13 / 23
13.
しおりを挟む
街の中に慣れてきた莉子は1人で変わった建物やそこで働く人などをスケッチし始めた
鳥かごのような物がぶら下がった木々のところでスケッチをしている時だった
バサッバサッと頭上から羽ばたきの音がしてふと見ると鳥のような羽を付けた男性が降りてくるところだった
その羽の美しさに見惚れていた莉子は無意識にその男性をスケッチし始めた
ふと見ると男性の羽の付け根に大きな傷が見受けられた
「初めまして、お嬢さん」
「は、初めまして…すみません、勝手に描いて…」
「いや、問題ないよ。私を描いてくれていたんだろう?是非見せてくれないか?」
「はい…」
描き始めたばかりのラフ画だったが、望まれるままに見せた
「…ありがとう。その絵に色を付けてまた見せてくれないだろうか?仕上がったところを是非見てみたいんだ」
「…お時間を頂いても?」
「ああ、もちろんだとも。私はいつもこの辺りを飛んでいるから、いつ来てくれてもいい」
「分かりました…、あ、あの、私、莉子と言います。あなたは?」
「ああ、すまない、私はジーンだ」
「では、ジーンさん、仕上がったらまた持ってここに来ます」
「楽しみにしているよ」
そう告げるとジーンはまた羽を広げ、飛び立って行った
その優雅さにジーンの姿が小さくなるまで莉子はずっと見続けた
住まいに戻り何故か急がなくてはいけない気がして、必死に絵を仕上げに掛かった
「リコ、食事はちゃんと取らないとダメよ」
「はい、すみません、キーニさん。あと少しで仕上がるので…」
「…ここに置いておくからちゃんと食べてね」
三日ほど掛けて納得のいく仕上がりになり、莉子はジーンの元に訪れた
出会った時と同じように空からバサッバサッと羽ばたきの音共にジーンは現れた
「リコちゃん、仕上がったんだね。私の我儘ですまなかったね」
「いえ、自分では納得のいく仕上がりになったんですが…どうですか?」
恐る恐るジーンに絵を差し出したが、ジーンはそれを見て悲しそうな嬉しそうな表情でそれを見つめていた
「あの、…、何か気に入らなかったですか?」
「いや、凄く嬉しいよ。ありがとう。この絵を頂いても?」
「も、もちろんです!気に入って頂けたのなら、嬉しいです」
「…そうだ、お礼にリコちゃんに空を見せてあげるよ」
「え?」
言うが早いか、フワリと莉子を抱きしめ空へジーンは飛んだ
初めは怖くて目を開けられ無かったが段々と慣れてそっと見てみると、そこにはヒィヤルフの街が一望出来た
幻想的な空からのヒィヤルフは街全体が光っているように見えた
「ありがとうございました。素敵な景色が見られて楽しかったです」
「いえ、こちらこそ、こんなことでしかお礼が出来ずすまないね。また空を飛びたくなったらここへおいで。私はあと半年はここに居るからね」
素敵な景色の印象は莉子の心に深く残った
鳥かごのような物がぶら下がった木々のところでスケッチをしている時だった
バサッバサッと頭上から羽ばたきの音がしてふと見ると鳥のような羽を付けた男性が降りてくるところだった
その羽の美しさに見惚れていた莉子は無意識にその男性をスケッチし始めた
ふと見ると男性の羽の付け根に大きな傷が見受けられた
「初めまして、お嬢さん」
「は、初めまして…すみません、勝手に描いて…」
「いや、問題ないよ。私を描いてくれていたんだろう?是非見せてくれないか?」
「はい…」
描き始めたばかりのラフ画だったが、望まれるままに見せた
「…ありがとう。その絵に色を付けてまた見せてくれないだろうか?仕上がったところを是非見てみたいんだ」
「…お時間を頂いても?」
「ああ、もちろんだとも。私はいつもこの辺りを飛んでいるから、いつ来てくれてもいい」
「分かりました…、あ、あの、私、莉子と言います。あなたは?」
「ああ、すまない、私はジーンだ」
「では、ジーンさん、仕上がったらまた持ってここに来ます」
「楽しみにしているよ」
そう告げるとジーンはまた羽を広げ、飛び立って行った
その優雅さにジーンの姿が小さくなるまで莉子はずっと見続けた
住まいに戻り何故か急がなくてはいけない気がして、必死に絵を仕上げに掛かった
「リコ、食事はちゃんと取らないとダメよ」
「はい、すみません、キーニさん。あと少しで仕上がるので…」
「…ここに置いておくからちゃんと食べてね」
三日ほど掛けて納得のいく仕上がりになり、莉子はジーンの元に訪れた
出会った時と同じように空からバサッバサッと羽ばたきの音共にジーンは現れた
「リコちゃん、仕上がったんだね。私の我儘ですまなかったね」
「いえ、自分では納得のいく仕上がりになったんですが…どうですか?」
恐る恐るジーンに絵を差し出したが、ジーンはそれを見て悲しそうな嬉しそうな表情でそれを見つめていた
「あの、…、何か気に入らなかったですか?」
「いや、凄く嬉しいよ。ありがとう。この絵を頂いても?」
「も、もちろんです!気に入って頂けたのなら、嬉しいです」
「…そうだ、お礼にリコちゃんに空を見せてあげるよ」
「え?」
言うが早いか、フワリと莉子を抱きしめ空へジーンは飛んだ
初めは怖くて目を開けられ無かったが段々と慣れてそっと見てみると、そこにはヒィヤルフの街が一望出来た
幻想的な空からのヒィヤルフは街全体が光っているように見えた
「ありがとうございました。素敵な景色が見られて楽しかったです」
「いえ、こちらこそ、こんなことでしかお礼が出来ずすまないね。また空を飛びたくなったらここへおいで。私はあと半年はここに居るからね」
素敵な景色の印象は莉子の心に深く残った
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~
独立国家の作り方
SF
ドグミス国連軍陣地に立て籠もり、全滅の危機にある島民と共に戦おうと、再上陸を果たした陸上自衛隊警備中隊は、条約軍との激戦を戦い抜き、遂には玉砕してしまいます。
今より少し先の未来、第3次世界大戦が終戦しても、世界は統一政府を樹立出来ていません。
南太平洋の小国をめぐり、新世界秩序は、新国連軍とS条約同盟軍との拮抗状態により、4度目の世界大戦を待逃れています。
そんな最中、ドグミス島で警備中隊を率いて戦った、旧陸上自衛隊1等陸尉 三枝啓一の弟、三枝龍二は、兄の志を継ぐべく「国防大学校」と名称が変更されたばかりの旧防衛大学校へと進みます。
しかし、その弟で三枝家三男、陸軍工科学校1学年の三枝昭三は、駆け落ち騒動の中で、共に協力してくれた同期生たちと、駐屯地の一部を占拠し、反乱を起こして徹底抗戦を宣言してしまいます。
龍二達防大学生たちは、そんな状況を打破すべく、駆け落ちの相手の父親、東京第1師団長 上条中将との交渉に挑みますが、関係者全員の軍籍剥奪を賭けた、訓練による決戦を申し出られるのです。
力を持たない学生や生徒達が、大人に対し、一歩に引くことなく戦いを挑んで行きますが、彼らの選択は、正しかったと世論が認めるでしょうか?
是非、ご一読ください。
ヒルクライム・ラバーズ ~初心者トシヤとクライマーの少女~
すて
恋愛
ロードバイクを手に入れた少年とロードバイク乗りの少女の青春学園ストーリーです。
手に汗握るハイスピードバトルが繰り広げられたりはしません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
鬼の閻火とおんぼろ喫茶
碧野葉菜
キャラ文芸
ほっこりじんわり大賞にて奨励賞を受賞しました!ありがとうございます♪
高校を卒業してすぐ、急逝した祖母の喫茶店を継いだ萌香(もか)。
気合いだけは十分だったが現実はそう甘くない。
奮闘すれど客足は遠のくばかりで毎日が空回り。
そんなある日突然現れた閻魔大王の閻火(えんび)に結婚を迫られる。
嘘をつけない鬼のさだめを利用し、萌香はある提案を持ちかける。
「おいしいと言わせることができたらこの話はなかったことに」
激辛採点の閻火に揉まれ、幼なじみの藍之介(あいのすけ)に癒され、周囲を巻き込みつつおばあちゃんが言い残した「大切なこと」を探す。
果たして萌香は約束の期限までに閻火に「おいしい」と言わせ喫茶店を守ることができるのだろうか?
ヒューマンドラマ要素強めのほっこりファンタジー風味なラブコメグルメ奮闘記。
moon child
那月
ファンタジー
お月様は世界を救うために子供を産み、人間に託しました。
何の前触れもなく出現した巨大な卵。
中からは人間の形をした少年少女。
人間ではない。けれど限りなく人間に近い、月の子供。
特殊能力を持つ彼らは歳をとらない。
調べても調べても、彼らのことは何もわからない。
ただわかるのは、彼らがこの先に起こる世界の危機を救うために生まれてきたということ。
世界を救うヒーロー、ヒロインは多い方がいい。
お月様は、そう考えたのだろうか……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる