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「カノジョはギャグキャラだから死なない」の法則。
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「……以上が、事の顛末です」
「な、なんてこった!」
「信じられないわ!」
「本当に申し訳ありませんでした! 今回の娘さんの件を省みて……辞職いたします」
「な、なんてこった!」
「信じられないわ!」
◇
「お姉様! ……間違えました! 先輩、大丈夫っすか?wwwwwww」
「……苅菜。……わざわざ来てくれたのね」
リムジンを飛び出し、病室へ駆け行った私の目に映ったのは、純白の世界でした。
その世界の中心にいるのは、紛れもない、私のお姉様。
「本当に心配したんのですのよ? ……あっ……先輩が城から落ちたってwww」
「……死ぬかと思ったわ。走馬灯を見たもの」
必死でいつもの調子を装っても、どうしても素が出てしまう。そんな私とは違い、お姉様は微笑んでいる。
「……退院は、いつ頃ですの……?wwww」
「私、生と死の境を行き来していたらしいわ。あと二週間は様子見だそうよ」
「……そう……ですか……」
「……こっちの世界に帰ってこられて良かったわ。まだ死にたくないもの」
「…………」
「苅菜が創った会社、早く見てみたいわ。それに、成長を見届けたい子がいるの」
「誰ですの? その子って……」
「今度紹介してあげるわ。……そういえばあの先生は? 一度も見舞いに来てくれてないのだけど」
「横垣先生は……先生を辞めました」
「えっ……」
「相当落ち込んでたそうですわ……」
「……そう」
「…………」
「…………ねえ、苅菜」
「はい」
「病院で目を覚ましてから、私考えてみたのよ。今後どう過ごしていれば死なないかって」
「……横垣先生と距離を置くとか……でしょうか……?」
「そんなことはしないわ。確かに私が死にかけた原因はあの人だけど、それを引きずられたらこっちも気になるもの」
「それでは……」
「ギャグキャラになるのよ」
「……あの、それはどういう……?」
「ほら、ああいうキャラクターって爆発に巻き込まれたり潰されたりしても死なないじゃない」
「それは……死んだら物語が終わってしまいますし」
「そうよ。だから、私は自分の物語を終わらせないために……死なないために、徹底してギャグをするわ。手伝ってくれるわよね?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………わかりましたっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「その意気ね。私も今日からは……エリート女子高生、蝶茶韻理早智として生きていくわ」
それが、お姉様の、人生の再スタートでした。
◇
「……君はさっきから何をしているんだい?」
「ふっふっふ、ふーふーふーふーふー」
「冷ますんじゃない」
「さて碧に問題よ!」
「なんだ急に」
「私は何をしているのでしょう!」
「……猫に餌付け……か?」
「惜しいわね。ヒントよ。私達は今、渡辺係長の不倫の調査中よね?」
「ああ。だからこうやって、ホテル周辺で聞き込みを……」
「正解は」
「もう答え合わせか」
「野良猫から目撃情報を聞き出せないか、交渉……つまり『ネコシエーター』よ!!」
「は?」
「な、なんてこった!」
「信じられないわ!」
「本当に申し訳ありませんでした! 今回の娘さんの件を省みて……辞職いたします」
「な、なんてこった!」
「信じられないわ!」
◇
「お姉様! ……間違えました! 先輩、大丈夫っすか?wwwwwww」
「……苅菜。……わざわざ来てくれたのね」
リムジンを飛び出し、病室へ駆け行った私の目に映ったのは、純白の世界でした。
その世界の中心にいるのは、紛れもない、私のお姉様。
「本当に心配したんのですのよ? ……あっ……先輩が城から落ちたってwww」
「……死ぬかと思ったわ。走馬灯を見たもの」
必死でいつもの調子を装っても、どうしても素が出てしまう。そんな私とは違い、お姉様は微笑んでいる。
「……退院は、いつ頃ですの……?wwww」
「私、生と死の境を行き来していたらしいわ。あと二週間は様子見だそうよ」
「……そう……ですか……」
「……こっちの世界に帰ってこられて良かったわ。まだ死にたくないもの」
「…………」
「苅菜が創った会社、早く見てみたいわ。それに、成長を見届けたい子がいるの」
「誰ですの? その子って……」
「今度紹介してあげるわ。……そういえばあの先生は? 一度も見舞いに来てくれてないのだけど」
「横垣先生は……先生を辞めました」
「えっ……」
「相当落ち込んでたそうですわ……」
「……そう」
「…………」
「…………ねえ、苅菜」
「はい」
「病院で目を覚ましてから、私考えてみたのよ。今後どう過ごしていれば死なないかって」
「……横垣先生と距離を置くとか……でしょうか……?」
「そんなことはしないわ。確かに私が死にかけた原因はあの人だけど、それを引きずられたらこっちも気になるもの」
「それでは……」
「ギャグキャラになるのよ」
「……あの、それはどういう……?」
「ほら、ああいうキャラクターって爆発に巻き込まれたり潰されたりしても死なないじゃない」
「それは……死んだら物語が終わってしまいますし」
「そうよ。だから、私は自分の物語を終わらせないために……死なないために、徹底してギャグをするわ。手伝ってくれるわよね?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………わかりましたっすwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「その意気ね。私も今日からは……エリート女子高生、蝶茶韻理早智として生きていくわ」
それが、お姉様の、人生の再スタートでした。
◇
「……君はさっきから何をしているんだい?」
「ふっふっふ、ふーふーふーふーふー」
「冷ますんじゃない」
「さて碧に問題よ!」
「なんだ急に」
「私は何をしているのでしょう!」
「……猫に餌付け……か?」
「惜しいわね。ヒントよ。私達は今、渡辺係長の不倫の調査中よね?」
「ああ。だからこうやって、ホテル周辺で聞き込みを……」
「正解は」
「もう答え合わせか」
「野良猫から目撃情報を聞き出せないか、交渉……つまり『ネコシエーター』よ!!」
「は?」
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