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5:朝霧家の内事情
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見兼ねた朝霧は大げさに溜息をつくと、半ば呆れを隠すことなく言った。
「別にケチをつけるつもりはありませんが、流石に何でもかんでも『子』を付ければ良いってもんでもないでしょう。まあそれが千代さんの専売特許なんでしょうけど…」
その若干毒のある言葉に、千代は唇を尖らせた。
「まあ、坊っちゃん。私がいつまでも昔のままと思って貰ったら困りますよ。イマドキの名前だってちゃあんと分かっているんですのよ」
どこか得意げなその千代の言葉に、朝霧は僅かに目を見張った。
そうして千代が提案した名前が『ミコ』だったのだ。
ただ長音符を抜いただけじゃん!というツッコミを入れたいところではあるが、確かにニュアンス的には『ミー子』よりは、ある意味今風?なのかも知れないと実琴は思った。
朝霧はというと何とも言えない表情を浮かべてはいたが、基本的には千代には敵わないといった様子で、特に反対する理由もなく結局その案を飲むことにしたようだった。
そうして命名された『ミコ』という名であったが、実は実琴にとって元々親しみのある呼び名だったので、その偶然には少なからず驚いていた。
普段から親しい友人などに「実琴」の名を省略して「ミコ」と呼ばれたりしていたのだ。
(本当にただの偶然だけど、呼ばれ慣れているから違和感なくて楽かも)
嬉しそうに名を呼んでくれる千代について歩きながら実琴は思うのだった。
「別にケチをつけるつもりはありませんが、流石に何でもかんでも『子』を付ければ良いってもんでもないでしょう。まあそれが千代さんの専売特許なんでしょうけど…」
その若干毒のある言葉に、千代は唇を尖らせた。
「まあ、坊っちゃん。私がいつまでも昔のままと思って貰ったら困りますよ。イマドキの名前だってちゃあんと分かっているんですのよ」
どこか得意げなその千代の言葉に、朝霧は僅かに目を見張った。
そうして千代が提案した名前が『ミコ』だったのだ。
ただ長音符を抜いただけじゃん!というツッコミを入れたいところではあるが、確かにニュアンス的には『ミー子』よりは、ある意味今風?なのかも知れないと実琴は思った。
朝霧はというと何とも言えない表情を浮かべてはいたが、基本的には千代には敵わないといった様子で、特に反対する理由もなく結局その案を飲むことにしたようだった。
そうして命名された『ミコ』という名であったが、実は実琴にとって元々親しみのある呼び名だったので、その偶然には少なからず驚いていた。
普段から親しい友人などに「実琴」の名を省略して「ミコ」と呼ばれたりしていたのだ。
(本当にただの偶然だけど、呼ばれ慣れているから違和感なくて楽かも)
嬉しそうに名を呼んでくれる千代について歩きながら実琴は思うのだった。
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