7回目の婚約破棄を成し遂げたい悪女殿下は、天才公爵令息に溺愛されるとは思わない

結田龍

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第三師団の魔獣討伐

第36話

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 ドッドッドッドッ……と、地響きを鳴らす足音がこちらに向かってくる。
 やがて姿を現すと、人間の身長の二倍ほどの岩石の硬い体を持つゴーレムだった。


「ゴーレム。しかも三体も」


 一体だけではなく、後ろからドスンドスンと地面を揺らして、ゆっくりと二体のゴーレムもやってきた。
 三体のゴーレムが彼女を認識し、明らかな敵意を向けてきた。


(この遺跡を守っているのかしら。けれども、邪魔をさせるわけにはいかない)


 クリスティーナはふっと短く息を吐き、ハルバードの柄を握る手にぐっと力を込める。己の肚に力を込めて全身の血を滾らせれば、彼女の双眸に鋭さが宿った。


「さあ、殲滅して差し上げるわ」


 ダンッ、と足を踏み鳴らして、先に動いたのはゴーレムだった。
 一体のゴーレムが岩石でできた重そうな拳を振り上げ、クリスティーナの頭上を狙った。


(あの拳を受けたらただではすまない。でも、動きが単調だわ)


 瞬時に、クリスティーナはビュンッと高く跳び上がる。ちょうどゴーレムの拳が彼女のいた場所を叩きつけた。重い拳が地面にめり込み、白く濁った砂埃が巻き上がった。ゴーレムを包むように巻き上がった砂埃は、クリスティーナを覆い隠す。
 首をギギギ、と動かしながら探るしぐさをするゴーレムたちだが、彼女を見失っているようだ。


(わたしはここよ!)


 砂埃が引いていくその瞬間、今度は彼女がゴーレムの頭上を捉えた。奥歯を噛みしめて力を入れると、ハルバードを大きく振りかぶった。


「ゴオオオオオオォォン!!」


 岩石の硬い体を持つゴーレムの頭から腰にかけて、真っすぐに振り下ろし、ズバンッと両断した。
 ゴーレムが咆哮を上げ、その巨体は魔力の炎に焼かれ、塵となって消滅した。


(まずは一体)


 クリスティーナは息つく間もなく身体をひねり、地面を蹴って駆け出すと、もう一体のゴーレムに狙いを定める。
 そのゴーレムが、自分より小さいクリスティーナを捕まえようと、体を屈めてグググッと腕を伸ばした。


(捕まえられるかしら?)


 クリスティーナは地面を蹴り上げ、ビュンッと高く跳ぶ。そのままくるりと回転すれば、ふわりと美しい髪が靡く。屈んだゴーレムの背中を通り越して、ストンと着地して後ろへ回り込んだ。


(後ろがガラ空きよ!)


 ニッと口の端を上げたクリスティーナは、地面を踏みしめて脚全体に力を入れる。両手で握りしめたハルバードを、右下から斜め上に向かって、力強くブンッと振り上げた。
 ゴーレムの身体には斜めに亀裂が入り、ゴガガガッと岩石が割れる音とともに身体が分断した。


「ゴオオオオオオォォン!!」


 再びゴーレムが咆哮を上げ、魔力の炎に焼かれ、塵となって消滅した。


「ティナ! 解析終了です。加勢します!」


 シキの少し焦った声が、この空間に響いた。
 けれども、最後のゴーレムがクリスティーナを襲うべく、目の前に迫っていた。


「いいえ。わたくし一人で十分よ」


 なりふり構わずぶんぶんと振り回してくるゴーレムの両腕を、クリスティーナはひょいひょいと軽く躱していく。


(そんな攻撃ではわたくしを倒せないわよ)


 ふっと笑みを漏らしたクリスティーナはぐっと地面を踏み込んだ後、ダダダダッ、とトップスピードで駆けだし、一気にゴーレムの懐に入り込んだ。
 ハッと短く息を吐き、得物のハルバードを水平に構えて、渾身の力で右腕をブンッと一振り。風を切るように真一文字に薙ぎ払った。
 刹那、ゴガッ、と胴体が真っ二つに分離する。


「ゴオオオオオオォォン!!」


 咆哮を上げて崩れ落ちたゴーレムは、先の二体と同様に魔力の炎に焼かれ、塵となって消滅した。
 ふぅと一呼吸し、クリスティーナは肩の力を抜いた。





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