囚われた王子

まめ

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床や天井にまで張り巡らされた薔薇の蔓


侍従が見たのは、衰弱死したと思われるドルマンだった…

ドルマンは快楽に溺れ食することもせず、幻の中でルナを抱き続け衰弱死していたのだ


殺戮の王とまで呼ばれた男とは思えぬ程痩せ細った身体…だが開いたままの目だけは恍惚としていた

腰を抜かし、ガタガタと震えその場から逃げるように侍従は去った






………





ルナ、目をお覚まし

最愛を連れて来たよ

さあ、この籠から出るんだ

もう、大丈夫さね




………





導かれるように他国にまでやって来たスタンだったが、そこにルナが居ることは疑ってもいなかった


ルナ、早く会いたい…



漸く辿り着いたその場所から一際薔薇の香りがした
部屋の中に蔓が籠のようになり、何かを覆っている…




「ルナ、迎えに来たよ」…


スタンの呼ぶ声を待っていたかのように、はらはらと蔓が解かれ、そこには穏やかな夢から覚めたと思われるルナが居た


「ルナ!!!っ」


駆け寄りルナを抱きしめた


「ルナ、会いたかった…。一人こんなところまで…。
不安だったろう…」

「…ううん。ごめんなさい、スタン。心配を掛けて…。何も言わずに側を離れて」


二人は再び抱きしめ合った

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