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11話 フィーネア
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俺は泣いた。初対面の、絶世の美少女に全裸を見られたのだ。
それも……小さくて可愛いと言う男のプライドをへし折る言葉と共に。
俺はすぐに股間を隠すようにその場に蹲り、ヴァッサーゴに服を取ってくれと頼んだが。
ヴァッサーゴの奴は満面の笑みで俺を見下ろすだけで、決して脱ぎ散らかした衣服を取ってはくれない。
もう顔から火が噴き出しそうとか言う次元ではなく。多分俺の顔は1500度のガスバーナーで焼かれていたと思う。
それくらい恥ずかしくて堪らなかった。
そんな俺の元に、衣服を持った彼女が歩み寄り、
「ご主人様、そのような格好では風邪を引いてしまいます。それと、そう言った性癖は隠された方が良いのでは……? さぁ、立ってください。お着替え致しますよ」
と、俺の腕を掴み取って無理やり立たせようとしてくるのだ。
「やめてぇぇえええええええええええええっ!! じじじ、自分で出来ますからっ!」
俺と彼女の押し問答が続く中、ヴァッサーゴはずっとニヤついていやがった。
その後。
なんとか服を着た俺は、怒り心頭でヴァッサーゴに詰め寄っていた。
「テメェーふざけんじゃねぇぞっ!」
「落ち着いて下しませ、お客様。すぐに圧縮玉とお取替え致しますので」
「えっ……!?」
「お客様が言い出したことでございます」
お取替えって……。彼女のことをまるで物みたいに言いやがって!
「おい、彼女を物みたいに言うんじゃない! 失礼だろうっ!」
「はい? ドールNo.34。フィーネアは物でございます」
「何言ってんだよっ! どこからどう見ても生きた人じゃないか!」
「いいえ。ドールとはこの世に未練を残して彷徨い続ける魂に、仮初の肉体を与えたモノでございます」
どういうことだ?
「つまり……死人を生き返らせたってことか?」
「その通りでございます。その際、ドールは契約によって主となる者と繋がりを持つこととなります」
「繋がり?」
「わかりやすく言えば、奴隷のようなものでございます。奴隷とはモノでございます」
「……」
彼女が近くに居るっていうのに、嫌なことを言うんじゃないよっ!
聞こえていたらどうするんだっ!
俺がチラッと彼女の方に目を向けると、天使のような微笑みを見せてくれる。
その眩しい微笑みに、俺の頬が自然と緩んでいく。
同時にこの娘が俺のもの……と、考える。
俺はずっと夢見ていた。初めては可愛い子がいいと。
フィーネアちゃんと言ったっけ?
この子と叶わなかったひと夏のアバンチュール……ランデブーが出来るのなら最高じゃないかっ!
ヴァッサーゴは言った。
奴隷のようなものだと。少し……いや、かなりっ!
下世話な話かもしれないが、奴隷ということは……。つまりそう言うこともしてもらえるのだろうか?
いや……フィーネアちゃんはどこからどう見てもメイドさんだっ!
そしてフィーネアちゃんはこの俺のことをご主人様と呼んだんだよっ!!
つまり……そういうことだよな? そういうことでいいんだよね?
メイドさんがご主人様にあれやこれやとご奉仕するのは至極当然だろ?
俺がプレイしていたエロゲでも、メイドさんはご主人様にご奉仕していたんだから。
きっとフィーネアちゃんも……うふふ。
「では、すぐにお取替えを」
「はぁ!? 何言ってんだっ! いつ誰がそんなこと言ったっ!!」
「いや……先ほどお客様が圧縮玉と――」
「黙れっ!! 俺はフィーネアちゃんとこの世知辛い世の中で生きていくんだ」
「……お客様。もしやスケベぇなことを考えては――」
「うおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
――ドーンッ!
俺は全力でヴァッサーゴを壁へと押し付けた。
そしてフィーネアちゃんに聞かれないように、透かさず耳元で囁いた。
「それ以上言うなよ。フィーネアちゃんに聞こえたらどうするんだっ。変態だと思われるだろうっ」
「十分変態では……」
「喧しいっ!」
「では……このままでいいのですね?」
「当然だっ!」
少し血走った目で鼻息荒く頷くと、ヴァッサーゴは呆れたように嘆息しやがった。
そのままめんどくさそうに、俺にソファへ座るよう言い。
俺はフィーネアちゃんもソファに座るよう促すと「はい、ご主人様」てな具合に美少女スマイルを見せてくれる。
もう、堪りませんっ!
その後、俺はヴァッサーゴからドールの説明を受けた。
ドール――それは所有者である俺の命令には、基本的に従うようになっているらしい。
さらに、フィーネアちゃんのステータスなどは俺のステータス画面から確認可能とのこと。
試しに確認してみる。
―――――――――
名前:月影遊理
性別:男
装備:なし
レベル:なし
力 F
耐久 F
敏捷 F
魔力 F
スキル:なし
固有スキル:他人の不幸は蜜の味
【リヤンポイント】
(フィーネア)
――――――――――
おお! どうやらこの(フィーネア)を開くと意識すれば、フィーネアちゃんのステータスが確認出来るらしいのだが。
このリヤンポイントってのはなんだ?
ま、いい。とにかくフィーネアちゃんのステータスを確認してみよう。
―――――――――
名前:フィーネア・レッジ・バレンタイン
性別:女
装備:シンプルなメイド服
レベル:なし
力 C
耐久 D
敏捷 C
魔力 B
スキル:炎の書(鳳凰)
固有スキル:メイドの極意
――――――――――
おおおおおおおおおおおっ!
フルネームはフィーネア・レッジ・バレンタインと言うのか! 実に愛らしい名前だな。可憐なフィーネアちゃんにぴったりだ。
それにしても……メイドさんの癖に意外とステータスが高いな。
ご主人様の面目は丸潰れだが、仲間としては非常に心強い。
それに、スキル炎の書というのを覚えているみたいだ。
確か以前、ヴァッサーゴから聞いた話だと。スキルは基本的には武器を装備することで、その武器に備わっているスキルが扱えるようになると言っていた。
しかし、こうも言っていたな。
特殊な書を入手することでスキルを覚えることも出来るとかなんとか……。
つまり、フィーネアちゃんはこの炎の書(鳳凰)というのを入手して、何らかの方法でスキルを得ているということか。
スキルは生前覚えたものが受け継がれているということなのだろうか?
何れにせよ、とても心強いな。
それに、固有スキルまで所持している。
この固有スキル、メイドの極意がなんなのかいまいちわからんが。持ってないよりは持っている方がいいに決まってる。
ちなみに、先ほどのリヤンポイントってのはなんだ?
俺はステータスページをひとつ戻り、リヤンポイントなる項目を開いてみた。
――――――――――
リヤンポイント
フィーネア・レッジ・バレンタイン(0%)
――――――――――
なんだこりゃ? 0%ってのはなんだ?
俺はすぐにヴァッサーゴに、リヤンポイントについて聞いてみた。
「おい、リヤンポイントってのはなんだ? 名前の横になぜか0%と表示されているんだが」
「それは絆ポイントでございますよ」
「絆ポイント?」
「要は――」
つまりこういうことらしい。
リヤンポイントは俺とフィーネアの信頼を数値化して表しているという。
別に信頼が0%でも問題はないし、それ以下になることはないのだが。
リヤンポイントが100%に達すると、フィーネアが生前愛用していた武具が入手可能だという。
メイドなのに武具を持っているのかと? 少し疑問にも感じたのだが。
そこはきっと異世界ならではなのだろう。
この世界にはオークのようなモンスターも居るし。炎の書なるスキルを会得していることから察するに、フィーネアは戦うメイドさんなんだと俺は解釈した。
こんな美少女メイドさんに守ってもらいながら、時にイチャコラして旅をするなんて夢のようだな。
それに……ポイントを貯めればまた新たなドールを獲得することも可能ということなのだろう。
上手くいけばハーレムを築き上げるのも夢ではないし。
人手を増やせばそいつらを世界中に放って、元の世界へ還る方法を見つけ出すことも可能かもしれない。
こんな物騒な世界より、つまらなくても元の世界の方がいいに決まってるんだ。
よしっ! なんかやる気出てきたぞ。
俺は隣に座るフィーネアちゃんに手を差し出して、握手を求めた。
「こっ、これからよろしくね。フィーネアちゃん」
フィーネアちゃんはしっかりと俺の手を握り締めて、微笑んだ。
「はい、ご主人様。これから二人で世界中の人々を不幸のどん底に突き落としてやりましょう。ワクワクしますね」
「えっ……?」
そういう感じなの……?
困惑する俺がヴァッサーゴに視線を向けると。
「ドールとは、より多くのMFポイントを獲得するための、ドールでございます」
「……」
ま、仕方ない。今はそれでいいか。
俺はフィーネアちゃんへと向かい直して、言った。
「俺のことはその……ユーリって親しみを込めて呼んでよ。……おっ、おおお、俺もフィーネアって……彼氏みたいに言うから……さ。いいでしょっ!!」
「はい、ユーリがそう仰るなら、そう呼ばせていただきますね」
ヤバいっ! ヤバいよ!!
人生って、嫌なことがあった後にはいいことがあるもんだな。
俺は相変わらず仏頂面のヴァッサーゴに別れを告げ。
ルンルン気分でフィーネアとミスフォーチュンを後にした。
部屋に戻り、可憐なフィーネアにうっとり見とれていると。
突然、耳をつんざくノックの音が飛び込んで来た。
――ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!!
「ユーリ殿っ! ここを開けて欲しいでござるっ! 助けて欲しいでござるよっ!!」
切羽詰った声音で扉を何度も叩く、聞き覚えのある声。
どうやら糞漏らしが訪ねてきたみたいだ。
今更どの面下げて来やがったんだっ! あの野郎っ!!
文句言ってやるっ!
それも……小さくて可愛いと言う男のプライドをへし折る言葉と共に。
俺はすぐに股間を隠すようにその場に蹲り、ヴァッサーゴに服を取ってくれと頼んだが。
ヴァッサーゴの奴は満面の笑みで俺を見下ろすだけで、決して脱ぎ散らかした衣服を取ってはくれない。
もう顔から火が噴き出しそうとか言う次元ではなく。多分俺の顔は1500度のガスバーナーで焼かれていたと思う。
それくらい恥ずかしくて堪らなかった。
そんな俺の元に、衣服を持った彼女が歩み寄り、
「ご主人様、そのような格好では風邪を引いてしまいます。それと、そう言った性癖は隠された方が良いのでは……? さぁ、立ってください。お着替え致しますよ」
と、俺の腕を掴み取って無理やり立たせようとしてくるのだ。
「やめてぇぇえええええええええええええっ!! じじじ、自分で出来ますからっ!」
俺と彼女の押し問答が続く中、ヴァッサーゴはずっとニヤついていやがった。
その後。
なんとか服を着た俺は、怒り心頭でヴァッサーゴに詰め寄っていた。
「テメェーふざけんじゃねぇぞっ!」
「落ち着いて下しませ、お客様。すぐに圧縮玉とお取替え致しますので」
「えっ……!?」
「お客様が言い出したことでございます」
お取替えって……。彼女のことをまるで物みたいに言いやがって!
「おい、彼女を物みたいに言うんじゃない! 失礼だろうっ!」
「はい? ドールNo.34。フィーネアは物でございます」
「何言ってんだよっ! どこからどう見ても生きた人じゃないか!」
「いいえ。ドールとはこの世に未練を残して彷徨い続ける魂に、仮初の肉体を与えたモノでございます」
どういうことだ?
「つまり……死人を生き返らせたってことか?」
「その通りでございます。その際、ドールは契約によって主となる者と繋がりを持つこととなります」
「繋がり?」
「わかりやすく言えば、奴隷のようなものでございます。奴隷とはモノでございます」
「……」
彼女が近くに居るっていうのに、嫌なことを言うんじゃないよっ!
聞こえていたらどうするんだっ!
俺がチラッと彼女の方に目を向けると、天使のような微笑みを見せてくれる。
その眩しい微笑みに、俺の頬が自然と緩んでいく。
同時にこの娘が俺のもの……と、考える。
俺はずっと夢見ていた。初めては可愛い子がいいと。
フィーネアちゃんと言ったっけ?
この子と叶わなかったひと夏のアバンチュール……ランデブーが出来るのなら最高じゃないかっ!
ヴァッサーゴは言った。
奴隷のようなものだと。少し……いや、かなりっ!
下世話な話かもしれないが、奴隷ということは……。つまりそう言うこともしてもらえるのだろうか?
いや……フィーネアちゃんはどこからどう見てもメイドさんだっ!
そしてフィーネアちゃんはこの俺のことをご主人様と呼んだんだよっ!!
つまり……そういうことだよな? そういうことでいいんだよね?
メイドさんがご主人様にあれやこれやとご奉仕するのは至極当然だろ?
俺がプレイしていたエロゲでも、メイドさんはご主人様にご奉仕していたんだから。
きっとフィーネアちゃんも……うふふ。
「では、すぐにお取替えを」
「はぁ!? 何言ってんだっ! いつ誰がそんなこと言ったっ!!」
「いや……先ほどお客様が圧縮玉と――」
「黙れっ!! 俺はフィーネアちゃんとこの世知辛い世の中で生きていくんだ」
「……お客様。もしやスケベぇなことを考えては――」
「うおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
――ドーンッ!
俺は全力でヴァッサーゴを壁へと押し付けた。
そしてフィーネアちゃんに聞かれないように、透かさず耳元で囁いた。
「それ以上言うなよ。フィーネアちゃんに聞こえたらどうするんだっ。変態だと思われるだろうっ」
「十分変態では……」
「喧しいっ!」
「では……このままでいいのですね?」
「当然だっ!」
少し血走った目で鼻息荒く頷くと、ヴァッサーゴは呆れたように嘆息しやがった。
そのままめんどくさそうに、俺にソファへ座るよう言い。
俺はフィーネアちゃんもソファに座るよう促すと「はい、ご主人様」てな具合に美少女スマイルを見せてくれる。
もう、堪りませんっ!
その後、俺はヴァッサーゴからドールの説明を受けた。
ドール――それは所有者である俺の命令には、基本的に従うようになっているらしい。
さらに、フィーネアちゃんのステータスなどは俺のステータス画面から確認可能とのこと。
試しに確認してみる。
―――――――――
名前:月影遊理
性別:男
装備:なし
レベル:なし
力 F
耐久 F
敏捷 F
魔力 F
スキル:なし
固有スキル:他人の不幸は蜜の味
【リヤンポイント】
(フィーネア)
――――――――――
おお! どうやらこの(フィーネア)を開くと意識すれば、フィーネアちゃんのステータスが確認出来るらしいのだが。
このリヤンポイントってのはなんだ?
ま、いい。とにかくフィーネアちゃんのステータスを確認してみよう。
―――――――――
名前:フィーネア・レッジ・バレンタイン
性別:女
装備:シンプルなメイド服
レベル:なし
力 C
耐久 D
敏捷 C
魔力 B
スキル:炎の書(鳳凰)
固有スキル:メイドの極意
――――――――――
おおおおおおおおおおおっ!
フルネームはフィーネア・レッジ・バレンタインと言うのか! 実に愛らしい名前だな。可憐なフィーネアちゃんにぴったりだ。
それにしても……メイドさんの癖に意外とステータスが高いな。
ご主人様の面目は丸潰れだが、仲間としては非常に心強い。
それに、スキル炎の書というのを覚えているみたいだ。
確か以前、ヴァッサーゴから聞いた話だと。スキルは基本的には武器を装備することで、その武器に備わっているスキルが扱えるようになると言っていた。
しかし、こうも言っていたな。
特殊な書を入手することでスキルを覚えることも出来るとかなんとか……。
つまり、フィーネアちゃんはこの炎の書(鳳凰)というのを入手して、何らかの方法でスキルを得ているということか。
スキルは生前覚えたものが受け継がれているということなのだろうか?
何れにせよ、とても心強いな。
それに、固有スキルまで所持している。
この固有スキル、メイドの極意がなんなのかいまいちわからんが。持ってないよりは持っている方がいいに決まってる。
ちなみに、先ほどのリヤンポイントってのはなんだ?
俺はステータスページをひとつ戻り、リヤンポイントなる項目を開いてみた。
――――――――――
リヤンポイント
フィーネア・レッジ・バレンタイン(0%)
――――――――――
なんだこりゃ? 0%ってのはなんだ?
俺はすぐにヴァッサーゴに、リヤンポイントについて聞いてみた。
「おい、リヤンポイントってのはなんだ? 名前の横になぜか0%と表示されているんだが」
「それは絆ポイントでございますよ」
「絆ポイント?」
「要は――」
つまりこういうことらしい。
リヤンポイントは俺とフィーネアの信頼を数値化して表しているという。
別に信頼が0%でも問題はないし、それ以下になることはないのだが。
リヤンポイントが100%に達すると、フィーネアが生前愛用していた武具が入手可能だという。
メイドなのに武具を持っているのかと? 少し疑問にも感じたのだが。
そこはきっと異世界ならではなのだろう。
この世界にはオークのようなモンスターも居るし。炎の書なるスキルを会得していることから察するに、フィーネアは戦うメイドさんなんだと俺は解釈した。
こんな美少女メイドさんに守ってもらいながら、時にイチャコラして旅をするなんて夢のようだな。
それに……ポイントを貯めればまた新たなドールを獲得することも可能ということなのだろう。
上手くいけばハーレムを築き上げるのも夢ではないし。
人手を増やせばそいつらを世界中に放って、元の世界へ還る方法を見つけ出すことも可能かもしれない。
こんな物騒な世界より、つまらなくても元の世界の方がいいに決まってるんだ。
よしっ! なんかやる気出てきたぞ。
俺は隣に座るフィーネアちゃんに手を差し出して、握手を求めた。
「こっ、これからよろしくね。フィーネアちゃん」
フィーネアちゃんはしっかりと俺の手を握り締めて、微笑んだ。
「はい、ご主人様。これから二人で世界中の人々を不幸のどん底に突き落としてやりましょう。ワクワクしますね」
「えっ……?」
そういう感じなの……?
困惑する俺がヴァッサーゴに視線を向けると。
「ドールとは、より多くのMFポイントを獲得するための、ドールでございます」
「……」
ま、仕方ない。今はそれでいいか。
俺はフィーネアちゃんへと向かい直して、言った。
「俺のことはその……ユーリって親しみを込めて呼んでよ。……おっ、おおお、俺もフィーネアって……彼氏みたいに言うから……さ。いいでしょっ!!」
「はい、ユーリがそう仰るなら、そう呼ばせていただきますね」
ヤバいっ! ヤバいよ!!
人生って、嫌なことがあった後にはいいことがあるもんだな。
俺は相変わらず仏頂面のヴァッサーゴに別れを告げ。
ルンルン気分でフィーネアとミスフォーチュンを後にした。
部屋に戻り、可憐なフィーネアにうっとり見とれていると。
突然、耳をつんざくノックの音が飛び込んで来た。
――ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!!
「ユーリ殿っ! ここを開けて欲しいでござるっ! 助けて欲しいでござるよっ!!」
切羽詰った声音で扉を何度も叩く、聞き覚えのある声。
どうやら糞漏らしが訪ねてきたみたいだ。
今更どの面下げて来やがったんだっ! あの野郎っ!!
文句言ってやるっ!
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