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仕える者の願い
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「ヘルゼさん、聞いていい?」
屋敷に飾る花を二人で選んでいる時に尋ねた
「どうしたの?何か困り事?」
疎外感を感じるからと、敬称無しで、皆と同じように話して欲しいと何度もお願いし、徐々に聞き入れて貰ったのだった
「ドミオール様のこと…」
「あら、何?領主様のこと好きになっちゃった?」
「や、そんなんじゃ…」
「ふふ、良いのよ、良いのよ。あれだけお優しいのに、あの、いつもこーんなにしてる顔では駄目だと皆言ってるのよ。一緒に過ごせば領主様の良さも伝わるんだけど、あんな感じではなかなか良さが伝わらないのよね」
「そうね。…あと、お母様とは…」
「主の家族を悪くは言いたく無いんだけど、本当に親子なのかしら?と時々思ってしまうことがね…。誠実なドミオール様とは真逆だし、愛情のカケラも無いって言うかね。だから、却ってあんなに優しくでも無愛想な感じなのかもね」
「そうなんだ…」
「同情しちゃった?」
「ううん、…私と似てるなって…」
花を抱えていない方の手で抱きしめられ、肩越しに言われた
「ここに居る者は皆家族よりも家族らしいと私は思ってる。アリーのことも含めてね」
ポンポンと数度背中を叩かれ、優しい笑顔を向けてくれた
あの場所から逃げてきた
逃げる為にここに来たけれど
今は違う
ここに居たい
この温かい場所にずっと居たい
「アリーが領主様と結婚してくれたら、私達も安心だな」
「でも、私、ここに来てまだそんなに…」
「貴女のここでの過ごし方を見ていれば、どんな人柄なのかぐらい分かるわ。それにお互い同情から始まっても別に良いと思うの。始まり方なんて人其々違うもの。何より、領主様の良さを分かってくれる年頃の女性がほんっとに居ないのよ。あのままでは死ぬまで独身…
「ヘルゼ、仕える主人の事を言い過ぎでは?」
「ホールソンさん!あ、お花を飾る途中でしたので失礼します」
私を置いて逃げた
「……ホールソンさん、私がヘルゼさんからドミオール様のことを教えて欲しいってお願いしたの。ごめんなさい」
「アリーさん、ヘルゼの言う通り、ご主人様はここの皆を家族のように扱って下さいます。でも私達は本当の家族が出来る事を願ってます。ご主人様が本当のご家族と共に穏やかに過ごされることこそ私達の幸せです。そのお相手がアリーさんであれば嬉しいのですがね。おっと、私もお喋りが過ぎました。では、アリーさん私はこれで」
ホールソンさんも私をその場に残し行ってしまった
二人に勧められただけで、ドミオール様のことを好きだと言ってもないのに、何だか私が好きになったみたいになってるし…
自分の顔がどうしてか赤くなったのが分かった
屋敷に飾る花を二人で選んでいる時に尋ねた
「どうしたの?何か困り事?」
疎外感を感じるからと、敬称無しで、皆と同じように話して欲しいと何度もお願いし、徐々に聞き入れて貰ったのだった
「ドミオール様のこと…」
「あら、何?領主様のこと好きになっちゃった?」
「や、そんなんじゃ…」
「ふふ、良いのよ、良いのよ。あれだけお優しいのに、あの、いつもこーんなにしてる顔では駄目だと皆言ってるのよ。一緒に過ごせば領主様の良さも伝わるんだけど、あんな感じではなかなか良さが伝わらないのよね」
「そうね。…あと、お母様とは…」
「主の家族を悪くは言いたく無いんだけど、本当に親子なのかしら?と時々思ってしまうことがね…。誠実なドミオール様とは真逆だし、愛情のカケラも無いって言うかね。だから、却ってあんなに優しくでも無愛想な感じなのかもね」
「そうなんだ…」
「同情しちゃった?」
「ううん、…私と似てるなって…」
花を抱えていない方の手で抱きしめられ、肩越しに言われた
「ここに居る者は皆家族よりも家族らしいと私は思ってる。アリーのことも含めてね」
ポンポンと数度背中を叩かれ、優しい笑顔を向けてくれた
あの場所から逃げてきた
逃げる為にここに来たけれど
今は違う
ここに居たい
この温かい場所にずっと居たい
「アリーが領主様と結婚してくれたら、私達も安心だな」
「でも、私、ここに来てまだそんなに…」
「貴女のここでの過ごし方を見ていれば、どんな人柄なのかぐらい分かるわ。それにお互い同情から始まっても別に良いと思うの。始まり方なんて人其々違うもの。何より、領主様の良さを分かってくれる年頃の女性がほんっとに居ないのよ。あのままでは死ぬまで独身…
「ヘルゼ、仕える主人の事を言い過ぎでは?」
「ホールソンさん!あ、お花を飾る途中でしたので失礼します」
私を置いて逃げた
「……ホールソンさん、私がヘルゼさんからドミオール様のことを教えて欲しいってお願いしたの。ごめんなさい」
「アリーさん、ヘルゼの言う通り、ご主人様はここの皆を家族のように扱って下さいます。でも私達は本当の家族が出来る事を願ってます。ご主人様が本当のご家族と共に穏やかに過ごされることこそ私達の幸せです。そのお相手がアリーさんであれば嬉しいのですがね。おっと、私もお喋りが過ぎました。では、アリーさん私はこれで」
ホールソンさんも私をその場に残し行ってしまった
二人に勧められただけで、ドミオール様のことを好きだと言ってもないのに、何だか私が好きになったみたいになってるし…
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