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図星だった。香澄とは大学生の頃から付き合っているが、当時から何度か別の女性と関係を持ったことがあった。
「結婚したのは少し早かったかな、と思ってる。そう、それでも決めたのは彼女に押し切られたから? 例えば……『子どもができた』とか?」
裕也は身体を強張らせた。それは事実だった。
結婚を急いだのは、『できちゃったの』と香澄が、2本の赤い線が入った――陽性の妊娠検査薬を見せてきたからだ。避妊には気をつけていた。まだ結婚する段階でも、子どもをつくる段階でもないと思っていたから。それでも、避妊が失敗する確率だってある。だから――、結婚を決心したのだ。さすがに、ずっと付き合ってきた香澄に自分の子どもができたというのであれば、責任をとる覚悟はあった。
だけどそれは、
「嘘だったのね?」
くすり、と結花子は笑う。
「何で、わかるんですか……?」
そう、香澄は陽性の検査薬をフリマサイトで購入していたのだ。
そのことに気づいたのは、婚姻届を出し、式場の見学を予約したころだった。
ドレスをマタニティにするべきか彼女に確認したら、「駄目になってしまった」と言った。
正直、思っていた以上に裕也は落胆した。子どもなんて、と思っていたが、気がつけば街を歩いている親子に目を向けるようになっていたし、自分でも気づかないうちに楽しみにしていたことに気がついた。
だから、香澄は自分以上にきっと落ち込んでいるだろうと思った。
だけど、『ドレス、いろいろ選べるね』と全く気にする素振りがなかった。
だんだん怪しく思って、彼女のスマホを調べたのだ。そうしたら、陽性の検査薬の購入履歴を見つけてしまった。
『何でそんな嘘ついたんだよ!』
彼女に大きな声を上げたのは初めてだった。
『だって、ゆうくんが悪いんだよ! 浮気ばっかりするからっ』
香澄は泣きながらそう言って、それから目を真っ赤にしたまま笑った。
『でも、ゆうくんがちゃんと私のこと好きだってわかって良かったよ。結婚してくれたもんね。次は、ちゃんと本当に赤ちゃん作ろうね』
裕也は何も言えずに立ちすくんだ。
浮気はバレないようにしてきたつもりだったので、香澄が知っていたことが驚きだった。
そして、香澄とは大学2年の時から5年以上付き合ってきたのに、彼女のことを自分は何も理解していなかったと思った。
「どんなに好きでも、嘘をついてまで縛るのはお互いにとってよくないわね」
結花子は呟くと身を屈めた。
そのまま、裕也のズボンのチャックを下げると、前開きのボクサーパンツの間から裕也の硬くなったものを引き出して、口に含んだ。
「っ、奥……さっ、ん、……っ」
下を見ると自分のものが結花子の口の奥の方へ飲み込まれているのが見えた。自分は社長の家での食事会に呼ばれたはずが、どうしてこうなっているのか、まったく事態が掴めないまま、裕也の脳内には快感物質だけが頭の中に満ちる。
温かい結花子の口中でにゅるにゅると舌が肉茎に絡み、否応なしに血が昇ってぴんと張りつめて行く。
「結婚したのは少し早かったかな、と思ってる。そう、それでも決めたのは彼女に押し切られたから? 例えば……『子どもができた』とか?」
裕也は身体を強張らせた。それは事実だった。
結婚を急いだのは、『できちゃったの』と香澄が、2本の赤い線が入った――陽性の妊娠検査薬を見せてきたからだ。避妊には気をつけていた。まだ結婚する段階でも、子どもをつくる段階でもないと思っていたから。それでも、避妊が失敗する確率だってある。だから――、結婚を決心したのだ。さすがに、ずっと付き合ってきた香澄に自分の子どもができたというのであれば、責任をとる覚悟はあった。
だけどそれは、
「嘘だったのね?」
くすり、と結花子は笑う。
「何で、わかるんですか……?」
そう、香澄は陽性の検査薬をフリマサイトで購入していたのだ。
そのことに気づいたのは、婚姻届を出し、式場の見学を予約したころだった。
ドレスをマタニティにするべきか彼女に確認したら、「駄目になってしまった」と言った。
正直、思っていた以上に裕也は落胆した。子どもなんて、と思っていたが、気がつけば街を歩いている親子に目を向けるようになっていたし、自分でも気づかないうちに楽しみにしていたことに気がついた。
だから、香澄は自分以上にきっと落ち込んでいるだろうと思った。
だけど、『ドレス、いろいろ選べるね』と全く気にする素振りがなかった。
だんだん怪しく思って、彼女のスマホを調べたのだ。そうしたら、陽性の検査薬の購入履歴を見つけてしまった。
『何でそんな嘘ついたんだよ!』
彼女に大きな声を上げたのは初めてだった。
『だって、ゆうくんが悪いんだよ! 浮気ばっかりするからっ』
香澄は泣きながらそう言って、それから目を真っ赤にしたまま笑った。
『でも、ゆうくんがちゃんと私のこと好きだってわかって良かったよ。結婚してくれたもんね。次は、ちゃんと本当に赤ちゃん作ろうね』
裕也は何も言えずに立ちすくんだ。
浮気はバレないようにしてきたつもりだったので、香澄が知っていたことが驚きだった。
そして、香澄とは大学2年の時から5年以上付き合ってきたのに、彼女のことを自分は何も理解していなかったと思った。
「どんなに好きでも、嘘をついてまで縛るのはお互いにとってよくないわね」
結花子は呟くと身を屈めた。
そのまま、裕也のズボンのチャックを下げると、前開きのボクサーパンツの間から裕也の硬くなったものを引き出して、口に含んだ。
「っ、奥……さっ、ん、……っ」
下を見ると自分のものが結花子の口の奥の方へ飲み込まれているのが見えた。自分は社長の家での食事会に呼ばれたはずが、どうしてこうなっているのか、まったく事態が掴めないまま、裕也の脳内には快感物質だけが頭の中に満ちる。
温かい結花子の口中でにゅるにゅると舌が肉茎に絡み、否応なしに血が昇ってぴんと張りつめて行く。
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