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8:さまよえる魂?
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『あああ…悪霊って…っ。じゃあやっぱり幽霊っ?ホンモノのっ…?』
あわあわと慌てふためく実琴に、女性は何でもないことのように言った。
『そうね。残念ながら生身の身体を失ってから結構経つわね』
実琴は信じられないというように暫くその目の前の女性を見上げていたが、足がないという以外に普通の人と変わらないその様子に次第に落ち着きを取り戻していった。
『でも、幽霊さんが…何で?』
『何故あなたの名前を知っているかってこと?そうね、ここじゃいつ人が来るか分からないし、一旦場所を移しましょうか。私について来て』
『あ…はい…』
若干戸惑いつつも実琴は言われるままに、その女性の後をついて行くことにした。
その幽霊であるらしい女性に案内されたのは、実琴の入院病棟からすぐ近くの屋上だった。
そこは、病院の関係者以外立ち入り禁止とされている立て看板の先にある関係者のみが知っているような小さな屋上で、誰かが出入りしているのか僅かに扉が開いていた。
『ここなら、そうそう人も来ないし、すぐに見つかることはないかな』
扉から死角になる場所まで来ると、女性は自ら確認するように呟いた。
まるで知り尽くした場所のように…。
実琴の中では、この女性に対しての怖さとかそう言ったものは既になく、浮かんだ疑問を自然と口にしていた。
『お詳しいんですね。こんな場所を知っているなんて…』
あわあわと慌てふためく実琴に、女性は何でもないことのように言った。
『そうね。残念ながら生身の身体を失ってから結構経つわね』
実琴は信じられないというように暫くその目の前の女性を見上げていたが、足がないという以外に普通の人と変わらないその様子に次第に落ち着きを取り戻していった。
『でも、幽霊さんが…何で?』
『何故あなたの名前を知っているかってこと?そうね、ここじゃいつ人が来るか分からないし、一旦場所を移しましょうか。私について来て』
『あ…はい…』
若干戸惑いつつも実琴は言われるままに、その女性の後をついて行くことにした。
その幽霊であるらしい女性に案内されたのは、実琴の入院病棟からすぐ近くの屋上だった。
そこは、病院の関係者以外立ち入り禁止とされている立て看板の先にある関係者のみが知っているような小さな屋上で、誰かが出入りしているのか僅かに扉が開いていた。
『ここなら、そうそう人も来ないし、すぐに見つかることはないかな』
扉から死角になる場所まで来ると、女性は自ら確認するように呟いた。
まるで知り尽くした場所のように…。
実琴の中では、この女性に対しての怖さとかそう言ったものは既になく、浮かんだ疑問を自然と口にしていた。
『お詳しいんですね。こんな場所を知っているなんて…』
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