復讐という名の蝶は蜘蛛に囚われる

第3章

11.それぞれの道

ハンナとサリーは上手くいっていた
だがその均衡を崩したのはダンだった

サリーの身体では物足りなさを感じ始めてきたダンは、あろう事かキャシーに目を付けた
年頃になり以前ラミアに使った時の薬を使いキャシーを堕とした

「とうさま、とうさまぁ…」

「気持ちいいかい？ふふ、ほら、カインのこともちゃんと気持ち良くしてやって」

「はぁい」

ダンに跨り、カインの怒張を口に咥えた

親子でキャシーを共有し始めたことをサリーは気が付き、辞めてくれと泣き叫んだ
聞き入れて貰える筈もない

ハンナも禁忌の子とはいえ自分の子を大切に育ててきた
その大切なキャシーを奪われ自分にされていた事も相まって屋敷を出て行くことにした
キャシーを取り戻すことは出来なかったが愛人である絵師とサンディで新たな生活を始めることにした

だが、ハンナも幸せにはなれなかった
絵師は何を描いても満たされ無い日々に悩まされていた
屋敷を出る際出てきた以前描いた絵
ハンナのこちらを見つめる目
その目の魅了が自分を満たしてくれると工房に数人の男を雇いハンナを凌辱させた
絵師は満たされ何枚ものハンナの絵を描き続けた
自分の欲を満たすために



屋敷で一人になってしまったサリー
ロンシェルの名前を捨てた以上帰る場所も無い
夫婦の寝室で息子と共にキャシーに嬌声をあげさせているのを隣の自室で耳を塞ぎ耐え続けた

ステラに戻りたいと思った
何も知らなかった頃の
ステラとして本来居るべきところにふらふらとサリーは向かった






ロットは帰国後騎士見習いになった
奇しくもレイの白騎士3番隊所属だ
隊長となったレイの元に、瓜二つのロットの入隊
同じく副隊長となったジャスティンの格好の餌食となった

「おいおーい、レイ、お前ちっとも結婚しないと思ったら何、何、隠し子なんていつの間に？」

「いや…隠し子は居ない」

「まんま、レイじゃん。………ってあいつの年齢的に……、まさか…」

「いいんだ、ジャス。彼女に聞くことはもう出来ない。だが、もし…いや、いい。彼を立派な騎士に育てるだけだ」

「今日もまた、サンスへ行くのか？」

「………ああ」

変わらずレイはサンス墓地へ通う…





誰の復讐が叶い
誰が復讐されたのか

張り巡らされた蜘蛛の巣に蝶は囚われる



欲まみれの人々は変わる事無く
今日も己の欲を追い求める…






　　　　　　　　　ー完ー




最後の方はバタバタと締めた感じになりましたが、いかがだったでしょうか

お楽しみ頂けましたら幸いです

また何かの作品で

　　　　　　　　　　　　　　　　　まめ