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第7話 お化け屋敷
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「おお!」
意外なことに、執事に案内されて中に入ると、外観がお化け屋敷とは思えないほど室内は整然としていた。もちろん、お化け屋敷としては整然としているという意味だけれども。
「何とか、殿下が到着される前にはそう考えておりましたが、申し訳ございません」
「気にするな。むしろ五人でよくここまでしてくれたものだ。遠目から屋敷が見えた時はあきらめていたが、これなら問題なく住むことができそうだ」
「お心遣い感謝致します」
この執事は、心からレーヴェンを尊敬しているようだ。彼の目は涙で滲んでいた。侍女たちも、主君であるレーヴェンに会えたことが嬉しいようで、先程から笑顔が絶えない。
やはり、彼女の人柄は、噂とはかなり異なるようだ。
レーヴェンの艶やかで神秘的な黒髪が揺れるたび、薔薇のような魅惑の香りが鼻先をくすぐる。まるで幸せそのものが香りとなって存在するかのようで、この贅沢な香りを一生嗅いでいたいと思うほどだ。口にするとなんだか変態っぽいので、死んでも口にするつもりはない。
「これは凄いな」
ギャラリールームのような場所を抜けて辿り着いたのは食堂だった。ここがお化け屋敷であることを忘れるほど、壮大な食堂が広がっていた。
約五メートルの長いテーブルには、巧妙にデザインされた蝋燭立てが均等に配置されている。豪奢なシャンデリアが天井に吊り下げられ、壁には巨大な鏡面が埋め込まれていた。壁に飾られた美しい絵画は、おそらく有名な画家によるもので、その中にはレーヴェンの肖像画も含まれていた。
「食事をする場所は清潔でなければなりません。殿下の寝室と食堂は特に丁寧にお手入れしております」
「うむ。ハーネスの心遣いにはいつも感謝している」
レーヴェンもこの状況に満足しているようで、ゆっくりと頷いた。ちなみに、執事の名前はハーネスというらしい。
「とても美しい絵だな。俺の審美眼によると、これは帝国一の画家が描いた。違うか?」
自信たっぷりに答えると、なぜかハーネスが恥ずかしそうに謙遜した。
「?」
「あちらは私がササッと描いたものでございます」
「え…………描いた?」
「ここには何もなかったため、ちょっとした趣味で描いてみました」
「面倒をかけたな」
「いえ、とんでもございません」
ハーネスはものの5分でこの肖像画を描いたという。冗談も休み休み言え。
「こ、これ、ほんとうにハーネスさんが描いたのですか?」
「お恥ずかしい限りです」
信じられない…。ランナー国なら間違いなく引っ張りだこの画家になるだろう。しかも、わずか5分で…。この執事、一体何者だよ。
「さあ、ランス殿もお座りください」
俺は深呼吸して心を落ち着かせ、角の上席に腰を落ち着かせたレーヴェンの近くに座った。一応最低限のマナーは覚えている。
このような長いテーブルでの食事では、地位の高い者が上座に座り、少人数の場合には上座に近い席で食事をするのがマナーだ。対面に座ることは避ける。反対側に座るのは使用人や奴隷など、通常は長いテーブルに座る資格のない低い身分の者だ。また、反対側に座ることは、お近づきになりたくないか、あるいは暗黙のうちに嫌味や嫌がらせのメッセージを含むことがある。注意が必要だ。
「こちらは北のポスタル地方で作られた赤ワインでございます」
「うむ。口の中に北の心地よい風が吹き抜けたような、爽やかな酸味が癖になるな」
レーヴェンがワインのテイスティングを終えると、侍女が絶妙なタイミングで料理を乗せたワゴンを運んできた。
「え、もう出来たのか!?」
到着したばかりなのに、侍女は温かいスープを提供してくれた。
「う、うまい! これは絶品だ!」
ただのコンソメスープかと思いきや、オニオンとビーフの濃厚な旨味が凝縮され、ピリッとしたスパイシーな余韻が残る絶品のコンソメスープだった。長い旅で疲れた体を芯からほっこり温めてくれる。
まさに極上の一品だ。
「さすが、帝国のシェフだな」
「これを作ったのは恐らくロレッタだ」
「ロレッタさんという、凄腕のシェフか」
「いや、さっき会っただろ? 眼鏡をかけたメイド長だ」
「メ、メメメメイド長がこれをっ!?」
バカなっ!
一介のメイドがこれを作ったというのか。
その事実をランナー国のシェフたちが知れば、間違いなく泣いてしまうレベルだ。
その後も、メイド長のロレッタが作る極上の料理が続々と登場する。
湖で釣ったという新鮮な魚介類を使用したポワソン、メインディッシュ前のお口直しのソルベなど、どれも非常に美味しいものばかり。
そして、極めつけは……。
「マジかよ!?」
鉄板を運んできて、目の前で肉を焼き始めた。火魔法を使いながら、手際よく焼いていく。
メイドが魔法を使う……? 一体何の冗談だ?
魔法は一石二鳥で身につくようなものではない。平民出身の人々の中にも、魔法を使える者は確かにいるが、なぜ魔法を習得した者がメイドなんてやっているのだ。理解ができない。
冒険者にでもなれば、彼女なら引っ張りだこだっただろうに。
「ロレッタは、私の幼馴染みなのだ」
「え……幼馴染み?」
俺が不思議そうな顔でロレッタを見つめていたからだろう。グラスを傾けたレーヴェンがメイド長について語りはじめた。
「彼女の家系は代々、私たち皇族に仕えてくれていてな。帝国にとって特別な一族であり、私の親友でもある。ランスも仲良くしてやってくれ」
「特別な一族……」
皇族から特別な一族と言われる使用人の家系? まさか、それはもはや通常の使用人とは異なる存在なのではないかと、俺は理解できない思いだった。
俺から見たメイド長のロレッタは、地味な女性という印象だった。眼鏡の奥に隠れた瞳は切れ長で、どこか無表情に思えた。それは8歳の頃、舞踏会場でレーヴェンを見たときに感じた感覚に近いと思う。実際のレーヴェンはずっと人間らしい存在だったのだが、もしかしたら、ロレッタとも話してみたら、印象が変わるかもしれない。
メイド長が目の前で調理してくれたメインディッシュは、本当に絶品だった。
帝国という国に改めて驚かされた。
食事の後、ハーネスの勧めで風呂に入った。半壊状態の浴室は新鮮で、個人的には結構好みかもしれない。
「パウロ殿たちをけしかけた者は――」
「恐らく弟たちの誰かだろうな」
風呂から上がり、屋敷内を歩いていると、とある部屋からレーヴェンとハーネスの声が聞こえてきた。気になり、俺はその扉の前で立ち止まり、聞き耳を立ててしまう。
「帝都には私を快く思わぬ貴族たちも……!」
「ねずみですかな」
「――そこに居るのは誰だッ!」
やばい、部屋の前で盗み聞きしていることがバレてしまった。
ドアが開き、おろおろする俺の前に、レーヴェンが怒りの表情で立っていた。
意外なことに、執事に案内されて中に入ると、外観がお化け屋敷とは思えないほど室内は整然としていた。もちろん、お化け屋敷としては整然としているという意味だけれども。
「何とか、殿下が到着される前にはそう考えておりましたが、申し訳ございません」
「気にするな。むしろ五人でよくここまでしてくれたものだ。遠目から屋敷が見えた時はあきらめていたが、これなら問題なく住むことができそうだ」
「お心遣い感謝致します」
この執事は、心からレーヴェンを尊敬しているようだ。彼の目は涙で滲んでいた。侍女たちも、主君であるレーヴェンに会えたことが嬉しいようで、先程から笑顔が絶えない。
やはり、彼女の人柄は、噂とはかなり異なるようだ。
レーヴェンの艶やかで神秘的な黒髪が揺れるたび、薔薇のような魅惑の香りが鼻先をくすぐる。まるで幸せそのものが香りとなって存在するかのようで、この贅沢な香りを一生嗅いでいたいと思うほどだ。口にするとなんだか変態っぽいので、死んでも口にするつもりはない。
「これは凄いな」
ギャラリールームのような場所を抜けて辿り着いたのは食堂だった。ここがお化け屋敷であることを忘れるほど、壮大な食堂が広がっていた。
約五メートルの長いテーブルには、巧妙にデザインされた蝋燭立てが均等に配置されている。豪奢なシャンデリアが天井に吊り下げられ、壁には巨大な鏡面が埋め込まれていた。壁に飾られた美しい絵画は、おそらく有名な画家によるもので、その中にはレーヴェンの肖像画も含まれていた。
「食事をする場所は清潔でなければなりません。殿下の寝室と食堂は特に丁寧にお手入れしております」
「うむ。ハーネスの心遣いにはいつも感謝している」
レーヴェンもこの状況に満足しているようで、ゆっくりと頷いた。ちなみに、執事の名前はハーネスというらしい。
「とても美しい絵だな。俺の審美眼によると、これは帝国一の画家が描いた。違うか?」
自信たっぷりに答えると、なぜかハーネスが恥ずかしそうに謙遜した。
「?」
「あちらは私がササッと描いたものでございます」
「え…………描いた?」
「ここには何もなかったため、ちょっとした趣味で描いてみました」
「面倒をかけたな」
「いえ、とんでもございません」
ハーネスはものの5分でこの肖像画を描いたという。冗談も休み休み言え。
「こ、これ、ほんとうにハーネスさんが描いたのですか?」
「お恥ずかしい限りです」
信じられない…。ランナー国なら間違いなく引っ張りだこの画家になるだろう。しかも、わずか5分で…。この執事、一体何者だよ。
「さあ、ランス殿もお座りください」
俺は深呼吸して心を落ち着かせ、角の上席に腰を落ち着かせたレーヴェンの近くに座った。一応最低限のマナーは覚えている。
このような長いテーブルでの食事では、地位の高い者が上座に座り、少人数の場合には上座に近い席で食事をするのがマナーだ。対面に座ることは避ける。反対側に座るのは使用人や奴隷など、通常は長いテーブルに座る資格のない低い身分の者だ。また、反対側に座ることは、お近づきになりたくないか、あるいは暗黙のうちに嫌味や嫌がらせのメッセージを含むことがある。注意が必要だ。
「こちらは北のポスタル地方で作られた赤ワインでございます」
「うむ。口の中に北の心地よい風が吹き抜けたような、爽やかな酸味が癖になるな」
レーヴェンがワインのテイスティングを終えると、侍女が絶妙なタイミングで料理を乗せたワゴンを運んできた。
「え、もう出来たのか!?」
到着したばかりなのに、侍女は温かいスープを提供してくれた。
「う、うまい! これは絶品だ!」
ただのコンソメスープかと思いきや、オニオンとビーフの濃厚な旨味が凝縮され、ピリッとしたスパイシーな余韻が残る絶品のコンソメスープだった。長い旅で疲れた体を芯からほっこり温めてくれる。
まさに極上の一品だ。
「さすが、帝国のシェフだな」
「これを作ったのは恐らくロレッタだ」
「ロレッタさんという、凄腕のシェフか」
「いや、さっき会っただろ? 眼鏡をかけたメイド長だ」
「メ、メメメメイド長がこれをっ!?」
バカなっ!
一介のメイドがこれを作ったというのか。
その事実をランナー国のシェフたちが知れば、間違いなく泣いてしまうレベルだ。
その後も、メイド長のロレッタが作る極上の料理が続々と登場する。
湖で釣ったという新鮮な魚介類を使用したポワソン、メインディッシュ前のお口直しのソルベなど、どれも非常に美味しいものばかり。
そして、極めつけは……。
「マジかよ!?」
鉄板を運んできて、目の前で肉を焼き始めた。火魔法を使いながら、手際よく焼いていく。
メイドが魔法を使う……? 一体何の冗談だ?
魔法は一石二鳥で身につくようなものではない。平民出身の人々の中にも、魔法を使える者は確かにいるが、なぜ魔法を習得した者がメイドなんてやっているのだ。理解ができない。
冒険者にでもなれば、彼女なら引っ張りだこだっただろうに。
「ロレッタは、私の幼馴染みなのだ」
「え……幼馴染み?」
俺が不思議そうな顔でロレッタを見つめていたからだろう。グラスを傾けたレーヴェンがメイド長について語りはじめた。
「彼女の家系は代々、私たち皇族に仕えてくれていてな。帝国にとって特別な一族であり、私の親友でもある。ランスも仲良くしてやってくれ」
「特別な一族……」
皇族から特別な一族と言われる使用人の家系? まさか、それはもはや通常の使用人とは異なる存在なのではないかと、俺は理解できない思いだった。
俺から見たメイド長のロレッタは、地味な女性という印象だった。眼鏡の奥に隠れた瞳は切れ長で、どこか無表情に思えた。それは8歳の頃、舞踏会場でレーヴェンを見たときに感じた感覚に近いと思う。実際のレーヴェンはずっと人間らしい存在だったのだが、もしかしたら、ロレッタとも話してみたら、印象が変わるかもしれない。
メイド長が目の前で調理してくれたメインディッシュは、本当に絶品だった。
帝国という国に改めて驚かされた。
食事の後、ハーネスの勧めで風呂に入った。半壊状態の浴室は新鮮で、個人的には結構好みかもしれない。
「パウロ殿たちをけしかけた者は――」
「恐らく弟たちの誰かだろうな」
風呂から上がり、屋敷内を歩いていると、とある部屋からレーヴェンとハーネスの声が聞こえてきた。気になり、俺はその扉の前で立ち止まり、聞き耳を立ててしまう。
「帝都には私を快く思わぬ貴族たちも……!」
「ねずみですかな」
「――そこに居るのは誰だッ!」
やばい、部屋の前で盗み聞きしていることがバレてしまった。
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