90 / 100
悪女殿下の7回目の婚約の行方
第90話
しおりを挟む
意外だ。あの次兄が自分にそんなことをするなんて。
「閣下、不思議って表情をしてる。簡単なことだよ。殿下が帝位に就くまでは、何かあっては困るんだってさ。新しい婚約者になるオレですら、ジェレミー殿下にとってはただの駒だ」
「……わたくし、顔に出ていたかしら?」
怪訝な表情をすれば、エドワードがくすりと笑った。
「出てないよ。オレは長い間、副官として傍にいたんだ。閣下のことならわかるよ。閣下のこと、ずっと見てた。好きだったんだ」
クリスティーナは思わず目を瞠った。
まさかエドワードに想いを寄せられているなんて思わなかった。
自分が結婚する気がないことを彼は見てきたはずだから。
「意外? 戦場を駆け回り次々に勝利を収める姿、カリスマ性。閣下は初めからオレの憧れだったよ。惹かれないわけないよ。でもさ、オレの身分では結ばれることはない。だから、その隣に立つためにオレは努力した。副官になった時は嬉しかったな」
エドワードがうっとりと目を細めた。
「閣下が婚約破棄を繰り返すから、結婚する意志がないことはわかってた。だったら副官のオレこそが閣下に一番近い人間だろう? オレはそれで満足だった。ザートツェントルと婚約を結ぶまでは」
「……どうして、そこにシキが」
「どうして? 決まってるだろ。これまで国外の人間ばかりだったのに、国内から婚約者としてあいつが選ばれ、さらには副官にまでなった。許せるはずないだろ! しかも、閣下は受け入れただけでなく親し気に振舞って……。閣下のことを分かっていて、一番近い人間はオレだけなんだ!」
エドワードが激昂するところを初めてみた。
けれども、クリスティーナは冷静に見つめていた。
「……勝手ね。わたくしがどう振舞おうがわたくしの自由だわ。それで、ジェレミーお兄様の手を取ったというの? わたくしを裏切ってまで?」
クリスティーナの冷たい言葉に、エドワードは唇を噛んだ。
「最初にオレを裏切ったのは閣下だよ。もう何を言ったって、オレと婚約するのはもう決まったも同然だからな」
「わたくしの婚約者を決めるのはレオン皇太子殿下よ。あなたがわたくしの婚約者になるなんてありえないわ」
ぴしゃりと跳ねのけると、エドワードが物凄い形相で、クリスティーナに掴みかかろうとした。
(いやっ、触れられたくない!)
「ぎゃあああっ!」
クリスティーナに触れようとした瞬間、魔方陣が光り輝きエドワードを吹き飛ばした。
ジェレミーの結界魔法だ。
それだけなら良かったのだが、クリスティーナに再び痛みが襲う。
「う、ぐぐ……っ」
「どうしてオレは閣下に触れられないんだ! ずっと想ってるのに!」
(わたくし、に……触れてもいい、のは)
頭への締め付けがどんどんきつくなり、意識が朦朧とする中、クリスティーナは気絶した。
「閣下、不思議って表情をしてる。簡単なことだよ。殿下が帝位に就くまでは、何かあっては困るんだってさ。新しい婚約者になるオレですら、ジェレミー殿下にとってはただの駒だ」
「……わたくし、顔に出ていたかしら?」
怪訝な表情をすれば、エドワードがくすりと笑った。
「出てないよ。オレは長い間、副官として傍にいたんだ。閣下のことならわかるよ。閣下のこと、ずっと見てた。好きだったんだ」
クリスティーナは思わず目を瞠った。
まさかエドワードに想いを寄せられているなんて思わなかった。
自分が結婚する気がないことを彼は見てきたはずだから。
「意外? 戦場を駆け回り次々に勝利を収める姿、カリスマ性。閣下は初めからオレの憧れだったよ。惹かれないわけないよ。でもさ、オレの身分では結ばれることはない。だから、その隣に立つためにオレは努力した。副官になった時は嬉しかったな」
エドワードがうっとりと目を細めた。
「閣下が婚約破棄を繰り返すから、結婚する意志がないことはわかってた。だったら副官のオレこそが閣下に一番近い人間だろう? オレはそれで満足だった。ザートツェントルと婚約を結ぶまでは」
「……どうして、そこにシキが」
「どうして? 決まってるだろ。これまで国外の人間ばかりだったのに、国内から婚約者としてあいつが選ばれ、さらには副官にまでなった。許せるはずないだろ! しかも、閣下は受け入れただけでなく親し気に振舞って……。閣下のことを分かっていて、一番近い人間はオレだけなんだ!」
エドワードが激昂するところを初めてみた。
けれども、クリスティーナは冷静に見つめていた。
「……勝手ね。わたくしがどう振舞おうがわたくしの自由だわ。それで、ジェレミーお兄様の手を取ったというの? わたくしを裏切ってまで?」
クリスティーナの冷たい言葉に、エドワードは唇を噛んだ。
「最初にオレを裏切ったのは閣下だよ。もう何を言ったって、オレと婚約するのはもう決まったも同然だからな」
「わたくしの婚約者を決めるのはレオン皇太子殿下よ。あなたがわたくしの婚約者になるなんてありえないわ」
ぴしゃりと跳ねのけると、エドワードが物凄い形相で、クリスティーナに掴みかかろうとした。
(いやっ、触れられたくない!)
「ぎゃあああっ!」
クリスティーナに触れようとした瞬間、魔方陣が光り輝きエドワードを吹き飛ばした。
ジェレミーの結界魔法だ。
それだけなら良かったのだが、クリスティーナに再び痛みが襲う。
「う、ぐぐ……っ」
「どうしてオレは閣下に触れられないんだ! ずっと想ってるのに!」
(わたくし、に……触れてもいい、のは)
頭への締め付けがどんどんきつくなり、意識が朦朧とする中、クリスティーナは気絶した。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる