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第2章

4.積悪

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「ラミア!何処に行っていたんだい?姿が見えなかったので心配したよ」

バークスはテラスから会場に戻ったラミアの元へ慌てて駆け寄った

「疲れてしまって…ダンスのお誘いをお断りするのも面倒になったからテラスに逃げてたの…」

「ふふ、ラミアはモテるんだね」

やっといつものバークスの笑顔が見られた

「何か飲むかい?」

「いえ、いいわ。…兄様、さっき足を挫いてしまったの。ダンスも出来ないし、もう帰ったら駄目かしら?」

「ファーストダンスも済んでるから問題無いが、早々に良いのかい?楽しみにしてただろう?」

「そういえば、昔憧れて兄様に我儘を言ったわね。ふふ、現実を知ったら余り楽しいものでも無かったわ」

「では、兄さんと義姉さんに知らせて帰るとするか」

早々にパーティーを後にしたのだった






「ラミア、貴女、明日の夜会本当に参加しないの?伯父様、残念がるわよ」

「ええ、社交界に興味無いもの…。伯父様にお会い出来ないのは残念だけれど、お詫びのお手紙を出しておくわ」

「そんな事言ってると、あっと言う間に婚期を逃すから…。まぁ、いいわ」

「母様、姉様に早く婚約のお話持って来て下さい。ずっと姉様のお世話するのは嫌です」

「ロット!!!」

憎まれ口を叩かれ、ラミアはロットを追いかけた

「はぁ…。お相手探しは難航しそうね…」

淑女とは程遠いラミアにヘイリンは溜息をついた

「あら?お母様、いざとなったらバークス兄様に貰ってもらうからいいわよ。花の独身なんて本人は言ってるけど、結婚してくれる人が居ないだけだから!」

クルクルと逃げ回るロットを追いかけながらラミアは言った







同じ日、久しぶりに父デュークは帰宅した

「ねぇ、貴方、先日のラミアのデビューの日、あの場に居なかったけど、バークス、ラミアを見て何て言ったと思われます?ふふ、似てきましたものねぇ。血に惹かれるのかしら?血と言えば、あの淫猥な女の娘達も同じように淫乱だものね。血って怖いわ。ふふっ」

「…………。」

「安心して、貴方にはロットという跡取りが出来たじゃない。いつものように私に全てお任せになれば上手くいくのよ。ふふふ」

「…ああ。…これからも君に従うよ……」

笑顔のヘイリンとは対照的ににデュークの心に影を落とした…





その晩デュークは夢を見た…



にこやかに笑うヘイリンに見られながら、泣き叫び続けるまだ幼さの残る娘の身体を、無表情で暴いているまだ若さの残るデューク


そして

あの淫猥な女の娘に跡は継がせないわ
後継の為に男児が必要なの
分かって貴方
これも貴方の為なのよ
大丈夫
彼は隣国へ留学中だから何が起こったか知ることは出来ないわ

優しくされど冷酷さの滲む聴き慣れた女の声


泣き叫ぶ娘は段々とラミアの顔になった…




ハッと汗だくになりながら目が覚めたデュークは、頭を抱え項垂れた…




デュークはまた家を空ける日々が続いた





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