【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき

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13:終わりは始まりの合図

13-12

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「何だ。急に改まって…」
「感謝してるんだよ。本当に」


目の前で無邪気な笑顔を見せる実琴に。
朝霧は眩しそうに僅かに目を細めた。

「…不思議だな」
「えっ?」
「こうしてお前の口から子猫だった時のことを語られていても、普通なら到底信じられるような事じゃないのに、今振り返ってみると結構しっかりお前はお前だったなって、思ってな」
「…それはまた、単純だっていう意味で?」

僅かに頬を膨らませる素振りを見せる実琴に。朝霧は不意に手を伸ばすと指で実琴のひたいを軽くはじいた。いわゆるデコピンだ。

「いたっ」
卑屈ひくつに取るなよ」

痛む額を右手で押さえ、困惑気味に見上げてくる実琴に朝霧は満足気に微笑みを浮かべた。

「お前が木から落ちたあの日。雨の中で途方に暮れてる子猫の背中を見た時、放っておけないと思ったのは、あれがお前だったからなんだろうなってことだ」
「えっ…」

(それって…?どういう意味?)

朝霧がじっ…と、こちらを見つめてくる。

「特別なんだよ。お前は」
「とく…べつ…?」


何にとって?

『放っておけない』?

私だったから?


私が…?


実琴の頭の中は小さなパニックを起こしていた。
何より真っ直ぐに見つめて来る朝霧の視線から目を逸らせない。

(あさ、ぎり…?)


「お前といると退屈しない。これからも、ずっと…俺の傍にいろよ」

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