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第二章
ジョングクside
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「…くそっ」
デッサン途中だった絵に悪態をつく。
キャンバスを替えてまた、書き直していく。
「はぁ。」
昨日からどうも調子が狂う。
それもこれも、あいつが来たから。
ジョングクは大学のゼミ室でデッサンをしていた。大学4年で講義はあまりないが、先生の補助や課題をするためにゼミ室に来ることが多かった。
だいたい男だらけの中で、
何もないと思ってるところが
無防備というかバカというか。
『-ーーこの男子しかいない家に一人だけ。ありえないと思うけど。』
あのとき、ああ言ったのは別にあいつを拒否したいから出た言葉じゃない。
むしろあいつのことが心配で言った言葉だった。
兄さんたちだって、もちろん全員良い人だし優しくて頼もしい。
だけど、兄さんたちも男だ。
女の子に対して特別な感情を持つことだってある。
それに、、昨日みたいな事故が起きることだってある!!
ジョングク「っ//////」
持っていたペンシルに力が入る。
あれは事故だ。それにあいつの下着姿をまじまじと見たわけじゃない!!
一瞬。チラッと見えただけで!
昨日のシーンが脳裏に甦る。
ーー背中あたりまであるカールした綺麗な髪
淡いブルーのキャミソールから伸びた白く細い脚と腕。
少し背伸びをして鏡を見るあいつの唇はほんのり紅かった。
鏡越しにバチっと目が合ったときの、大きな目をさらに見開いたあいつの表情ーーー
チラッと見たという割に鮮明に憶えているものだ…。
あんな姿を他の兄さんたちに見られたら…
「…くそっ」
ポキッとペンシルの先が折れる。
トモキ「先輩!さっきからどうしたんすか?なんか集中できてないみたいですけど。」
大学の後輩のトモキが声をかけてくる。
同じ先生の元で、絵画の勉強している。
おれは、今年卒業制作をしないといけないからその準備にトモキにも手伝ってもらっていた。
ジョングク「ごめん…。手伝ってもらっているのに集中できていなくて。」
トモキ「僕は全然いいっすよ。自分の課題やってますから。なんかあったんすか?」
ジョングク「いや。ちょっとね。」
トモキ(いつもクールな先輩が珍しい。)
「春だからって、恋でもしちゃったんすか~www」
ガンッ。バシャーー。
ジョングクの足元にあった、絵具用のバケツが倒れて水が溢れていた。
トモキ「な、なにやってんすか!!はやく拭かないと!!」
チラッとジョングク先輩の顔を見ると、
顔が真っ赤になっていた。
トモキ(こりゃ、ほんとに恋しちゃったかな)
声に出すほどトモキもバカではないが、
心の中でそう呟きながら床を拭いていた。
ジョングク「すまん。トモキ」
あいつに恋?そんなわけないだろう。
だいたい会って1日しか経ってない。
確かに可愛らしい子だという印象はあるけど
あいつのこともよく知らないし、
一緒に住む奴に恋するなんてあり得ない。
おれとアイツは…
友達だ。
友達になればそんな疑いはなくなる。
おれとアイツはただのルームメイト。友達。
そうなれるように意識するんだ。
ジョングクもまた、そんなことを考えながら床を拭いていたのだった。
デッサン途中だった絵に悪態をつく。
キャンバスを替えてまた、書き直していく。
「はぁ。」
昨日からどうも調子が狂う。
それもこれも、あいつが来たから。
ジョングクは大学のゼミ室でデッサンをしていた。大学4年で講義はあまりないが、先生の補助や課題をするためにゼミ室に来ることが多かった。
だいたい男だらけの中で、
何もないと思ってるところが
無防備というかバカというか。
『-ーーこの男子しかいない家に一人だけ。ありえないと思うけど。』
あのとき、ああ言ったのは別にあいつを拒否したいから出た言葉じゃない。
むしろあいつのことが心配で言った言葉だった。
兄さんたちだって、もちろん全員良い人だし優しくて頼もしい。
だけど、兄さんたちも男だ。
女の子に対して特別な感情を持つことだってある。
それに、、昨日みたいな事故が起きることだってある!!
ジョングク「っ//////」
持っていたペンシルに力が入る。
あれは事故だ。それにあいつの下着姿をまじまじと見たわけじゃない!!
一瞬。チラッと見えただけで!
昨日のシーンが脳裏に甦る。
ーー背中あたりまであるカールした綺麗な髪
淡いブルーのキャミソールから伸びた白く細い脚と腕。
少し背伸びをして鏡を見るあいつの唇はほんのり紅かった。
鏡越しにバチっと目が合ったときの、大きな目をさらに見開いたあいつの表情ーーー
チラッと見たという割に鮮明に憶えているものだ…。
あんな姿を他の兄さんたちに見られたら…
「…くそっ」
ポキッとペンシルの先が折れる。
トモキ「先輩!さっきからどうしたんすか?なんか集中できてないみたいですけど。」
大学の後輩のトモキが声をかけてくる。
同じ先生の元で、絵画の勉強している。
おれは、今年卒業制作をしないといけないからその準備にトモキにも手伝ってもらっていた。
ジョングク「ごめん…。手伝ってもらっているのに集中できていなくて。」
トモキ「僕は全然いいっすよ。自分の課題やってますから。なんかあったんすか?」
ジョングク「いや。ちょっとね。」
トモキ(いつもクールな先輩が珍しい。)
「春だからって、恋でもしちゃったんすか~www」
ガンッ。バシャーー。
ジョングクの足元にあった、絵具用のバケツが倒れて水が溢れていた。
トモキ「な、なにやってんすか!!はやく拭かないと!!」
チラッとジョングク先輩の顔を見ると、
顔が真っ赤になっていた。
トモキ(こりゃ、ほんとに恋しちゃったかな)
声に出すほどトモキもバカではないが、
心の中でそう呟きながら床を拭いていた。
ジョングク「すまん。トモキ」
あいつに恋?そんなわけないだろう。
だいたい会って1日しか経ってない。
確かに可愛らしい子だという印象はあるけど
あいつのこともよく知らないし、
一緒に住む奴に恋するなんてあり得ない。
おれとアイツは…
友達だ。
友達になればそんな疑いはなくなる。
おれとアイツはただのルームメイト。友達。
そうなれるように意識するんだ。
ジョングクもまた、そんなことを考えながら床を拭いていたのだった。
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