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次兄・第二皇子の画策
第77話
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クリスティーナは皇族過去最低の魔力保有量と言われているが、実際はそうではなく第二皇子を超える量を持っている。
しかし、クリスティーナはそのコントロールを苦手としていた。
そのため、保有量がありコントロールが得意だったシキに指南役として白羽の矢が立ち、兄妹は定期的に保養地へ来るようになった。
もう生きることが辛くなっていたシキにとって、楽しそうに生き生きと魔力コントロールの訓練しているティナの姿は眩しく、どうしようもなく惹かれた。
ティナの存在は生きたいというきっかけになり、ティナを守りたいから体を鍛え、勉学にも励んだ。
その甲斐もあってか、病を克服し帝国軍に所属できるようになった。
「初めて暴走した時と比べれば、体への負荷が少なかったみたいだな」
「ええ。以前報告した通り、暴走した魔力のせいで体に痛みはありましたが、大きなけがもなく記憶が飛ぶこともありませんでした。最初の時とは違って体も成長していますし、負荷が少なくて済んだのでしょう。私自身も初めてではないですしね」
「……兄としては胸中複雑なんだがな」
「そうですか? もう婚約者なんですからそれくらいは大目に見てください、義兄上様」
茶目っ気たっぷりに言ってみたが、妹思いの兄がその心のままに口元をへの字に曲げた。
それもそのはずで、魔力暴走を止めるには条件がある。
魔力暴走を起こしている者より魔力が高い者の体液を与える。これが条件だ。
つまり、もっとも手っ取り早いのは口づけ。
シキはクリスティーナの最初の暴走の時も今回も、同じように唇を触れ合わせた。
愛している、そういう想いを込めて。
自分のティナへの気持ちは目の前の兄を超え、誰よりも重いだろうとシキは思う。
だが、シキはクリスティーナの傍にいるべきではないと思っている。
「レオン、一つ懸念があるのです」
「懸念?」
「ええ。ティナの記憶が戻り始めているように思います」
「記憶が? まさかナウシエト遺跡での暴走が引き金か」
「おそらくは。一度、私の顔を見て驚いたことがありました」
サラと再会したバーグ城での出来事を思い出し、シキは唇を噛んだ。
傍いるべきではないと思っている理由、それはクリスティーナの記憶に関係している。
クリスティーナがあの事件を忘れているなら、シキはそれでいいと思っている。それはレオンハルトとも意見が一致している。
記憶を取り戻して、ティナの悲しむ顔を見たくないのだ。
「生きるきっかけを与えてくれたティナの幸せだけを願ってきました。ですが、現実は違った方向に引き寄せられる」
「シキ」
「私はティナと婚約するべきじゃなかった」
シキが再び接触することによって、思い出してしまうきっかけになるんじゃないかとずっと懸念していた。
そして、その懸念が現実のものとなりはじめた。
「それは違う。私はそうは思わない」
「だったらなぜ属国へ執拗に婚約を結び、外に出そうとしたんですか。第二皇子派のこともあったでしょうが、本国にいて記憶が戻ることを心配していたのでしょう?」
「もう終わったことだ。どれも上手くいかず、今はお前が婚約者だ。それにこの婚約を望んだのはシキ自身じゃないのか」
「いいえ」
予想外の返答に、レオンハルトは目を丸くした。
しかし、クリスティーナはそのコントロールを苦手としていた。
そのため、保有量がありコントロールが得意だったシキに指南役として白羽の矢が立ち、兄妹は定期的に保養地へ来るようになった。
もう生きることが辛くなっていたシキにとって、楽しそうに生き生きと魔力コントロールの訓練しているティナの姿は眩しく、どうしようもなく惹かれた。
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その甲斐もあってか、病を克服し帝国軍に所属できるようになった。
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「ええ。以前報告した通り、暴走した魔力のせいで体に痛みはありましたが、大きなけがもなく記憶が飛ぶこともありませんでした。最初の時とは違って体も成長していますし、負荷が少なくて済んだのでしょう。私自身も初めてではないですしね」
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それもそのはずで、魔力暴走を止めるには条件がある。
魔力暴走を起こしている者より魔力が高い者の体液を与える。これが条件だ。
つまり、もっとも手っ取り早いのは口づけ。
シキはクリスティーナの最初の暴走の時も今回も、同じように唇を触れ合わせた。
愛している、そういう想いを込めて。
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だが、シキはクリスティーナの傍にいるべきではないと思っている。
「レオン、一つ懸念があるのです」
「懸念?」
「ええ。ティナの記憶が戻り始めているように思います」
「記憶が? まさかナウシエト遺跡での暴走が引き金か」
「おそらくは。一度、私の顔を見て驚いたことがありました」
サラと再会したバーグ城での出来事を思い出し、シキは唇を噛んだ。
傍いるべきではないと思っている理由、それはクリスティーナの記憶に関係している。
クリスティーナがあの事件を忘れているなら、シキはそれでいいと思っている。それはレオンハルトとも意見が一致している。
記憶を取り戻して、ティナの悲しむ顔を見たくないのだ。
「生きるきっかけを与えてくれたティナの幸せだけを願ってきました。ですが、現実は違った方向に引き寄せられる」
「シキ」
「私はティナと婚約するべきじゃなかった」
シキが再び接触することによって、思い出してしまうきっかけになるんじゃないかとずっと懸念していた。
そして、その懸念が現実のものとなりはじめた。
「それは違う。私はそうは思わない」
「だったらなぜ属国へ執拗に婚約を結び、外に出そうとしたんですか。第二皇子派のこともあったでしょうが、本国にいて記憶が戻ることを心配していたのでしょう?」
「もう終わったことだ。どれも上手くいかず、今はお前が婚約者だ。それにこの婚約を望んだのはシキ自身じゃないのか」
「いいえ」
予想外の返答に、レオンハルトは目を丸くした。
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