96 / 179
7:朝霧くんの観察日記2
7-2
しおりを挟む
例えば、こちらを見上げて来るあの瞳。
物言いたげな顔…というのはどんな動物でもあるものだとは思うが、普通のそれとは少し違う気がするのだ。
まるで、こちらの言葉を全て理解しているかのような…。
何もかもを分かっていて訴えて来るような、そんな瞳。
思わず子猫の、その真っ直ぐな瞳を思い出しかけた所で、朝霧は不意に足を止めると頭を軽く振った。
「らしくないな。それだけではあまりにも漠然としてる」
自分でもそれは解っているのだ。
だが、普通「じっとして、そこで待っていろ」と言われても、動物がそれを守ることは難しい。
長く生活を共にし、飼い主との意思疎通が既に出来ているような犬や猫とかであるなら、まだ話は別だが。
だがアイツはまだ生まれて2、3カ月程度の小さな子猫なのだ。
性格にもよるが、基本的に子猫は何事にも興味津々で普通なら一定の所にさえ留まっていることは難しい筈だ。
だが、アイツは「待ってろ」と言えばじっ…とこちらの様子を見ながら待っている。
「いくぞ」と言えば、すぐに返事をしてついて来る。
それも後を追いかけて来るのではなく、横について歩くのだ。
そこまで考えかけて再び朝霧は足を止めた。
「もしかして…。これは『親バカ』ならぬ『飼い主バカ』という奴か?」
何だか自分の考えてることが子猫可愛さからのひいき目…。
いわゆる盲目的な見解になっているような気がしてきた。
物言いたげな顔…というのはどんな動物でもあるものだとは思うが、普通のそれとは少し違う気がするのだ。
まるで、こちらの言葉を全て理解しているかのような…。
何もかもを分かっていて訴えて来るような、そんな瞳。
思わず子猫の、その真っ直ぐな瞳を思い出しかけた所で、朝霧は不意に足を止めると頭を軽く振った。
「らしくないな。それだけではあまりにも漠然としてる」
自分でもそれは解っているのだ。
だが、普通「じっとして、そこで待っていろ」と言われても、動物がそれを守ることは難しい。
長く生活を共にし、飼い主との意思疎通が既に出来ているような犬や猫とかであるなら、まだ話は別だが。
だがアイツはまだ生まれて2、3カ月程度の小さな子猫なのだ。
性格にもよるが、基本的に子猫は何事にも興味津々で普通なら一定の所にさえ留まっていることは難しい筈だ。
だが、アイツは「待ってろ」と言えばじっ…とこちらの様子を見ながら待っている。
「いくぞ」と言えば、すぐに返事をしてついて来る。
それも後を追いかけて来るのではなく、横について歩くのだ。
そこまで考えかけて再び朝霧は足を止めた。
「もしかして…。これは『親バカ』ならぬ『飼い主バカ』という奴か?」
何だか自分の考えてることが子猫可愛さからのひいき目…。
いわゆる盲目的な見解になっているような気がしてきた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】ツインクロス
龍野ゆうき
青春
冬樹と夏樹はそっくりな双子の兄妹。入れ替わって遊ぶのも日常茶飯事。だが、ある日…入れ替わったまま両親と兄が事故に遭い行方不明に。夏樹は兄に代わり男として生きていくことになってしまう。家族を失い傷付き、己を責める日々の中、心を閉ざしていた『少年』の周囲が高校入学を機に動き出す。幼馴染みとの再会に友情と恋愛の狭間で揺れ動く心。そして陰ではある陰謀が渦を巻いていて?友情、恋愛、サスペンスありのお話。
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
彼と彼女の365日
如月ゆう
青春
※諸事情により二月いっぱいまで不定期更新です。
幼馴染みの同級生二人は、今日も今日とて一緒に過ごします。
これはそんな彼らの一年をえがいた、365日――毎日続く物語。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
犬猿の仲だけど一緒にいるのが当たり前な二人の話
ありきた
青春
犬山歌恋と猿川彩愛は、家族よりも長く同じ時間を過ごしてきた幼なじみ。
顔を合わせれば二言目にはケンカを始め、時には取っ組み合いにまで発展する。
そんな二人だが、絆の強さは比類ない。
ケンカップルの日常を描いた百合コメディです!
カクヨム、ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載しています。
片翼のエール
乃南羽緒
青春
「おまえのテニスに足りないものがある」
高校総体テニス競技個人決勝。
大神謙吾は、一学年上の好敵手に敗北を喫した。
技術、スタミナ、メンタルどれをとっても申し分ないはずの大神のテニスに、ひとつ足りないものがある、と。
それを教えてくれるだろうと好敵手から名指しされたのは、『七浦』という人物。
そいつはまさかの女子で、あまつさえテニス部所属の経験がないヤツだった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる