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二章 「恋は気まぐれ 水面に浮かぶ水草のよう」
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気が重いまま学校へ向かう。前髪が風に吹かれ優しく揺れた。髪の毛を耳にかけ、空を見上げた。真っ青な空を覆うほどの入道雲に僕は目を奪われ、しばらく呆然と立ち尽くしていた。かすかに甘い香りがし、振り返った瞬間、僕の意識は飛んだ。
刹那、バイオリンの音色が耳をかすめ、スノードロップの匂いが鼻腔を満たした。
強烈な頭痛と共に目を覚ますと体の自由が効かないことに気づいた。腕を動かそうとするたびジャラジャラ鳴る。腕のしびれに不快感を覚え、どうしようかと考えてると、部屋に光が差し込んだ。
思わず上を向くと、冷徹な目が2つ。体がすくみ、自然と背筋が伸びる。何度も見てきた、捕食者の目だ。
「やっと目を覚ましましたか。時間がないので本題に入らせていただきます。
単刀直入に言うと、うちの学校は他校と衝突することが多いんです。この前も校庭で乱闘が起きましたし。で、相手の学校はこちらの学校の一人を殺せば満足らしいです。こちらとしてはなるべく戦闘力を削ぎたくないので戦闘能力が低い人を差し出そうと思っています。そこであなたの父親からあなたを選出しろと。」
ナイフのように鋭く冷たい声が、取り繕った僕の心を容赦なく切り刻んでいく。父親が僕のことをそこまで嫌っているなんて思っていなかった。クラスのみんなが僕をそんなふうに思っているなんて知らなかった。
とめどなく涙があふれる。無力な僕はなにもすることができなかった。
「それがあなたの弱さの所以です。すぐ泣く、感情の制御がきかない。あなた、小さい子供と変わりませんよ?」
嘲るように言ってその人は出ていった。いつの間にか腕の拘束はほどけていた。自分はこの世に必要ないと思った瞬間体中の力が抜け、どうでも良くなって目を瞑った。
このまま、この部屋の闇に溶け込んでしまいたかった。
刹那、バイオリンの音色が耳をかすめ、スノードロップの匂いが鼻腔を満たした。
強烈な頭痛と共に目を覚ますと体の自由が効かないことに気づいた。腕を動かそうとするたびジャラジャラ鳴る。腕のしびれに不快感を覚え、どうしようかと考えてると、部屋に光が差し込んだ。
思わず上を向くと、冷徹な目が2つ。体がすくみ、自然と背筋が伸びる。何度も見てきた、捕食者の目だ。
「やっと目を覚ましましたか。時間がないので本題に入らせていただきます。
単刀直入に言うと、うちの学校は他校と衝突することが多いんです。この前も校庭で乱闘が起きましたし。で、相手の学校はこちらの学校の一人を殺せば満足らしいです。こちらとしてはなるべく戦闘力を削ぎたくないので戦闘能力が低い人を差し出そうと思っています。そこであなたの父親からあなたを選出しろと。」
ナイフのように鋭く冷たい声が、取り繕った僕の心を容赦なく切り刻んでいく。父親が僕のことをそこまで嫌っているなんて思っていなかった。クラスのみんなが僕をそんなふうに思っているなんて知らなかった。
とめどなく涙があふれる。無力な僕はなにもすることができなかった。
「それがあなたの弱さの所以です。すぐ泣く、感情の制御がきかない。あなた、小さい子供と変わりませんよ?」
嘲るように言ってその人は出ていった。いつの間にか腕の拘束はほどけていた。自分はこの世に必要ないと思った瞬間体中の力が抜け、どうでも良くなって目を瞑った。
このまま、この部屋の闇に溶け込んでしまいたかった。
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