堕ちろ!激かわ猫男子

芋谷

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たまご(1)

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「……その、昨日はありがと」
「え?」

就業早々かけられた、予想外の言葉に動揺する。
寝落ちた彼を好き勝手した翌日にまさかそんなことを言われるとは思ってもよらず、激しく動揺した。

「覚えがないのだが。」
「あ゛ーー、もー……。……、事後、処理みたいな」

昨日の夜の出来事を脳内で反芻する。俺のものを抜いて、しゃぶって、騎乗位で特大サービスしてくれたこと。そのまま倒れた彼を使ってイって、その穴を好き勝手ねぶったこと。回想するうちに股間がゆるくテントを立て始めた気配がして、やや前屈みになる。

「……ああ!そのことか」

証拠隠滅のために彼の体を拭いたこと。中を舐めまわした結果的お掃除クンニをしたこと。それらに思い当たり合点がいった。

「言わせんな、……」

恥ずかしくなったのかダリスははにかむ。

「問題ない、特に気にしていない」
「……。ん」

俯いたまま頷く姿も愛おしい。
彼が寝てしまってからの一連の出来事がバレていないことに安堵しながら、俺はいつも通り彼の家へと向かう。

「でさ、そのお礼?になんだけど」
「ふむ?」
「……今日、あんたの好きにしていいよ。…………何でもしてあげるって言った中でこういうのも変だけどさ」

言葉の意味がわからず首を傾げる。

「だから。……いつもはあれこれやめてって言うけど、今日は特別に何でも許してあげるってこと。」
「まじか」
「まじ。……今日で本気で終わらせるから。何だって耐える覚悟はできてる」

そう言うダリスはきりりとした凛々しい表情をしている。これから抱かれる立場なのに格好いい。そういうところも含めて可愛いのだが。

「で、何するの」
「……寄りたい場所がある」



職場からダリスの家までの道なりは全て地下通路におさまっている。何軒か管轄の違う建物を通り、服や食べ物、家具などが詰め込まれた中央地下道をまっすぐ通り、その途中を曲がって着く集合住宅の一間が彼の家。
その途中の中央地下道で、俺はダリスを連れ道を外れた。

「……ここ寄るの?」

ぽかんとした顔でダリスが言う。ついた場所は食品の並ぶ店。

「あぁ。適当に買ってくから好きなやつを選べ。金は俺が出すから」
「……なんか思ってたのと違う」
「どんな意味だ」
「別にー。」

そう言っている横顔は楽しそうで、相変わらず素直じゃないな、と微笑ましくなる。
初めは遠慮がちにそわそわとしていたダリスだったが、俺がゆで卵を数パックカゴに入れたあたりで何かを察したのか、気がつけば一人で店内を歩き回り好きな食品を持ち運んできていた。惣菜、サラダ、パン、惣菜、惣菜、惣菜、フルーツ、生菓子と遠慮なくぽんぽんカゴに詰め込まれ手持ちの金で会計が間に合うかヒヤッとしたが、問題なく買い物は済んだ。
ずっしりとしたビニール袋をぶら下げ、まったり会話を交わしながらダリスの部屋まで向かう。いつもは光の速さでダリス宅に転がり込みセックスに至っていたため、帰路でこのように駄弁ることはなかったから新鮮だった。

荷物を下ろしてすぐ、ダリスはちらちらと期待の眼差しを向けていた。

「これは今から食べるやつだぞ。もちろん」
「い、いいの?ほんとに?」
「あぁ」

袋から食品を取り出しながら答える。
生春巻き、サラダパスタ、惣菜パン、ラザーニャ、メンチカツをはじめとする統一性のない食べ物が次々にテーブルを彩る。

「これ全部食えるのか?」
「あんたどうせいっぱい食べるでしょ」

くすりと笑いながらダリスが割り箸を割る。
初めて彼と共にする食事は、これまでの何よりも楽しかった。


「はー。食べた食べたぁ」

ぱんぱんにしたお腹を撫でながら、ダリスが幸せそうに呟く。胎児を抱えているかのようにふっくらとしたお腹は股間に効いたが、平然を装って適当な返事をかえす。

「……で、どうせ他もあるんでしょ?聞くよ?」
「一緒に風呂に入りたい」
「…………いいけど?」

またも予想が外れたといった顔をしたダリスは、不思議そうに俺を見ていた。
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