20 / 23
20.
しおりを挟む
桜はやはり咲いてはいなかった
それでも2人はずっと桜の前に居続けた
「…リコ、俺、…リコが…、リコが笑った顔が好きだ。ずっと笑顔で居てくれ」
「…そ、その、約束、ま、守れる、かなぁ…」グスッ
ネオは泣き出した莉子の唇に人差し指をちょん、と当て、
「守れるさ、笑顔で送ってくれるだろう?」
莉子はコクリと頷いた
…………
ネオが元の世界に戻る日になった
同じ住まいの住人達は2人に気を使い、前日にお別れの挨拶を済ませ、普段通りに出掛けて行った
ネオは泣き出しそうな莉子の両手を握り、優しく微笑んでいた
その時が来て段々と身体に靄が掛かったようになり始めた時、ネオは最後の言葉を告げた
「…リコ、先に向こうで待ってる。必ず探すからな。ここで半年頑張れ、ずっとリコを想ってる…リコ、ありが………
「ネオ!ネオ!やだ、やだよ、ネオ!……」
……莉子の声はもうネオには届かなかった
莉子は何日もネオの椅子で過ごした
対で作ると言っていた椅子は未完成のまま莉子の部屋に置かれていた
ネオを描いた絵を見て泣きながら眠った日もあった
ずっと何日もネオの絵を見ていた莉子は、ネオに絵を描き続けるよう言われたこと、笑顔で居ることを約束しただろう?と語られているように感じ、やっと部屋を出ることができた
そこから半年間、ネオと訪れた場所、新たに1人で訪れた場所の人々や街並みをスケッチブック何冊も描いた
時には描いた人にプレゼントもした
この世界に来てからもう間も無く三年…
私もこの世界から旅立つ時だ
元の世界ではやることがたくさん待ってる!
ネオに会った時恥ずかしくない自分で居たい!
莉子はその日までずっと笑顔で居続けた
……………
ピピ、ピピピピ、ピピピピピピ
ー莉子~!起きなさ~い!学校遅刻するわよ~!
「はーい!もう、起きた~!お弁当出来てるー?」
「莉子、寝癖!ほら、ちゃんと直して!」
「お母さん、時間無い!行ってきまーす!」
それでも2人はずっと桜の前に居続けた
「…リコ、俺、…リコが…、リコが笑った顔が好きだ。ずっと笑顔で居てくれ」
「…そ、その、約束、ま、守れる、かなぁ…」グスッ
ネオは泣き出した莉子の唇に人差し指をちょん、と当て、
「守れるさ、笑顔で送ってくれるだろう?」
莉子はコクリと頷いた
…………
ネオが元の世界に戻る日になった
同じ住まいの住人達は2人に気を使い、前日にお別れの挨拶を済ませ、普段通りに出掛けて行った
ネオは泣き出しそうな莉子の両手を握り、優しく微笑んでいた
その時が来て段々と身体に靄が掛かったようになり始めた時、ネオは最後の言葉を告げた
「…リコ、先に向こうで待ってる。必ず探すからな。ここで半年頑張れ、ずっとリコを想ってる…リコ、ありが………
「ネオ!ネオ!やだ、やだよ、ネオ!……」
……莉子の声はもうネオには届かなかった
莉子は何日もネオの椅子で過ごした
対で作ると言っていた椅子は未完成のまま莉子の部屋に置かれていた
ネオを描いた絵を見て泣きながら眠った日もあった
ずっと何日もネオの絵を見ていた莉子は、ネオに絵を描き続けるよう言われたこと、笑顔で居ることを約束しただろう?と語られているように感じ、やっと部屋を出ることができた
そこから半年間、ネオと訪れた場所、新たに1人で訪れた場所の人々や街並みをスケッチブック何冊も描いた
時には描いた人にプレゼントもした
この世界に来てからもう間も無く三年…
私もこの世界から旅立つ時だ
元の世界ではやることがたくさん待ってる!
ネオに会った時恥ずかしくない自分で居たい!
莉子はその日までずっと笑顔で居続けた
……………
ピピ、ピピピピ、ピピピピピピ
ー莉子~!起きなさ~い!学校遅刻するわよ~!
「はーい!もう、起きた~!お弁当出来てるー?」
「莉子、寝癖!ほら、ちゃんと直して!」
「お母さん、時間無い!行ってきまーす!」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

拝啓、大切なあなたへ
茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。
差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。
そこには、衝撃的な事実が書かれていて───
手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。
これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。
※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
あなたの側にいられたら、それだけで
椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。
私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。
傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。
彼は一体誰?
そして私は……?
アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。
_____________________________
私らしい作品になっているかと思います。
ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。
※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります
※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)
ドクターダーリン【完結】
桃華れい
恋愛
女子高生×イケメン外科医。
高校生の伊吹彩は、自分を治療してくれた外科医の神河涼先生と付き合っている。
患者と医者の関係でしかも彩が高校生であるため、周囲には絶対に秘密だ。
イケメンで医者で完璧な涼は、当然モテている。
看護師からは手作り弁当を渡され、
巨乳の患者からはセクシーに誘惑され、
同僚の美人女医とは何やら親密な雰囲気が漂う。
そんな涼に本当に好かれているのか不安に思う彩に、ある晩、彼が言う。
「彩、 」
初作品です。
よろしくお願いします。
ムーンライトノベルズ、エブリスタでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる