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第2章

5.回顧

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「ラミアお嬢様、奥様に頼まれた物を受け取りに行って参りますが、くれぐれも店から出ないで下さいませ。いいですね。お決まりになられても私が会計を任されておりますから、お嬢様はお品を選ぶだけですよ。絶対に、絶対ですよ。勝手に店を出ないで下さいませね。」

「ああ、もう、くどーい!分かったから、早く用事を済ませてきて!どれにするか早々に決まってしまっても店の中でウロウロしなきゃならない私の気持ちにもなってよ!ほら、ナンシー早く行ってきて!」

なかなか社交の場に現れないラミアのために、気心の知れた友人達が茶会を開いてくれることになった
その茶会に差し入れるスイーツを選びに来ていた

普段から少しお転婆なラミアは侍女ナンシーの信用が無い
目を離した隙に何かしでかすのではないかと思われての言葉だった

「もう、本当に、どれだけ信用が無いのよっ!」

ぷりぷりと怒りながらその店に入った

ラミアの予測通り手土産用のスイーツは直ぐに決まってしまった
はぁ、とため息まじりに窓の外を見ると巡回中のレイの姿があった

あれだけ侍女に煩わしいほど忠告されたにも関わらず、衝動的に店を出ていた

「レイさん!」

振り向いたレイはラミアの顔を見て一瞬哀し気な表情になったように見えた

「ロンシェル嬢…、先日痛めた足はもう治りましたか?」

「…ええ。ノアール様、先日はご迷惑をお掛けしました…」

「…いや」

「……」

「今日はお一人ですか?」

「あっ!…じ、侍女とスイーツ店に…」

約束を破って店の外に出てしまった事に気が付き、気不味い表情になり、もじもじとし始めた

「侍女の方は店内に?」

「い、いえ、あの…、頼まれた別の使いに外しています」

「令嬢お一人で出歩くのは危険です。侍女の方が戻られるまでご一緒しましょう」

少し離れた所に居た騎士達2人が何事かと近寄って来た

「こちらの令嬢の侍女が戻られるまでご一緒することになった。戻られたら直ぐに向かうので先に行っておいてくれ」

レイより少し若い騎士達は頷くと先に進んで行った

「侍女の方とはどちらの店で待ち合わせを?」

「あの角のカフェが併設されてるスイーツ店です」

「ああ、あそこの…。…あの店の木苺のスイーツはもう食べられましたか?」

「いえ、まだ」

「貴女のお姉様は好んで食べてました…」

「姉は木苺が大好きでした!一緒に飲むのはローズティーと決まってて…」

「ああ、そうですね。その組み合わせがお気に入りだとよく仰ってました」

姉ステラを回顧していた時、ふわりと風が吹いた

「ロンシェル嬢、触れても?」

「は、はい…」

ラミアの髪に付いた枯葉をスッと取り除いてくれた
ラミアは自分の顔が赤くなったのに気が付き、恥ずかしさで下を向いた

「ラミアお嬢様!あれだけ申し上げたのに!」

侍女ナンシーが慌てて駆け寄って来るのが見えた

「侍女の方が戻られたようですね。では、私はこれで」

レイはそう言い踵を返し行ってしまった
その姿を、ナンシーが何か横で叫ぶように言っているのも耳に入らず、見えなくなるでずっと目て追っていたのだった


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