7回目の婚約破棄を成し遂げたい悪女殿下は、天才公爵令息に溺愛されるとは思わない

結田龍

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天才公爵令息は、7番目の婚約者⁉

第19話

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「ああ、かまわねーよ。俺たちは通常の魔導武器は使えねえ。第三師団は魔力なし、って言われているのを知ってるだろ? そんな俺たちでも扱えるようになってる」


 マルスがそれなりの重さのある魔導ライフルを掴み、ひょいっと投げ渡すと、危なげなく受け取ったシキがまじまじと検分する。
 目を細めて優しく触れながら、魔導ライフルの意匠を確かめていく。その扱いは丁寧で、機械士としての矜持が見て取れる。


「なるほど……少ない魔力を補うために魔導石をセットできるようになっているのですか。これは細かい作業ですね。いい仕事をしている」


 天才機械士と呼ばれる彼の言葉に、クリスティーナは胸が弾んだ。


「やはりあなたにはわかるのね。これはわたくしの意向を汲んで、うちの技術士がそれはもう細かい作業を、時間をかけてしてくれたの。魔導研究所にいる所員に引けを取らなくてよ」


 クリスティーナは団員たちの戦闘能力の向上に力を入れている。
 確実な任務遂行はもとより、帝国軍内で団員たちに肩身の狭い思いをさせないためだ。
 専属の技術士は難しい要求によく応えてくれている、と思っている。


「ここまで作業ができるのなら、うちに欲しいくらいですね」

「ふふ、あげないわよ。その代わり、魔導研究所へ渡してもいいアイデアがあるのだけど」

「アイデア?」


 シキがわずかに目を開く。
 見逃さないクリスティーナは、食いついたわ、と胸の内でにんまりと笑う。


「技術士と一緒に考えていたのだけど、魔力を持っていない者はもちろん、魔力のある者にもメリットのあるアイデアよ」

「それはどのようなもので?」

「わたくしの団の魔導武器は、魔導石を搭載できる部分があるわ」

「ここですね」


 魔導ライフルを持っていたシキが指差した。
 そこはアクセサリーの台座のような金具がついており、魔導石を固定できるようになっている。


「今は足りない魔力を補うために、鉱石の塊を使用するのだけど、その部分をタンクに変える」

「タンク? まさか魔導石を液体化するのですか?」

「その通りよ。魔導石を液体化させて、通常の二倍程度使用できるようにするの。例えば、魔力のある者がこれを使えば、長く前線に出られるわ」

「確かに魔力を持っていない者はもちろん、魔力のある者にもメリットがありますね」

「特にわたくしの団は魔導石の有無が勝敗を分けるから、なるべく一つの魔導石を長く使いたいのよ」

(それに、魔導石には一つ大きな問題を孕んでいる。だからこそ長く使えれば……)


 なるほど、とシキが眉を上げ、面白そうにクリスティーナを見た。


「ティナは団員のことをきちんと考えているんですね」

「当たり前でしょう? 自分の師団、団員のことよ」

「他の部隊はそうでもないですよ。皆、己のことばかりで、団員を大切にするあなたのような人は珍しい。それにこのアイデアは団員だけじゃなく、帝国軍全体の強化につながる」

「じゃあ、このアイデアは採用かしら?」

「いえ。すぐにとはいきません」




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