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7:朝霧くんの観察日記2
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朝霧の中で、ひとつ浮かんだ可能性。それは…。
(もしかしたら、辻原の入院している病院へ向かったのではないか?)
…ということだった。
昨夜、父が入院中の彼女の話をしていた時。
アイツの…ミコの様子が少し変だったのだ。
冷静に考えてみれば、有り得ないことだとは思う。
いくら人の言葉を理解していそうでも、そこまで本当に全ての会話を猫が把握《はあく》することなど普通に考えて無理だろう。
だが、今まで見ていてミコの辻原に対する執着は半端なものではなく。
常識に囚われていては説明の付かないことが多々あったことは確かだ。
それ程に、もしかしたら…と思わせる何かがミコにはあった。
「ねえ、千代さん。親父ってもう出掛けた?」
「ええ、旦那さまでしたら先程お仕事に向かわれましたよ。私もお見送りをして丁度戻って来たところですから」
「……チッ…遅かったか…」
朝霧は千代に聞こえない程に小さく舌打ちをした。
「旦那さまが、どうかなさったのですか?」
「いや…」
(まだ何も、家の中にいないと決まった訳じゃない)
朝霧は周囲へと視線を流した。
その様子を眺めていた千代が思い出したように口を開く。
「そう言えばミコちゃんでしたね。私は、てっきりまだ坊ちゃまと一緒にお休みになっていると思っておりましたので…。起きた時にはもう、いらっしゃらなかったのですか?」
「ああ。ドアを開けた形跡があった」
「まあ…」
(もしかしたら、辻原の入院している病院へ向かったのではないか?)
…ということだった。
昨夜、父が入院中の彼女の話をしていた時。
アイツの…ミコの様子が少し変だったのだ。
冷静に考えてみれば、有り得ないことだとは思う。
いくら人の言葉を理解していそうでも、そこまで本当に全ての会話を猫が把握《はあく》することなど普通に考えて無理だろう。
だが、今まで見ていてミコの辻原に対する執着は半端なものではなく。
常識に囚われていては説明の付かないことが多々あったことは確かだ。
それ程に、もしかしたら…と思わせる何かがミコにはあった。
「ねえ、千代さん。親父ってもう出掛けた?」
「ええ、旦那さまでしたら先程お仕事に向かわれましたよ。私もお見送りをして丁度戻って来たところですから」
「……チッ…遅かったか…」
朝霧は千代に聞こえない程に小さく舌打ちをした。
「旦那さまが、どうかなさったのですか?」
「いや…」
(まだ何も、家の中にいないと決まった訳じゃない)
朝霧は周囲へと視線を流した。
その様子を眺めていた千代が思い出したように口を開く。
「そう言えばミコちゃんでしたね。私は、てっきりまだ坊ちゃまと一緒にお休みになっていると思っておりましたので…。起きた時にはもう、いらっしゃらなかったのですか?」
「ああ。ドアを開けた形跡があった」
「まあ…」
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