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プロローグ 聖剣誕生
プロローグ とある少女
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私は生まれつき足がわるい。歩くことも出来ないのである。
生まれつきなので今が不自由なのかと問われても、歩くという感覚を知らない以上
それすらもわからない、ただ周囲の人は親切で不幸に感じることはなかった。
でも出来るなら自分の足で歩いてみたい、走ってみたい、大地を踏みしめてみたい
そう願うこともある。
お医者さまには何度も見てもらっている。でもどのお医者さまも私の足を治癒することは出来なかった。原因不明の不治の病、ということになっている。
現代医学ではそうなのだろう。おそらく原因は私の家系に問題があるんだと思う。
私の家系は魔力を司る家系だ。おばあさまが仰るには私の魔力はきれいに体内を循環していないと。それが原因で足が不自由なのだとか。私の家族でも、もとい日本国内でも有数の魔力を宿すおばあさまの力をもってしても私の足の治癒はかなわないらしい。
魔力障害は概ねその対象の魔力より大きな魔力所持者が治癒魔法を施せば治るとされているが、おばあさまでもかなわない=日本で治せる人はいない、といっても過言ではなく、同時に第一成長期過程である私がすでにおばあさま以上の魔力を秘めていること、そちらのほうが今の日本の魔力供給事情を考えると大事なことらしい。
私も最近ようやく自分が特異であり、特別な存在であることを理解し始めていた。
「じいや、停めて」
車窓から小さな神社が見えた。私はすかさず車を停めてもらった。
じいやも心得ているようで、すぐに車を停め、車椅子の準備を始めてくれる。
じいやは私のお世話係 兼 護衛 兼 その他もろもろ 私の大好きな人である。
私は今、東京に来ている。お父様がお仕事で東京へ行くことになったので無理を言って連れてきてもらった。私は今まで生まれ育った京都から出たことがなかったので、今回のおねだりも無理だろうと思っていたのだけれど、今回の出張は私もまったく無関係ということはないらしく、特別に同行をゆるしてくれたのである。なので今の私は始めての東京にずっとわくわくしっぱなしだ。
そんな私が東京に来てやっていることは神社めぐりだ。神社をめぐりそこでお参りをする。足が治りますように、そうお祈りをする。魔力はもともと神様がその力のほんの一部分を人間に分け与えたもの、とされている。なので神頼みは私の中ではかなりマジメな治療法なのだ。地元、京の神社は概ね参拝したので今はこうして京都の外の神社を巡れること、それ自体がうれしい。
そんな最中、たまたま通りかかった道で偶然見つけた小さな神社、それがここである。
小さな神社
神社の前まで来たのはいいがバリアフリーなんてされているわけもなく中に入れずに困っていると、それに気づいた巫さんが中から出てきてくれた。ずいぶんと若い、というか幼い、もしかすると私とあまり年が離れていないのかな?そう思えるくらいの巫さんである。そのお兄さんはニコリと優しく微笑むと手伝いますよ、といってこちらにやってきてくれた。
車椅子をもちあげようとするお兄さんに私は無言ですっと両の手を広げてみせる。
お兄さんはおどろいたような顔を見せ、車椅子を押すじいやと目線をあわせ、その後また私にクスリとやさしく微笑むと「はい、お姫様」と言葉を添えて私を抱きかかえてくれた。私もお兄さんの腕の中で自然と笑みがこぼれる。
“ シャラン シャラン ”
静かな境内、鈴の音が響く
私はいつも通り神様にお祈りをする。足が治りますように と
その様子を見て、お兄さんはこう尋ねて来た。「何をお願いしたの?」と
私は素直に「足が治りますようにってお願いしたの」と答える。
するとお兄さんは「それじゃぁ特別にお参りの裏技を教えてあげるよ」と言葉を続けた。お参りに裏技があるなんて!私はすごく興味が引かれて眼を輝かせながら「うん、教えて!」と返事をしていた。
「神様はね、いつも困ってたんだ。人間はいつもお願いばかりしてくる。ほとんどの人間が年に1回か2回、神社にやってきては100円を賽銭箱に投げ入れて、やれ頭をよくしろだとか、恋を成就させろだとか、金持ちにしろだとか、自分の都合のいいことばかりお願いしてくる。たかが100円で出来るわけないだろう。あ、別にもっと賽銭を寄越せって話じゃないからね。
昔の人はもっと神様に感謝をしてくれていた。だから神様もそんな人間が好きで人間の願いを叶えてあげることもあったんだよ。でも時代は移りかわって神様なんて誰も信じないような世界になっちゃって、それでいて時折参拝にくる人間は自分の都合のいいことばかりお願いする。神様は人間を嫌いになっていたんだ。
そんな時、ある一人の男の子が毎日お参りに来るようになってね、その子は毎日、神様ありがとう、今日の朝ごはんはすごくおいしかったです。神様ありがとう、今日すごく綺麗な花が咲きました。神様ありがとう。こんな感じで毎日神様にその日にあったうれしかったことを報告してたんだよ。
すると神様もその子のことが少し気になり始めて気がつけば毎日その子がやってくるのを待つようになってたんだよ。
そんなある日、その子がやってきて神様にこう言ったんです。神様、今日はお願いがあります。今日、ぼくは体育の授業で足をくじいてしまいました。来週には体育祭があります。このままだとリレーにでれなくてみんなに迷惑かけてしまいます。それまでに足を治してください。
神様はどうにかしてあげたくて隣町にある神社の神様に相談してみました。神様もなんでもできるわけじゃなくて恋を叶えることができる神様もいれば、頭をよくすることができる神様もいる、怪我を治す神様もいる。それぞれ特技があるんだよ。その神様は恋愛の神様だったから怪我を治してあげることができなかったんだ。でもこの子の怪我を治してあげたい、そう思った神様はいろんな神様に相談してみた。
するとその子に興味を持った他の神様も協力してくれて怪我を治す神様と連絡がついてね、その神様も皆がそう言うならといって翌日にはいろんな神様が恋愛の神様の神社でその子が来るのを待ってたんだよ。
そしてその子がやってきて、こうお祈りしたんだ。神様ありがとう、さっき生まれて初めて虹を見ました。まだドキドキしてます!って。神様はみんなちょっと感動しちゃってね、虹が見えたことでこれだけ喜んでもらえるなんて神様冥利につきるな、なんて話ながら治癒の神様は足の怪我を治してあげて、他の神様もそれぞれの加護をその子に授けたんだよ。
君は年に1度や2度、参拝するだけじゃないってのは見ててわかるし、自分の欲を満たすために神様にお願いしてるんじゃないってのもわかるけど、今は神様が人間全般に向けてソッポむいちゃってるからね。まずは神様に感謝することからはじめるといいと思うよ。そうすれば神様もこっちを向いてくれるようになるから」
お兄さんはそう言うと膝を落として手を私のおなかの少し下に添えてきた。いきなりだったのでちょっとびっくりしたけど、すぐに暖かいものがおなかにはいってくる感覚が伝わってきた。
なんだろう、腰の辺りがフワフワするような感覚で何かが溶かされていくような感覚。お兄さんは手をそのまま右足の方へと動かしゆっくりと太股から膝のあたりまでなぞると、またおなかに手をあて、つぎに左足へと同じようになぞってくれた。「早くよくなるといいね」そういってまたやさしく微笑みかけてくれる。「はい」そう短く返事をした私の顔は、たぶん真っ赤だったとおもう。
そして私はもう一度神様にお祈りをする。
「神様、すてきな出会いをありがとう!」
生まれつきなので今が不自由なのかと問われても、歩くという感覚を知らない以上
それすらもわからない、ただ周囲の人は親切で不幸に感じることはなかった。
でも出来るなら自分の足で歩いてみたい、走ってみたい、大地を踏みしめてみたい
そう願うこともある。
お医者さまには何度も見てもらっている。でもどのお医者さまも私の足を治癒することは出来なかった。原因不明の不治の病、ということになっている。
現代医学ではそうなのだろう。おそらく原因は私の家系に問題があるんだと思う。
私の家系は魔力を司る家系だ。おばあさまが仰るには私の魔力はきれいに体内を循環していないと。それが原因で足が不自由なのだとか。私の家族でも、もとい日本国内でも有数の魔力を宿すおばあさまの力をもってしても私の足の治癒はかなわないらしい。
魔力障害は概ねその対象の魔力より大きな魔力所持者が治癒魔法を施せば治るとされているが、おばあさまでもかなわない=日本で治せる人はいない、といっても過言ではなく、同時に第一成長期過程である私がすでにおばあさま以上の魔力を秘めていること、そちらのほうが今の日本の魔力供給事情を考えると大事なことらしい。
私も最近ようやく自分が特異であり、特別な存在であることを理解し始めていた。
「じいや、停めて」
車窓から小さな神社が見えた。私はすかさず車を停めてもらった。
じいやも心得ているようで、すぐに車を停め、車椅子の準備を始めてくれる。
じいやは私のお世話係 兼 護衛 兼 その他もろもろ 私の大好きな人である。
私は今、東京に来ている。お父様がお仕事で東京へ行くことになったので無理を言って連れてきてもらった。私は今まで生まれ育った京都から出たことがなかったので、今回のおねだりも無理だろうと思っていたのだけれど、今回の出張は私もまったく無関係ということはないらしく、特別に同行をゆるしてくれたのである。なので今の私は始めての東京にずっとわくわくしっぱなしだ。
そんな私が東京に来てやっていることは神社めぐりだ。神社をめぐりそこでお参りをする。足が治りますように、そうお祈りをする。魔力はもともと神様がその力のほんの一部分を人間に分け与えたもの、とされている。なので神頼みは私の中ではかなりマジメな治療法なのだ。地元、京の神社は概ね参拝したので今はこうして京都の外の神社を巡れること、それ自体がうれしい。
そんな最中、たまたま通りかかった道で偶然見つけた小さな神社、それがここである。
小さな神社
神社の前まで来たのはいいがバリアフリーなんてされているわけもなく中に入れずに困っていると、それに気づいた巫さんが中から出てきてくれた。ずいぶんと若い、というか幼い、もしかすると私とあまり年が離れていないのかな?そう思えるくらいの巫さんである。そのお兄さんはニコリと優しく微笑むと手伝いますよ、といってこちらにやってきてくれた。
車椅子をもちあげようとするお兄さんに私は無言ですっと両の手を広げてみせる。
お兄さんはおどろいたような顔を見せ、車椅子を押すじいやと目線をあわせ、その後また私にクスリとやさしく微笑むと「はい、お姫様」と言葉を添えて私を抱きかかえてくれた。私もお兄さんの腕の中で自然と笑みがこぼれる。
“ シャラン シャラン ”
静かな境内、鈴の音が響く
私はいつも通り神様にお祈りをする。足が治りますように と
その様子を見て、お兄さんはこう尋ねて来た。「何をお願いしたの?」と
私は素直に「足が治りますようにってお願いしたの」と答える。
するとお兄さんは「それじゃぁ特別にお参りの裏技を教えてあげるよ」と言葉を続けた。お参りに裏技があるなんて!私はすごく興味が引かれて眼を輝かせながら「うん、教えて!」と返事をしていた。
「神様はね、いつも困ってたんだ。人間はいつもお願いばかりしてくる。ほとんどの人間が年に1回か2回、神社にやってきては100円を賽銭箱に投げ入れて、やれ頭をよくしろだとか、恋を成就させろだとか、金持ちにしろだとか、自分の都合のいいことばかりお願いしてくる。たかが100円で出来るわけないだろう。あ、別にもっと賽銭を寄越せって話じゃないからね。
昔の人はもっと神様に感謝をしてくれていた。だから神様もそんな人間が好きで人間の願いを叶えてあげることもあったんだよ。でも時代は移りかわって神様なんて誰も信じないような世界になっちゃって、それでいて時折参拝にくる人間は自分の都合のいいことばかりお願いする。神様は人間を嫌いになっていたんだ。
そんな時、ある一人の男の子が毎日お参りに来るようになってね、その子は毎日、神様ありがとう、今日の朝ごはんはすごくおいしかったです。神様ありがとう、今日すごく綺麗な花が咲きました。神様ありがとう。こんな感じで毎日神様にその日にあったうれしかったことを報告してたんだよ。
すると神様もその子のことが少し気になり始めて気がつけば毎日その子がやってくるのを待つようになってたんだよ。
そんなある日、その子がやってきて神様にこう言ったんです。神様、今日はお願いがあります。今日、ぼくは体育の授業で足をくじいてしまいました。来週には体育祭があります。このままだとリレーにでれなくてみんなに迷惑かけてしまいます。それまでに足を治してください。
神様はどうにかしてあげたくて隣町にある神社の神様に相談してみました。神様もなんでもできるわけじゃなくて恋を叶えることができる神様もいれば、頭をよくすることができる神様もいる、怪我を治す神様もいる。それぞれ特技があるんだよ。その神様は恋愛の神様だったから怪我を治してあげることができなかったんだ。でもこの子の怪我を治してあげたい、そう思った神様はいろんな神様に相談してみた。
するとその子に興味を持った他の神様も協力してくれて怪我を治す神様と連絡がついてね、その神様も皆がそう言うならといって翌日にはいろんな神様が恋愛の神様の神社でその子が来るのを待ってたんだよ。
そしてその子がやってきて、こうお祈りしたんだ。神様ありがとう、さっき生まれて初めて虹を見ました。まだドキドキしてます!って。神様はみんなちょっと感動しちゃってね、虹が見えたことでこれだけ喜んでもらえるなんて神様冥利につきるな、なんて話ながら治癒の神様は足の怪我を治してあげて、他の神様もそれぞれの加護をその子に授けたんだよ。
君は年に1度や2度、参拝するだけじゃないってのは見ててわかるし、自分の欲を満たすために神様にお願いしてるんじゃないってのもわかるけど、今は神様が人間全般に向けてソッポむいちゃってるからね。まずは神様に感謝することからはじめるといいと思うよ。そうすれば神様もこっちを向いてくれるようになるから」
お兄さんはそう言うと膝を落として手を私のおなかの少し下に添えてきた。いきなりだったのでちょっとびっくりしたけど、すぐに暖かいものがおなかにはいってくる感覚が伝わってきた。
なんだろう、腰の辺りがフワフワするような感覚で何かが溶かされていくような感覚。お兄さんは手をそのまま右足の方へと動かしゆっくりと太股から膝のあたりまでなぞると、またおなかに手をあて、つぎに左足へと同じようになぞってくれた。「早くよくなるといいね」そういってまたやさしく微笑みかけてくれる。「はい」そう短く返事をした私の顔は、たぶん真っ赤だったとおもう。
そして私はもう一度神様にお祈りをする。
「神様、すてきな出会いをありがとう!」
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