羽をもがれた蝶

後編

行く所も無く足を引き摺りながら歩いていた時、あの若い男が迎えに来た
騎士の服を着て、父親だろうかそっくりな顔をした男と共に
帰りは馬車で帰った若い男は私に一度も触れてきた事が無かったがこの時初めて馬車の中で私を抱きしめてきた
そして何故か泣いている

ああ、そうか私はさっき泣いていたんだ
壊れた私にはそれすら分からなかった


その日から少しずつ若い男と話をするようになった
男は変わらず、他の男のように私を抱いたりしない



何年か経ったのだろうか何ヶ月なのかもしれない
相変わらず日にちの感覚は無い
若い男とアクセサリーを見に来ていた
若い男は私の為に選んでくれたアクセサリーを首から下げてくれた

私はその日の夜若い男の部屋に入り、そのアクセサリーだけを身につけお礼の対価を払いに行った
疲れているのだろう
前日まで何週間もほとんど寝ずの遠征訓練が有ったと話ていた
若い男の手首をリボンで縛り、寝着の上から身体を刺激した
男は深い眠りの為目を覚ます気配が無い
だが、身体は刺激に正直でむくむくと男根は反り立った
私は部屋で軽く自慰をし準備をしてきたので、潤っているそこに宛てがい、自ら腰を落とした
若い男の怒張はそれまでの男達とは比べ物にならないほど太く長い
内襞は挿入れただけで刺激された
若い男はハッとして目を覚まし言った
「な、何を！辞めるんだ！こんな事をしてはいけない！」
手首を縛られながらも抵抗しようとする男の身体の上で、変わらず腰を振り続けた
時に男の桃色の頂きをチロチロと舐めたり、時に胸全体をなぞるように撫でた
若い男はずっと抵抗していたが射精感が近づいたのだろう手首を縛られたまま、下から腰だけを突き上げてきた
若い男の怒張を受け入れたまま、上半身を起こしてやった
縛られた手首を背中に回し巻き込むようにして下から激しく突き上げた
若い男の奥を突く怒張に私は堪らず気をやってしまい、嬌声を上げた
その時何故かふと口を突いて出た
「ロット、イクっ、イクゥッッ！！」
その若い男は誰かの名前を呼びながら、私をぐっと抱きしめ胎に放った
若い男は達する事が出来たことが嬉しいのか泣きながら何度も誰かの名前を呼び、私を抱きしめた
「やっと、やっと思い出してきたんだね」

その夜をきっかけに二人でよく出かけるようになった
度々出先で見覚えのある男達の顔を見かけたような気がしたが、若い男がいつも寄り添って居るので近付いてくることもなかった

やがて若い男は嬉しそうに私に結婚しようと言ってきた
結婚がどうして嬉しいかよく分からなかったが、外へ連れ出してくれたこの若い男が喜ぶなら、良いと頷いた
そして幸せそうに私を抱く




だが夫となったこの若い男は知らない
妻となった今でも、街に行き、あの屋敷に来ていた何人かの男達と交わっていることを
若い男の怒張は確かに身体を満たしてくれる
だが性奴隷となっていたこの身体は刺激を求め続け、またあの男達の元へ通わせている
口で咥えながら挿入するこの刺激は堕ちた私を満たす
今も4人のだらしのない身体をした男達4人を相手にしている
下から突き上げ胸を揉む者、後ろ頭を掴み咥えさせてる者、左手で掴ませ自分の手を添え扱かせている者、右手を掴み自分の尻穴に突っ込ませ自分で扱いている者
皆、私を白濁塗れにし満足して帰って行く
何も知らない夫は今日も私を抱きながら囁く


キャシー、共に幸せになろう、と…



そして今日もまた別な男達の白濁を受け入れる
私は名前も思い出せないまま、身体の記憶を受け入れる




飛び立つ前に羽をもがれた蝶は
囚われた蜘蛛の巣で今日もその身体を少しずつ喰われていく…





　　　　　　　　ー完ー






　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　
お読み下さりありがとうございました


　　　　　　　　　　　　　　　　　まめ