囚われた王子

30.

スタンは植物に導かれるように馬を走らせた
そしてその姿は異常成長した植物達が隠すようにまた守るように風に揺れていた


他国の国境を越えてからは仄かに香る薔薇に導かれ、更に道を進んだ


殺戮の王と呼ばれるドルマンが治める国は人気もなく、静まり返っていた

街に入るも、たまに見かける民も何かに怯えるようにしていた


スタンは横目に自国と比べこの国の民達を憂いた…



………





人払いされていたその部屋の主が、運んでいる食事を摂っていないことに気が付いた侍従だが、主の機嫌を損ね首を刎ねられては堪らないとそのことには気がつかないことにした

娘を探しているらしい貴族に押し入りられそうになったが、そんなことより自分の命が大切だと侍従達は貴族を帰した



5日過ぎ10日過ぎても変わらない…



いよいよ別な心配をした侍従が思い切って部屋の扉をノックした




………



ああ、女神
お前を汚すことが何て愉快なんだろう

女神の全てを手に入れドルマンは恍惚とした表情をしていた…





………




返事の無い部屋を恐る恐る開け、中を覗くと…