さちれいにサチアレ！

勝負編

スローガンその11「爆ぜろライバル、弾けろ怨恨。Vanish this company!」

「そ、そんなことってあるか……」

　なぜ、こんなことになってしまったのか。

　おのれ、伊ヶ崎波奈いがさきはなめぇぇぇっ！


　◆


　私、甲ヶ崎華那こうがさきはなにとって、伊ヶ崎波奈は駆逐すべき敵でしかなかった。

　まず名前が紛らわしい。しかも同い年なせいで周囲から幾度となく間違えられた。自分の嫌いな人間と混同されるなんて屈辱だった。
　さらに文武両道でルックスも抜群。おまけに家は金持ちなのが気に入らない。あとリア充だし。生きているのが自慢みたいな女だ。反吐が出る。
　同じクラスになれば出席番号も一列に並んだ時も、いつもいつも私の前に立ちはだかる。不愉快だった。

　なんでもかんでも自分の方が上だと思って、調子に乗って……！

　恨み続けながら成長した私に、その知らせはやってきた。「あの女が天寿の社長に就任した」と。
　天寿……。面白い。お前が天の道を往くのなら、私は地上を制す。
　そうして独学でここまで大きくしたんだ。天寿のライバル会社「地序ちじょ」を。

　天寿にスパイを送り込み、準備は万端。あの女が不在且つ比較的会社のガードが緩そうな日の情報も手に入ったし、ソースとして利用していたチョロそうな女性社員は今頃スパイが仕掛けたハニートラップによってこっちのモノ。
　あとは……あとは私自らがこの手で、目の前で私を見下している天寿の本社ビルを焼き払うだけ。海外出張から帰ってきたら、あの女腰を抜かすでしょうね。自分の城が灰になっているのだから。

　覚悟しろ。