィは賢いね」
「チィとトトさんは番い…。ふふ、チィ嬉しい」
「トトも嬉しいよ」
大人になったチィの口に啄むようにチュッとキスをした
チィはラルフの両頬に手を添えそれに応えるように、チュッと鼻先にキスを返した

「チィ、家に帰る前に、チィにしておかないといけないことがあるんだ」
「なあに?トトさん?」
「チィにこれから匂い付けをする。少し恥ずかしいかもしれないけど、チィがトトのだってことを皆んなに知らせる為に必要なことなんだ」
「チィはトトさんのなんだね。ふふ、いいよ」
ラルフは巨大狼の姿で鼻先でチィの短くなってしまったスカートの裾を捲り、足の付け根の先をペロペロと舐めだした
「トトさん、むずむずするっ…」
「チィ、少しだけ我慢して」
「…ん、…分かった。我慢する…」

チィはむずむずを我慢して終わるのを待った




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