【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき

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7:朝霧くんの観察日記2

7-9

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「…そこ、こだわる所ですか?」

げんなりしながら朝霧が問うと「当然です」という言葉が即答で返ってくる。

「伊織坊っちゃまがミコちゃんのことをお名前で呼んでるの、未だに聞いておりませんもの。もしかしてやっぱり、あまりお気に召さないのではありませんか?」

ちょっぴり拗ねるように、こちらの表情を窺って来る千代に。
朝霧は「まさか」と小さく笑った。

「折角千代さんが命名してくれたんだし。ただ、まだ呼び慣れていないだけですよ」

そのひと言で、どうやら千代の機嫌は直ったようだった。


そう。『ミコ』という名に特別不満なんてない。
ただ、その名を口にすることを自分が何となく躊躇ちゅうちょしていただけで。
何故なら、それはアイツの呼び名と同じだったから…。

『実琴』の名を略して『ミコ』。
辻原が仲の良い女子達に「ミコ」という愛称で呼ばれていたのを知っていた。

だから、その名は辻原を連想してしまい何となく呼び難かったという…本当に、ただそれだけのことだった。

名前がかぶることなんて幾らでもあるのに。
自分でも意識しすぎな感は否めない。

(でも、そう言えば今朝の夢の中で初めて『ミコ』と名を口にしたな…)

所詮、夢は夢でしかないが。

夢で出会った実琴の姿を何となく思い出して、朝霧はハッとした。

(もしかして、アイツ…?)

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