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しおりを挟む「スズハラ……」
私は一瞬何の会社か思い出せなくて会社名をリピートした。
「モニターでお世話になっております」
「ああ、どうも……」
「栗原様のお電話でよろしいでしょうか、今お時間大丈夫ですか?」
「はい」
私は自分の上半身に視線を落とした。丸出しの胸には吸盤が張り付いていて、下半身はすっぽんぽんだ。時間は、大丈夫だけどね。
胸の膨らみに吸い付いた吸盤をきゅぽん、と外しながら話を聞く。
「どういったご用件でしょうか……」
「はい。栗原様のモニターのご意見を参考に新発売の商品の開発を行いましたところ、発売から1か月で弊社の商品が通販サイトのユーザーズチョイス1位に選ばれまして……」
私は床に落ちたパンツを足で拾うと、ベッドに横になってスマホを首と肩の間にはさみながらパンツに足を通した。
「はい」
「感謝のお気持として、今度開催いたします、弊社の『1位おめでとう祝賀会』にお招きしたいと思いましてご連絡したのですが、いかがでしょうか。開催日は7月7日、ホテルエックスで19時からになります」
……ちょ……っ、え、何て言った?
祝賀会? バイブのメーカーで祝賀会とかやるの?
私は足元を見た。さっきまで使っていたバイブが床に落ちている。
これを実際に作った人たちに会うの?
……恥ずかしすぎる……。
でも、ホテルエックスって、うちの職場のわりと近くにある、すごく綺麗なホテルだ。
1回行ってみたいなと思ってた。
それに招待ってことは食事代もかからないんだよね……?
「――栗原様?」
電話先で男の人が「どうかされましたか?」と声をかけてきて、私ははっとした。
「――はい、あの、空いてますが……」
「そうしましたら、招待状を送らせて頂きます」
丁寧にそう言って、彼は電話を切った。
数日後、しっかりとした封筒に入った招待状がポストに届いてしまった。
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